ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

性玩具

2011年08月26日 | 社会・政治

 オーストリアで80歳の老人が婦女暴行・監禁の罪で逮捕されたそうです。
 監禁期間はじつに41年間にも及び、監禁されていた姉妹は、姉が12歳から53歳まで、妹が4歳から45歳まで、繰り返し暴行を受けていたとのことで、この種の事件では異例の長さなのではないかと思います。

 ここまで長期間発見されなかったのは、明白な理由があります。
 犯人が、姉妹の父親であり、すでに亡くなった母親も同じように監禁されていたと考えられるからです。

 二人の姉妹は、学校にも通わず、外出もせず、ひたすら父親の性玩具として41年間を生きてきたのです。

 その心中、察するに余りあります。

 強さと優しさ、そして正義や理非を体現すべき父親が、憎むべき強姦魔として自分たちに迫ってくるわけですから。

 今回事件が発覚したのは、今年5月、暴行しようとした父親を突き飛ばしたところ、父親が動けなくなり、やっと外部に通報できたからだそうです。
 80歳になってなお、53歳と45歳の娘に暴行を働こうとするなど、鬼畜の所業としか思われません。

 心配なのは、姉妹の今後の人生です。
 当然働いたこともなければ、友人もいないでしょう。
 まして恋人なんて、受け付けないと思います。
 相手が父親と同じ汚らわしい男だと言うだけで、怖気が震うでしょう。
 今後過去の記憶と戦いながら、遅すぎる人生のスタートを切らなければなりません。

 まずはカウンセリングを受けて社会に適応し、生活保護なりを受けて生きていくことになるんでしょうか。

 わが国でも強姦殺人のニュースは時折耳にしますが、監禁というのはあまり聞きませんね。
  私の記憶では、10歳で誘拐され、19歳で助け出されるまで9年間も監禁されていた新潟少女監禁事件くらいしか思い浮かびません。
 その代りと言っては変ですが、日本では痴漢や下着泥棒など比較的軽微な性犯罪が多いと聞きます。

  オーストリアでは2008年にも自分の娘を24年間にわたって監禁していた父親が逮捕されています。

 それにしても厭なニュースです。
 やれませんねぇ。
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「見せかけ」と「大切」

2011年08月26日 | 思想・学問

 思想の左右や穏便・極端を問わず、現代日本社会を批判するときに、よく使われるのが、見せかけの豊かさに騙されるな、という言説です。

 昔に比べておいしい物がたくさん食べられることや、住環境が住みやすくなったこと、車や家電、パソコンなどに囲まれ、生活が便利なことを指して、見せかけの豊かさという表現を使うことが多いようです。

 しかしこれはずいぶんと傲慢な言い方です。
 自分は豊かだ、と思っている人に、お前は本当は豊かではない、と言っているようなものです。
 余計なお世話。

 豊かさを感じるための指標としては、まず健康、収入、円満な家族、そして自由になる時間、それとその時間を有意義に過ごすための趣味など。
 これらが満足すれば、それは豊かな生活と言えるでしょう。

 それ以上に大切な何かがある、というような物言いをする人がいたら、眉つばだと思っていいでしょう。

 大切な何か、というのは、神社の奥に鎮座ましましている石ころだったり、薄汚い鏡だったり、要するに糞の役にも立たないけどある共同体でこれはご神体、と定めて、別に信じちゃいないけど、習慣だから拝むのさ、という風に扱われている物体と同じようなものでしょう。

 大切な何か、というのは、神道のご神体のごときもので、わが国の伝統に則った言い方で、役には立たないけどとりあえず有りがたいもの、というほどの意味だと考えられます。

 枕詞のような、特に意味のない慣用表現です。

 これが一神教の国では、大切な何か、ではなく、大切なのは、だったり、アッラーだったりするわけで、何か、という曖昧さは許されません。

 見せかけの豊かさにしても、大切な何かにしても、迷惑なのはそういう言葉に惑わされて生活の基盤を築こうとせず、無為徒食の徒となって、自分探しの貧乏旅行なんか始めちゃうやつが出現することです。

 また、突如脱サラして大借金の末、無農薬野菜なんぞを作って儲けようなんて浅はかな考えを起こし、当然売り物になるような野菜など作れるはずもなく、一家は路頭に迷い、見せかけの豊かさがありさえすれば十分幸せなんだと気付いた時はすでに遅く、一家心中せざるを得なくなり、その時初めて大切な何か、なんていうものはどこにも存在せず、大切なのは生命や収入なんだと気づくわけです。

 私の記憶では、戦後高度成長期に、公害やモーレツサラリーマンが問題になった頃、こういう言説が始まったように思います。
 特に選挙などでは、野党の候補者がよく使っていました。

 しかし今、20年にも及ぶ不況の中、こんな空虚な言葉で時代を語る愚は終わりにしなければなりません。
 私たちは再び経済成長を目指し、見せかけの豊かさを賛美し、大切な何かというものは現世には存在しない、一種の宗教のようなものなんだと気づくべきでしょう。

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どこにいるの?

