ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

ひまわり

2011年08月18日 | 文学

 今日も千葉は暑かったですねぇ。
 お盆は過ぎてもまだまだ夏は続きます。

 夏といえば、ひまわり。
 ひまわりの毒々しい色、びっしり詰まった花弁、一面に咲き誇る姿、どれも私には暑さを倍加させる、気味の悪い特徴に思えます。

 だから私は、ソフィア・ローレンの名画「ひまわり」のラストが気に入りません。
 なんだか薄気味悪いではないですか。

 
向日葵の ゆさりともせぬ 重たさよ  北原白秋

 暑そうですねぇ。
 風も吹かないのですね。
 しかしその重たさ、晩夏に違いありません。
 重たいひまわりは、秋の訪れを誘うものでもあるようです。


 髪に挿せば かくやくと射る 夏の日や 王者の花の こがねひぐるま  
与謝野晶子

 
こちらは盛夏の趣ですね。
 日周りとも書いたというこの夏の花。
 その花を髪飾りにして、王者の花を誇ったのですね。
 歌人自身も若く美しく輝き、王者の花は歌人を神々しく彩ったことでしょう。

 夏の終わりはどこかさびしく、王者の花はもうその輝きを失いつつあります。
 
 その寂しさを超えたなら、過ごしやすい秋の到来。
 待ち遠しいですねぇ。

白秋 青春詩歌集 (講談社文芸文庫)
三木 卓
講談社
新選 与謝野晶子歌集 (講談社文芸文庫)
与謝野 晶子,道浦 母都子 (選)
講談社
ひまわり デジタルリマスター版 [DVD]
ソフィア・ローレン,マルチェロ・マストロヤンニ
東北新社

にほんブログ村 本ブログ 純文学へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしいすごいとても良い良い


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

細君譲渡

2011年08月18日 | 文学

 文学者のゴシップといえば、谷崎潤一郎が妻を佐藤春夫に譲った細君譲渡事件が有名ですね。

 それが世に発表されたのは、今から81年前の今日、昭和5年8月19日のことでした。

 某有名新聞に、谷崎夫妻及び佐藤春夫の3名連名で発表されたから、世間はびっくりぎょうてんです。

 我等三人この度合議をもって、千代は潤一郎と離別致し、春夫と結婚致す事と相成り、潤一郎娘鮎子は母と同居致すべく、素より双方交際の儀は従前通りに就き、右ご諒承の上、一層の御厚誼を賜りたく、いずれ相当仲人を立て、ご披露に及ぶべき候えども、取敢えず寸楮を以ってご通知申し上げ候。(抜粋)

 谷崎潤一郎は千代と結婚するも、不埒にもすでに夫がいる千代の妹に懸想し、千代との仲は冷え冷えとします。
 そこにやはり夫婦仲の悪かった佐藤春夫が割って入り、千代に同情し、やがて恋情を抱きます。
 数年間の紆余曲折を経て、佐藤春夫谷崎潤一郎も離婚、佐藤春夫は元谷崎夫人の千代と結婚。
 谷崎潤一郎は晴れて独身を謳歌することになります。

 よくあることと言ってしまえばそれまでですが、高名な作家同士のことで、当時のゴシップ紙は飛びついたことでしょう。

 例えば、今、平野啓一郎高橋源一郎との間で似たようなことが起きたと思えば、その衝撃が知れましょう。

 いやむしろ、高名な作家同士より、テレビ・タレントのほうがインパクトがあるでしょうね。
 江口洋介森高千里の夫婦と、石橋貴明鈴木保奈美の夫婦が細君譲渡なんてことをしたら、芸能マスコミは大騒ぎするでしょうねぇ。
 見てみたいものです。

 離婚することが軽い時代、なかなか一人の異性と添い遂げるのは難しいんでしょうねぇ。


下の作品は、佐藤春夫自らが、事の顛末を綴った小説です。

この三つのもの (講談社文芸文庫)
佐藤 春夫
講談社

下の作品は、谷崎潤一郎自らが、事の顛末を綴った小説です。

潤一郎ラビリンス〈12〉神と人との間 (中公文庫)
谷崎 潤一郎
中央公論新社

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしいすごいとても良い良い

にほんブログ村 本ブログ 純文学へ
にほんブログ村


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

戦犯

2011年08月18日 | 社会・政治

 民主党代表選挙、喧しくなってきましたねぇ。
 有力候補の野田財務大臣、数年前に国会で「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」と発言していたことが韓国などから非難されています。

 これ、ちょっとややこしいのですよねぇ。

 わが国は連合軍占領下において東京裁判を受入れたので、彼らは戦争犯罪人である、と考えるのは素直なことですが、サンフランシスコ講和条約を締結して独立を回復して間もなく、国会は全会一致でA・B・C級問わず、すべての戦犯を日本の国内法において無罪とし、名誉回復したわけです。

 そうすると国内的には戦争犯罪人ではなく、しかし東京裁判では有罪となっているので国際的には戦争犯罪人と見なされる、という面倒なことになっています。

 したがって野田財務大臣は国内的には戦争犯罪人ではない、と言ったと理解すれば間違いではないことになります。
 一方、毎年靖国神社を公式参拝し続けた小泉元総理は、A級戦犯を戦争犯罪人であると国会で答弁しています。
 こちらは国際的な見地を述べたものと思われます。

 私見では、公人である大臣が発言するときには、国際的なスタンダードに従って発言すべきであろうと考えます。
 それは戦犯とされて刑死した方のご遺族にとっては我慢ならないほど悔しいことであろうとは思います。

 しかし、わが国は、虚しい嘘だと分かっていても、東京裁判が不公正な復讐劇だったと知っていても、世界標準がそれを認めている以上、それを認めるふりくらいはしなければなりません。

 なぜなら、そのほうがわが国にとって得だからです。
  そう言わなければ、世界標準を外れた危険な国だと見なされてしまうからです。  

 私もA・B・C級戦犯の人々を犯罪者だと口に出すことは地団太踏むほど悔しいですが、それはおくびにも出さず、彼らは戦犯だ、と言わなければなりません。

 何が悪いと言って、大きな戦に敗れたことが、一番悪いのですから。
 

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしい すごい とても良い 良い

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする