ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

老境にして

2011年08月02日 | 文学

 本宮哲郎という俳人がいます。

 年はもう八十を超え、そろそろ枯淡の境地に遊ぼうかと言う頃あい。
 しかし彼は、老境を迎えて、それまでの故郷を詠む牧歌的な句から、恋や色を艶やかに詠む句風に変じてきたのです。

 行水の 女体ましろく 暮れてをり   

 恋の猫 月下の橋を 鳴きながら

 どちらも若い俳人の手になるものかと勘違いするような、瑞々しい異性への恋情を感じさせます。
 80を過ぎてこの句境に達するとは、人間精神の運動とは不思議なものです。

 
花冷えや 土の粘つく 田靴脱ぐ 
 
 舟が着き 代掻牛の 降ろさるる  

 葱苗を 選ぶ地べたに 正座して  

 伐り口の 樹液 八月十五日  

 高稲架に 風の抜け穴 日本海

 これらが、本宮哲郎の代表的な句です。
 どれも田舎の百姓の日々を力強く詠んだものです。

 それが、萩原朔太郎もかくやと思わせるような、虚とも実ともつかない、幻想的な美を謳いあげています。
 あるいは、老境に至ったからこそ、何の衒いもなく幻想美を詠むことができたのでしょうか。 

 わが国の文人は、若い頃には気負って野心に満ちた大作を物そうと力みがちですが、年をとると力が抜けて枯れた良い味わいを醸し出すことがよくあります。

 文人ではありませんが、噺家なんてそういう人が多いですね。
 若い噺家は元気一杯で、どうだ面白いだろう、と言わんばかりですが、例えば私が当代最高の噺家と考えている柳家小三治師匠などは、つまらなそうに、苦虫をかみつぶしたような表情で噺をします。

 してみると、本宮哲郎にとっては、故郷を謳うことこそ力技であって、色恋を幻想美のスパイスを効かせて詠むことは、たやすいことだったのでしょうか。

日本海―本宮哲郎句集 (ふらんす堂俳句叢書―現代俳句12人集)
本宮 哲郎
ふらんす堂
句集 伊夜日子 角川俳句叢書 52
本宮 哲郎
角川学芸出版
萩原朔太郎詩集 (新潮文庫)
萩原 朔太郎,河上 徹太郎
新潮社
落語研究会 柳家小三治全集 [DVD]
柳家小三治
Sony Music Direct(Japan)Inc.(SME)(D)

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赤いイタリア人

2011年08月02日 | 社会・政治

 菅総理が記者会見を開いて脱・原発を目指すと表明したのは7月13日のこと。
 生中継で記者会見を見ましたが、てっきり総辞職か衆議院解散だと思い、緊張したところ、最後までそういう発言はなく、拍子抜けしました。

 その2週間前。
 6月29日に菅総理は某イタリア人と会っていたのです。
 ピオ・デミリア
 イタリアの極左テロ集団、赤い旅団の弁護士です。
 この人物が菅総理に脱・原発に舵を切るよう強く勧め、総理はその気になったというわけです。
 赤い旅団、1970年代はじめには年間2千件ものテロ事件を起こしたというから驚きです。
 当時のイタリア人は震えあがったことでしょうねぇ。
 ついには元首相まで誘拐の末暗殺しています。

 格好悪いことに、記者会見のわずか2日後には個人的な考えを述べただけだ、と閣内不一致の言い訳をし、結局経済産業省も電力会社もどうしてよいやらわからない、という状況が続いています。

 おのれが最高権力者のくせに、経済産業省を巨大な権力機構に見立て、おのれをそれに立ち向かう市民活動家に見立てて大向こう受けを狙うとは、ブッラク・ジョークにしても毒気が強すぎます。
 経済産業省職員はあなたの部下ですよ。
 部下の不始末は上司の責任。
 部下と対決してどうするんですか。

 総理大臣に選ばれたのは、民主的な手続きによっており、出自は市民活動家だろうと官僚だろうと総理の倅だろうと小説家だろうとコメディアンだろうと、なんだってかまいません。