2011年08月26日 | 社会・政治

 カダフィ大佐、どこにいるんでしょう。

 反政府軍はもうカダフィ大佐の居住地区を占領したそうですが、地下には迷路のようなトンネルが掘ってあり、一部は地中海にまで達し、船で逃げることも可能だとか。
 また、カダフィ一族の亡命を受け入れてもよい、と表明する国も出てきました。

 もはや事態は大詰め。

 ヒトラーはベルリンでの首都攻防戦のさなか、総統官邸地下壕で、第一次世界大戦の敗北を思い出しつつ、「今度こそ我々は、真夜中が来るまであきらめない」と頑張っていましたが、総統官邸に英国軍が西から、ソビエト軍が東から迫るなか、愛人のエヴァ・ブラウンと結婚し、ナチ高官とささやかなパーティを開いた後、新妻とともに自殺してしまいます。

 カダフィ大佐の徹底抗戦の態度には、ヒトラーにも通じるものがあるように思います。

カダフィ大佐です。

 
カダフィの娘と三男の邸宅ももうはや落ちたそうです。


娘の自宅です。ベンチにあしらわれた人魚の顔は、娘の顔を象っているそうです。

 悪趣味なソファですね。
 自動小銃をかかえて寝そべっている反政府軍兵士の無邪気な笑顔が、今次反乱の性格を物語っています。


三男の邸宅です。荒れ放題ですね。

 
カダフィ大佐側の傭兵の指揮官によると、カダフィ大佐は酒と女とドラッグにおぼれ、邸宅内で特に理由もなく面白半分に人を撃ち殺したり、ロシアン・ルーレットをやらせたりして喜んでいたそうです。
 怖ろしいですねぇ。

 驕れる者は久しからず、盛者必衰という「平家物語」の文句を地で行っているような人ですねぇ。
 いずれにせよ、早く逮捕してほしいものです。
 恐らく語らないでしょうが、彼が真実を語れば、それは驚愕すべき国家犯罪で満ちていることでしょう。

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新入生に読ませたい

2011年08月26日 | 文学

 数年前でしたか、東京大学教員に、学部問わず、新入生に読ませたい本は何か、というアンケートをとったことがありました。

 一位をとったのが、ドフトエフスキー「カラマーゾフの兄弟」でした。
 この結果をどう考えればいいんでしょうね。
 
 俗物の地主と、三人の息子をめぐる物語。

 長男は放埓な退役軍人、二男はニヒルな無神論者、三男は純真で真面目な修道僧。
 彼らが異性の問題、信仰の問題、社会制度の問題、ついには親殺しの問題にまで手を広げた、小説に詰め込める要素をすべて詰め込んだ総合小説ともいうべき大作です。
 骨太な大作ではありますが、私には毒気が強すぎたようで、読後しばし落ち込みました。

 作り物めいた虚構の美を歌う幻想文学や浪漫文学に慣れ親しんだ私には、あまりに鋭利な刃だったのです。

 東大の先生が学部関係なくこれを読めということは、過酷な、身も蓋もない現実を見据えて、力強く生きよということなのでしょうか。
 それはあんまり学生を買い被ってはいませんかねぇ。
 
 いやなものからは目を背けたいのが人の性。
 それをことさらに取りだして並べなくたって、生きているだけで分かってきましょう。

 私が東大の先生なら、迷うことなく、石川淳「紫苑物語」を勧めるでしょう。
 近代作家では最も美しい文章。
 三島谷崎川端も、彼の前では裸足で逃げだすでしょう。
 紡がれる不思議な世界。
 そして繰り返し語られる、精神の運動。

