本章の趣旨を要約すれば、他の動物と違って私たち人類は客観的現実世界の存在という認識を仲間と共有することによって仲間との緊密な協力を維持できるような脳神経系の仕組みを進化させた、ということです。私たちが今このように感じとっている現実世界は、実際、これをこう感じとることによって私たちが仲間と緊密にうまく協力して効率よく栄養供給システムにつながることができるようになっている。この事実から得られる結論として、この現実世界は人類進化の結果できあがった人類の身体相互間に作られる集団的認知機構(拙稿の用語では運動共鳴という)によって存在している、といえる。それが、私たちがここに感じとっている現実世界の起源といえます。
こうして人類は、仲間と協力して生活に必要な物事の動きを予測するための認知機構として、人間ならだれにとっても客観的なこの現実世界が存在するという理論を作り出した(存在の理論)。
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拝読ブログ:万物の根源/世界の起源を求めて * 作者: ルクレティウス,Titus Lucretius Carus,塚谷肇 *