 しかし、出自にこだわって、立場はがらりと変わったのに昔の手法で人気をとろうとするのは、いかにも芸がありません。

 本当は今ではすっかり色あせた世界同時赤色革命の幻想でも世界中の極左テロリストと語り合っているのがお望みなのではないですか。

首相暗殺―赤い旅団のテロルと闘った男の壮絶な日々
リック タナカ
集英社

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永世中立

2011年08月02日 | 社会・政治

 永世中立国といえば、まずはスイスを思い浮かべます。
 そのほかに、オーストリアトルクメニスタンが国連で承認された永世中立国です。
 オーストリアの場合は、欧州連合に加盟してしまったので、事実上、永世中立国であることを止めたと言っていいでしょう。
 他に永世中立国を宣言している国がいくつかありますが、承認されていないそうです。

 私の職場に、スイスから漆器の研究に来ているF氏がいます。
 時々喫煙所で一緒になって、話をします。
 F氏が語りたがるのは、専門の漆のことではなく、軍隊経験です。

 永世中立を国是とする以上、他国と軍事同盟は結べず、軍事的危機に際しては、自国のみで対処しなければならず、当然の帰結として徴兵制がしかれ、国民は等しく軍役に就くのです。
  身の丈に合わない強大な軍隊を保持し続けている道理です。

 F氏が駐屯した場所は、とても古い施設で、シャワーはあるけどお湯が出なかったそうです。
 まるで瀧に打たれる行者のように、真冬は震え、大声を上げながらシャワーを浴びたとか。
 上官の言うことは絶対で、おかしげな命令だからと言って抗議したり、ご意見したりするのは許されないそうです。
 戦場において、生きるか死ぬかという極限状況では議論している暇などなく、組織だって動くにはおかしいと思っても上官の命令に従わなければならないのでしょうね。

 軍隊というのはいずこも理不尽がまかり通るようです。

 幸いにしてわが国は徴兵制を採っておらず、私は銃を撃つ訓練をすることなく、一生を終えることができそうです。
 仮に北朝鮮や中国の脅威が高まり、徴兵制が復活したところで、もうすぐ42歳になろうという私に召集令状はこないでしょう。

 F氏は、軍隊の理不尽を並べ立てながら、軍隊に行って良かった、とも言います。
 若いうちに厳しい訓練を受け、過酷な環境で暮らすことで、平和な一般社会の有難味がわかり、これを守るためには侵略者に銃を向けることに躊躇は覚えない、とか。

 わが国で徴兵制をしく必要はないでしょうが、以前このブログに書いたように、役務の提供を目的とする強制的な徴発を国民の義務としてもよいのではないでしょうか。
 そこで体を鍛え、消防や防災などの活動に当たることは、わが国の若者に一本筋を通すことになろうかと思います。

 私のようなキャンプやアウトドアが大嫌いな中年おやじになる前に、自然と親しみ、額に汗して広く公共の福祉に貢献することは、教育的観点からも有益でしょう。

 もちろん、今さら40過ぎのおっさんを引っ張り出すような愚は犯してはいけませんが。

スイスと日本 国を守るということ -「永世中立」を支える「民間防衛」の知恵に学ぶ
松村 劭
祥伝社

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鬱陵 ( ウルルン ) 島

2011年08月02日 | 社会・政治

 鬱陵 ( ウルルン ) 島、漢字で書くと気が滅入るような語感ですが、カタカナで書くとなんだか楽しそうな島ですね。

 自民党の三人の国会議員が、鬱陵 ( ウルルン ) 島を視察しようとして、入国を拒否され、空港から一歩も出ることなく日本に帰されてしまいました。

 ちょっと失礼じゃないですかねぇ。

 鬱陵 ( ウルルン ) 島に行って、竹島は日本固有の領土だ、と抗議行動をするわけではありますまい。
 領土問題に関する勉強のため、鬱陵 ( ウルルン ) 島にある博物館に行く予定だったと聞きました。
 ところがその博物館、竹島が歴史的に韓国固有の領土だという説明をしていないため、日本の国会議員に見せたくなかったのではないか、と解説している新聞がありました。

 自民党の国会議員を過激派かテロリストとでも思っているんでしょうかねぇ。

 韓国人はしょっちゅう島根県庁に大挙しておしかけ、独島(竹島)は韓国固有の領土だ、なんて叫んでいますが、そのことを理由に入国拒否なんてできません。
 わが国には言論の自由があり、集会結社の自由があるからです。
 たしか韓国にもそれがあったように思いますが、無いんでしょうかねぇ。

 毎度お馴染みの韓国人による感情的な反日運動。
 そんなものまともに相手をするだけ馬鹿げています。

 韓国人のみなさん、あんまりきぃきぃ騒いでいると、世界中から相手にされなくなりますよ。

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