 新入生には、それが文学部以外の学生であればなおさら、文学は人生の生き方を指南したり、人間の生きざまを提示するだけのものではない、ということを知ってもらいたいと思います。
 まるで麻薬のように心に作用してしまう怖ろしいものでもあり、この世ならぬ美を構築するものであり、社会的には害悪を及ぼす、日陰の存在であることを、「紫苑物語」を通して知って欲しいと思います。

紫苑物語 (講談社文芸文庫)
立石 伯
講談社
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)
亀山 郁夫
光文社
カラマーゾフの兄弟2 (光文社古典新訳文庫)
亀山 郁夫
光文社
カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)
亀山 郁夫
光文社
カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)
ドストエフスキー
光文社
カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)
亀山 郁夫
光文社

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怒鳴らないで

2011年08月26日 | 社会・政治

 いよいよ菅総理が今日正式に退陣表明するようです。
 福島原発の事故では、東京電力社員といわず、原子力保安院職員といわず、海江田経済産業大臣といわず、誰彼かまわず怒鳴り散らし、正確な情報を挙げても信用せず、結局誰からも毛嫌いされ、裸の王様となってしまいました。
 出自が市民運動家ということで、誰でもいいから巨大な組織を悪者に仕立て、攻撃するのが習い性となっていたようです。
 悲しいかな、おのれが最大の組織の最大の悪者になってしまったことに気付かず。

 宇宙人総理、鳩山前総理から菅総理に交代したとき、少なくとも今度は地球人だろう、と思って期待したのですが、浅はかでしたね。
 地球人ではあっても、日本人ではなかったようです。
 悪代官面の官房長官も。

 日本人であることより地球市民であろうと志向する人々が、権謀術数渦巻く国際社会で日本の利益のために働くわけもなく、結果はJapan Passingという形で現れました。

 一般に管理職というのは、部下をおだててその気にさせ、気持ちよく働いて成果を上げるよう導くのが本道であろうかと思います。
 私が接した多くの上司も、そういうタイプが多かったように思います。

 しかしまれに、部下を相手に怒鳴り散らしたり、嫌味を言ったりし、抗議すると、もっと頑張ってもらいたいと思うがゆえの叱咤激励だった、などと醜い言い訳をする輩もいました。

 こういう人は本来人の上に立つ器ではないのに、タイミングが悪かったというか、他に適当な人がいなかったせいで管理職になってしまったもので、本人にとっても、部下にとっても、誠に不幸なことであると言わざるをえません。

 そのまれな不幸が、日本国政府のトップである総理大臣というポストで起きてしまったわけですから、そのための損失は測り知れません。
 とにかくやっとお辞めいただけるということで、初めて菅総理は国益に適う判断を下されたということで、喜ばしいかぎりです。

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マイクロRNA

2011年08月25日 | 思想・学問

 大阪バイオマス研究所・名古屋大学・京都大学などの研究グループが、マイクロRNAという物質が脳の記憶を司る海馬や視神経の形成に関わっているらしいことを、突きとめたそうです。

 世界初の快挙だとか。


 
左の写真が正常な海馬、右の写真がマイクロRNAを失くし、神経が異常になった海馬です。

 マイクロRNAを働かないようにしたマウスでは、視神経の異常や色覚の異常、脳の矮小化などが起きたそうです。

 てんかん患者や自閉症患者の治療に応用できるのではないかと期待されているそうです。

 てんかんや自閉症が外科的な手術や服薬で劇的に治癒すれば、大発見ですねぇ。
 うつ病や躁鬱病、統合失調症やパニック障害、強迫神経症などにも、きっと悪さをする物質がいるか、あるいは必要な物質が足りないんでしょうねぇ。

 将来的には、現在の問診と投薬を中心とする精神科治療は、意味を失うかもしれませんね。
 私が存命中は難しいでしょうが、心の病と言われるものが、心なんて曖昧なものではなく、脳の障害であることが証明され、脳外科の分野でことごとく解決できるようになれば、どんなに良いでしょう。
 きっと精神障害者に対する差別も、軽減することでしょう。

 しかしそうすると、私たち人間の意識とか魂とか感情とか言ったものの正体は何なのでしょうね。
 微小な脳の物質がすべての感情や性格を決め、それを取り除いたり加えたりすることで自在にその人を変化させられるのだとしたら、なんだか空恐ろしいような気がします。

 病気治療が目的ではなく、性格改善とかにも使われちゃうんでしょうか。
 就職のために美容整形をするのが当たり前だという韓国人のように、面接で好ましい人物と見られるよう、脳外科手術を受けるのが当たり前、なんて時代が、じつはすぐそこまで来ているのかもしれません。

 それでも私は、私を悩ます因業な躁鬱病を根本的に治療できるなら、そういう技術が生まれて欲しいと切望します。

RNA研究の最前線 (Springer reviews)
志村 令郎,渡辺 公綱
シュプリンガー・フェアラーク東京

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またですか

2011年08月25日 | 社会・政治

 もうあんまり中国のことは書きたくないんですが。

 中国の漁業監視船が尖閣諸島付近のわが国領海を侵犯したそうですね。
 今回は公船。
 民間の漁船よりも事態は重大です。
 中国に言わせれば、中国の領海だという理屈になるのでしょうが、明らかに日本を挑発して様子を見ようという意図がうかがえます。

 以前、海上保安庁の船に体当たりしてきた漁船は、体当たりしてきたからこそ、公務執行妨害罪で船長らを逮捕できました。

 しかしただ領海侵犯しただけでは、わが国は出ていくよう要請するだけで、なんらの実力行使もできないんですよねぇ。
 これは領空侵犯も一緒ですが、中国の戦闘機や爆撃機がわが国上空に飛来しても、相手が銃撃してくるとか、爆弾を落とすとか、明らかな侵略行為を犯さない限り、自衛隊機はまるで敵機を守るかのように並んで飛び、領空から出ていくまで、出て行ってくれという信号を送り続けることしかできません。

 冷戦時代には、毎日のようにソビエトの軍用機がわが国の領空を侵犯していたことはあまり知られていません。
 ソビエトなんて、大韓航空機のような民間旅客機でさえ、領空侵犯すれば撃墜するというのに。
 ていうか、わが国の対応が特異で、領空侵犯を犯した場合、速やかに立ち退かなければ撃墜されても仕方がない、というのは国際的な常識です。

 要するに法の不備ですねぇ。
 本来なら法律で領空侵犯や領海侵犯があった場合、どのような措置を取るか明記すべきところ、そういう法律がないので、相手が暴力的な犯罪行為を犯さない限り、拿捕もできないというわけです。

 いわゆる有事立法も、今回のような危険度が低い場合の法律も、整備されていません。

 これから数年のうちにわが国がどこかの国から侵略を受けたり武力攻撃にさらされる危険性は極めて低いと思いますが、10年後、20年後、さらには100年後、国際情勢がどうなっているかなんて、誰にもわかりません。
 とりあえず紛争に巻き込まれていない今のうちに、有事の際、また領空・領海侵犯があった際にどういう行動を取るかを、法で整備しておかなければなりません。

 そうでないと、上空に爆撃機が大挙して飛来してから、国会であの爆撃機をどうしようか、なんて話し合っているというマンガみたいなことになりかねません。

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パパ・ダイキリ

2011年08月24日 | 文学

  この前の記事で、今日は愛酒の日だと書きました。
 そこで外国の文学者で酒好きというと、中国の李白、米国のバロウズヘミングウェイ、フランスのヴェルレーヌなどが浮かびます。
 欧米の文学者は誰でも大抵酒飲みのイメージがありますね。

   四六時中飲んでいる李白の詩を一つ。

 春日 酔いより起きて志しを言う

 世に処(お)ること 大夢の若し
 胡為(なんす)れぞ 其の生を労するや
 所以に終日酔い
 頽然として前楹に臥す
 覚めて来たって庭前を眄(なが)むれば
 一鳥 花間に鳴く
 借問す 此れ何れの時ぞ
 春風 流鶯に語る
 之に感じて歎息せんと欲す
 酒に対して還(ま)た自ら傾く
 浩歌して明月を待ち
 曲 尽きて已に情を忘る

 この世は胡蝶の夢の如きもの、人生なにをあくせくと過ごす必要があろうかと、またまた酒に酔いつぶれていた李白が、酔いから醒めてふと庭先をなにげなく眺めやると、花の間で小鳥が一羽さえずっています。
 李白が、「いまはいつ頃だろうか」とつぶやいたとき、枝々を飛びまわる鶯の鳴き声が春風にのって聞こえてきました。
 李白の耳にはその鳴き声が「春だ、春だ、命に満ちた春の日だ」と聞こえ、彼は、生命の春を大いに満喫しようとまた独酌をはじめます。
 
 牧水先生に勝るとも劣らない飲みっぷりですねぇ。

 先に名前を挙げた文学者のなかでは、私はヘミングウェイにシンパシーを感じます。
 「老人と海」などが評価され、ノーベル文学賞を受賞しますが、航空機事故で授賞式は欠席せざるをえませんでした。
 後に事故の後遺症から躁鬱病を発症し、鬱々とした気分のまま、ライフルで自殺してしまいます。
 その彼が好んだカクテルがダイキリで、私もショートの中では最も好むカクテルです。
 キューバのバーでは、ヘミングウェイが頼むダイキリを、パパ・ダイキリと呼んでいたそうです。

ヘミングウェイです。

 ヘミングウェイというと、わが国の故開高健のような、太っちょで行動的でハード・ボイルドな感じのおじさんを想像しますが、晩年の彼には昔の面影はなかったようです。

 躁鬱病で自殺なんて聞くと、身につまされちゃいますねぇ。

 明日のことは誰にもわかりませんが、私は憎まれっ子世にはばかる、というとおり、あんなジジイ早く死ね、と陰口をたたかれるくらいまで長生きし、いよいよ臨終というときは世を呪う言葉を吐き、最後っ屁をひって死んでいきたいものです。

李白 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)
筧 久美子
角川書店
李白詩選 (岩波文庫)
松浦 友久
岩波書店

 

老人と海 (新潮文庫)
Ernest Hemingway,福田 恆存
新潮社

 

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愛酒の日

2011年08月24日 | 文学

 今日、8月24日は私が偏愛する歌人、若山牧水の誕生日だそうで、大の酒好きだった歌人にちなんで、今日を愛酒の日と称しているそうです。

 歌人の中でも若山牧水ほど多く酒の歌を詠んだ人も少ないでしょう。

 
白玉の 歯にしみとほる 秋の夜の 酒はしずかに 飲むべかりけり

 この歌は、おそらく和歌史上、最も優れた酒の歌でしょう。

 
膳にならぶ 飯しも小鯛も 松たけも 可笑しきものか 酒なしにして

 酒がない食事など食事じゃない、と言っているようなもので、酒好きの私には腹に落ちますねぇ。
 酒があると肴はより旨くなり、肴が旨いと酒はより旨くなるのですよねぇ。
 減量中の私には残酷な歌です。

 
人の世に たのしみ多し 然れども 酒なしにして なにのたのしみ

 ここまでくると、なんだか意地汚い感じがしますねぇ。
 酒に勝る楽しみは何もないというのですからねぇ。

 彼は酒毒にあたって43歳で亡くなりますが、アルコール中毒で苦しんだという話は聞いたことがありません。
 多分アル中になる前に肝臓がやられて死んじゃったんでしょうねぇ。
 死んでも飲みたいとはまさにこのこと。

 
酒ほしさ まぎらはすとて 庭に出でつ 庭草をぬくこの 庭草を

 これが歌人最後の歌となりました。
 多分医者や家族から酒は控えるように言われて、草むしりなんかして気分をまぎらわせようとしてみたんでしょうねぇ。
 歌人の草むしり姿を想像するに、笑うに笑えず、泣くに泣けない、切ない風情でしたでしょうねぇ。

 私もブログのタイトルを「うつと酒と小説な日々」としているくらい、酒を好みます。
 しかし度を越えた酒は不味いばかりなので、日本酒なら三合、焼酎ならロックで三杯が適量で、それを越えると翌日に響きますので、控えるようにしています。

 酒は適量ならおいしく、食欲もわき、心がリラックスして気持ちが良くなります。

 最近ではすっかりなくなりましたが、昔は職場の人と軽く一杯、と出かけて、そのまま深酒になるということがよくありました。
 今では考えられないことで、きっと多くの居酒屋やスナック、バーなどは不況に苦しんでいることでしょう。

 私も二十代までは大勢で飲む宴会が好きでしたが、今では面倒くさくて仕方ありません。
 30を過ぎてからは、家に帰ってゆっくり風呂につかり、夏なら甚兵衛なんぞ着てエアコンをがんがん効かせ、もういつでも横になれる、という状態で静かに飲むのが、至福のひとときですねぇ。

若山牧水歌集 (岩波文庫)
伊藤 一彦
岩波書店
若山牧水随筆集 (講談社文芸文庫)
若山 牧水
講談社

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紳助引退

2011年08月24日 | 社会・政治

 島田紳助が引退するそうですね。

 漫才ブームの頃、私は小学生でしたが、つなぎに反り込み頭で早口の関西弁をしゃべる面白い人だなぁと思ったことを覚えています。
 今、「紳竜の研究」というDVDで、当時の漫才と、その後の二人が歩んだ道を知ることができます。
 竜介はすでにこの世を去り、紳介が引退ということになり、紳竜という存在は、もはや演芸史の上の出来事になってしまったんでしょうかねぇ。

 ダウンタウンの登場により、漫才師としての限界を感じたそうで、その後はバラエティー番組の司会などで存在感を示してきました。
 時折見せる情の強さ、暑苦しさが、いかにも無粋で、その点は大嫌いでした。

 なんでも暴力団の構成員と親密な交際をしていたことを反省し、自らを罰するためだとか。
 なんだか腑に落ちませんねぇ。

 別段違法行為を行ったとかいうわけではありますまい。
 たかだか芸能人が、暴力団の構成員と付き合いがありました、引退します、なんて言ったからといって、大々的に報道するほうが奇妙な感じがします。

 まして普段は芸能ニュースなど流さないNHKの朝7時のおはよう、日本でも、トップで長々と報道していました。

 現在放送中のレギュラー番組の後始末も付けずに唐突に引退なんて、なんだか裏がありそうですねぇ。

 55歳で引退というのはいささか早いように思いますし、画面で見る限り、もう仕事なんかしたくない、という雰囲気でもありません。

 なんだかわかりませんが、世間があっと驚くような、次なる仕掛けを用意しているのかもしれません。
 政界進出か、実業家への転身か、あるいは芸能プロダクションを作ってつんく♂秋元みたいになりたいのか。
 あるいは所属事務所や周りのテレビ・タレントと軋轢があったのか。

 なんだかもやもやしますが、いずれはっきりするでしょう。
 ただし、鳩山前総理のように、引退することを止めました、なんて格好悪いことだけは止めてくださいね。

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ごはん抜きダイエット

2011年08月24日 | 精神障害

 就職してから20年で20キロ太ってしまい、血液検査の結果医師から減量を命じられたことは以前このブログに書きました。

 そこで今週から、ダイエットを始めました。
 方法は、朝と昼は普通に食い、晩はおかずだけ食べてご飯は食わない、というものです。
 おかずも野菜中心にしました。


 恥ずかしながら、下の二冊を参考にして、自分で決めた方法です。

 すると、月・火とそうしただけで、今朝1キロ落ちていました。
  ベルトの穴が、一つ内側になりました。
 右肩上がりに増え続けていた体重がこんなにあっさり落ちるとは驚きです。

 でも晩は腹が減りますねぇ。
 食った直後は満腹感があるのですが、2時間もすると、腹が減ってきます。
 そこで精神科で処方されている睡眠導入剤を早めに飲んで、寝てしまいます。

 しかし朝4時くらいに目が覚め、腹が減って寝ていられなくなります。
 そうはいっても4時に朝飯を食ったのでは、通勤する頃また腹が減ってしまうので、新聞を読んだりして6時くらいまで我慢してから朝食をしっかり取ります。

 本当は4時から6時、涼しい時間帯に散歩でもすればダイエット効果抜群なのでしょうが、空腹でふらふらして、とても散歩なんてできません。
 無理に散歩したら命の危険があること間違いなしです。

 問題は、続けられるかどうかですねぇ。
 私は意思が弱いし、旨いものに目がないですから。

 時折経過を報告します。

低炭水化物ダイエット―ごはん、パン、パスタ…やめられない、やせられない人へ
リチャード ヘラー,レイチェル ヘラー
ネコパブリッシング
浜内式 野菜で夜ごはんダイエット
浜内 千波
永岡書店

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ペイン

2011年08月24日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 昨夜はホラー好きの私ですらきついと感じるほど残虐シーンが鮮やかな映画「ペイン」を見ました。

 女子高生のジョーンとその友達が、ふとしたことで葬儀屋のビショップにお茶をご馳走になります。
 しかしビショップ、じつは怖ろしい殺人鬼だったのです。
 二人をそれぞれゴムのチューブでベットに縛りつけ、拷問します。
 交互に。
 そして友達を殺してくれ、と言いさえすれば、命は助かる、というゲーム。
 ジョーンは友達が舌を抜かれ、自分も抜かれそうになった時、友達を殺してくれ、と言い、ビショップは殺害します。
 ジョーンはビショップが目を離した隙にカッターでチューブを切り、ナイフでビショップを殺害してしまいます。

 それから16年。
 ジョーンは心に深い傷を負い、故郷を離れて暮らしますが、実兄の奥様が事故死したことから、故郷に帰り、実兄とその娘と三人で暮らし始めます。

 そんな矢先、16年前に起きた事件とそっくりな殺人が連続して起こります。
 ジョーンは自ら殺したはずのビショップの幻影におびえ、その復活を信じるようになります。
 警察は、ジョーンこそが犯人ではないのか、と疑います。
 果たして犯人は誰なのか。
 ジョーンと姪が犯人に捕えられ、16年前と同じゲームを強制させられた時、全ては明らかになります。

 ストーリーはありきたりですが、殺害方法が変わっていますね。
 犠牲者は必ず二人一組で、先に相手を殺してくれ、と言ったほうが生き残り、生き続けたければ何度もゲームに参加して、早く相手を殺してくれ、と言い続けること。
 相手が親友だろうが恋人だろうが親だろうが夫婦だろうが、相手を殺してくれ、と言いさえすれば当座は生き残るわけです。
 しかもすぐにそう言えば、自分は拷問されないで済む、というわけで、なんとも底意地の悪いゲームです。
 人間は自分の命を守るためにどこまで冷酷になれるかを見極めているようです。

 拷問シーンがかなりきついので、そういうのがお好きな方にはお勧めしますが、ロマンティック・ホラーみたいなのが観たい方は止めておいたほうがよさそうです。

ペイン ~PAIN~ [DVD]
アンジェラ・ベティス,ベン・コットン,デヴォン・グレイ,アル・サピエンザ,テガン・モス
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ブレイビク容疑者に人道に対する罪は適用できるか?

2011年08月23日 | 社会・政治

 ノルウェーで先月起きた労働党の集会での大量殺人、ノルウェーの刑法では殺人の最高刑が禁錮21年で、人道に対する罪が禁錮30年だそうですね。

 他国の刑法と比べて、著しく軽いですねぇ。

 ノルウェーは特例として人道に対する罪を適用できるか検討中だそうです。
 普通に考えれば、77人殺害と人数は多いですが、人道に対する罪を適用するのは難しいと思いますから、殺人罪で禁錮21年ですかねぇ。
 ブレイビク容疑者は32歳ということですから、53歳で娑婆に出てくるということになります。
 仮に人道に対する罪が適用されても、62歳で出所ということになります。

 
ブレイビク容疑者です。

 しかし人道に対する罪というのは、ナチのユダヤ人虐殺など、権力者が自らの利益もしくは主義主張のため、綿密な計画のもと組織的に大量虐殺を行った際などに適用される法律ですから、一人で銃を乱射したというのであれば、いかに大勢が亡くなったといえど、これを適用するのは無理があるかと思います。

 しかもノルウェーの刑務所というのは清潔で快適、看守も受刑者の人権を最大限尊重すると聞きましたから、なんだかやったもん勝ちみたいな感じがしますねぇ。

 ブレイビク容疑者はキリスト教原理主義者で、イスラム教徒などの異教徒が移民により、また移民後の多産により、キリスト教国たるノルウェーを乗っ取ろうとしていると信じ込み、これを阻止することは正義であり自分に与えられた使命であると確信していたため、大量殺人は認めていますが、それは正しい行為であり、無罪であると主張しているようです。

 そして不思議なことに、移民受入れを認めず、国籍取得にも厳しい条件を課し、民族の同質性が高い日本を高く評価しており、中でも麻生太郎を尊敬しているそうです。
 そればかりか精神鑑定を行う医師に日本人を希望しているとか。
 なんでも日本人は何よりも名誉を重んじる誇り高い国民であり、自分の行為を名誉と誇りという観点から理解してもらえるはずだ、などとほざいているそうです。

 困っちゃいますねぇ。

  30年を越えてブレイビク容疑者を拘束するには、逆説的ですが無罪にするしかなさそうです。
 心神喪失による無罪として、精神病院の閉鎖病棟に入院させれば、無期懲役みたいなものです。
 もっともその場合、医師の判断にかかってくるわけですが。


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処暑

2011年08月23日 | 文学

 今日は処暑ですね。
 二十四節気では、暑さがゆるむ頃。
 そうはいっても昨日までの涼しさが嘘のように、気温が上がっています。

 今日は珍しく、昼休みのひととき、漢詩をひもといてみました。


 学生時代、必修の漢文学概論というのが非常に厳しく、返り点なしの白文で読めるようにならないと単位がもらえないということで、かなり勉強したのですが、一年目は単位を落としてしまい、それがトラウマになったのか、その後漢文は敬して遠ざけてきました。

「秋夜将に暁けんとし、
籬門を出でて涼を迎ふ、感有り」
 
迢迢たる天漢 西南に落ち
 喔喔たる隣鶏 一再鳴く
 壮志 病んでより来(このかた) 消えて尽きんと欲す

 門を出で首を掻いて 平生を愴(いた)む

  原文だと読みにくいので、書き下し文に直しました。

  
私なりに訳してみると、以下のような意かと思います。

 
はるか遠くの銀河は西南の空に落ちていき
 コッコッと隣の家の鶏が一声二声と鳴いている。
 国を憂う、まだ壮年の私だが、病気をして以来、どうにも気力が出て来ない。
 門を出て頭を掻きながら、人生を悲しむより他はない。


 南宋(平安後期)頃の代表的な詩人、陸游の漢詩です。
 たいそうな国士だったそうですが、出世できず、その悲哀が詩に表れていると言われています。
 季節が夏から秋に替わる頃、心細くなったのでしょうか、上記のような詩を詠んでいます。

 春の春愁、秋の秋思、とか申します。

 人はなぜ、夏にせよ冬にせよ、過酷な季節をやり過ごすと、メランコリックな物思いに沈むのでしょうね。
 待ちかねた季節であったはずなのに。

  私は春の憂鬱な気にあてられると、一気に気持ちがふさぐのですが、秋の物思いはむしろ心地よく感じます。

 もう、秋はすぐそこですねぇ。

陸游詩選 (岩波文庫)
一海 知義
岩波書店
漢詩をよむ 陸游100選 (NHKライブラリー)
石川 忠久
日本放送出版協会

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アフガン

2011年08月23日 | 社会・政治

 ロシア版「プラトーン」とも言うべき戦争映画、「アフガン」を昨夜DVDで鑑賞しました。

 1988年、アフガニスタンとの戦争が泥沼化したソビエト。
 祖国の窮地を救うべく志願した若者たち。
 前半は新兵たちが地獄の訓練を耐え抜くさまが描かれます。
 ここは多分、「愛と青春の旅立ち」を意識して作られていると思います。
 後半は、最前線の第9中隊に配属された彼らと、アフガニスタンのイスラム兵たちとの死闘が描かれます。
 高地に築いたお粗末なソビエト軍の陣地に、顔に黒い布を巻いたイスラム戦士たちが、雨後の筍のように次から次から、殺しても殺しても、自軍の兵士の死体を踏み越えて突撃してくる様は圧巻です。
 まさに死兵の突撃。
 いかに銃器に勝るソビエト軍といえども、あの人海戦術に適うはずがありません。
 次々と倒れていくソビエト兵。
 なかなかの迫力です。

 しかし、「プラトーン」に見られたような、米兵同士の確執や、自分が戦場に放り出されたかのような臨場感は感じられませんでした。
 また、「愛と青春の旅立ち」に見られたような、鬼軍曹と士官候補生との人間的なドラマもありませんでした。

 それと、米国にとってのベトナム戦争のように、ソビエトにとってアフガニスタンとの戦争は、いわば余計なお節介をやいたわけです。
 ベトナムでの米兵がマリファナや酒で厭戦気分を紛らわせながらどうにか戦っているのに比べ、ソビエト兵はあまりに優等生的というか、お上品に過ぎるように感じました。
 実際のソビエト兵は長い圧政と物不足に倦んでいたものと想像します。
 実際、アフガニスタンとの死闘から数年を経ずして、ソビエト連邦は崩壊してしまうのですから。

 私としては、迫力はあるけど深みがない、残念な映画と見ました。

アフガン [DVD]
ユーリー・コロツコフ
アルバトロス
プラトーン (特別編) [DVD]
トム・ベレンジャー,ウィレム・デフォー,チャーリー・シーン,ケビン・ディロン,フォレスト・ウィテカー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
愛と青春の旅だち [DVD]
リチャード・ギア,デブラ・ウィンガー,ルイス・ゴセット・ジュニア
CICビクター・ビデオ

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