Sunday Song Book #1204

2015年11月09日 | Sunday Song Book

2015年11月08日プレイリスト
「逝ける南部人を偲んで」
1. STORMY / THE CLASSICS IV '68
2. TRACES / THE CLASSICS IV '69
3. MIDNIGHT / THE CLASSICS IV '69
4. MIGHTY CLOUDS OF JOY / B.J.THOMAS '71
5. THE LETTER / THE BOX TOPS '67
6. SOUL DEEP / THE BOX TOPS '69
7. ALWAYS ON MY MIND / WILLIE NELSON '82
8. ALWAYS ON MY MIND / WAYNE CARSON "WRITER" '00
9. DOWN IN THE BOONDOCKS / BILLY JOE ROYAL '65
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■内容の一部を抜粋
・近況
ツアーは早くも10本を消化して福岡公演が終わったところ。10月30日、31日の大阪フェスティバルホールから直接福岡へ行って東京には帰っていないという。ツアーが込み入ってるときは東京に戻れず地方で番組を収録することがある。これまでも広島や仙台でやってるが今回は博多のFM福岡で11月6日に収録しているそうだ。今週は11月9日(月)が倉敷市民会館、11日(水)は島根県松江市の島根県民会館。ライヴはほぼ順調に推移しているとか。15日(日)は神奈川県民ホール。

・PERFORMANCE 2015-2016
山下達郎デビュー40周年。「PERFORMANCE 2015-2016」は40th Anniversaryのツアー。ツアーに関する詳細は特設サイトにて。
http://www.tatsuro.co.jp/live/

・逝ける南部人を偲んで
達郎さんが十代、二十代の頃に聴いていたいろいろなシンガー、ソングライター、ミュージシャンたち、現在七十代、八十代で達郎さんより一回り上の世代の人たちの訃報が飛び込んでくることが多くなり、今年は特にサザン・ロックというか、'60年代のまだハード・サウンディングではないサザン・ポップ、カントリー系やR&B系の南部のポップ・ミュージックを担っていたミュージシャンが相次いで亡くなった。今週はそれをピックアップして「逝ける南部人を偲んで」と題して、達郎さんが若い頃に聴いていたミュージシャン、ソングライター、プロデューサーを中心に特集。選曲の過程で二人に絞りアトランタのバディ・ビューイという有名なソングライター、ナッシュビルのウェイン・カースンという有名なソングライターを中心に名曲の数々を聴く。

アメリカ南部は音楽の宝庫でカントリー・ミュージック、R&B、白人音楽も黒人音楽もいろいろなかたちで、ナッシュビル、テキサス、ジョージア、アラバマ、フロリダ、ニューオリンズあたりの南の地区の音楽の豊穣な世界を、達郎さんも夢中になって聴いていた。とりわけ好きだったのはアトランタの音楽。達郎さんが中学から高校にかけてヒットしていたクラシックス・フォーというグループの作曲をしていたのがバディ・ビューイとジェイムス・コブという二人のソングライター・チーム。そのバディ・ビューイが先日亡くなった。享年74歳。もともとはフロリダ生まれでニューヨークに行ってアトランタに腰を落ち着けて、ソングライター、プロデューサーの活動を行っていた。トミー・ローのヒット曲からロイ・オービソンのバック・バンドを経て、ソングライターで大成功して、クラシックス・フォーに幾多の曲を書いて、その後、アトランタ・リズム・セクションのスタッフになってゆく。そんな中でバディ・ビューイの最大のヒット曲は言うまでもなくクラシックス・フォー。

・STORMY
クラシックス・フォーの1968年、全米3位の「STORMY」。リード・ヴォーカリストのデニス・ヨーストのハスキーな声で一世を風靡した。デニス・ヨーストは2008年に亡くなっている。

・TRACES
'70年代以降のサザン・ロックというとオールマン・ブラザーズとかレナード・スキナードといったブルース・ベーシックなハード・サウンディングを代表する、そういうようなものになってゆくが、'60年代はむしろメロウなサウンドが、'60年代後期にひじょうに流行った時代がある。サザン・ロックというよりサザン・ポップ。カントリーっぽくもないしあまり黒くもない。アトランタ地区のポップ・ミュージックはこうしたさわやかなきれいな音色(おんしょく)、ナッシュビルにしてもアトランタにしても、スタジオ・ミュージシャンはきれいな音色を出す人が多いので、そういうようなものを利用して作られた音楽。クラシックス・フォーもそんなふうなひとつ。デビュー作の「SPOOKY」が大ヒットして(作曲はバディ・ビューイではない)、セカンド・ヒットが「STORMY」。サード・ヒットが1968年、全米5位のミリオン・セラーの「TRACES」。ヴェトナム戦争が激烈を増してゆく中で逆にこうした癒し系の音楽が生まれてきたということも言える。

・MIDNIGHT
達郎さんがいちばん好きなクラシックス・フォーの曲「MIDNIGHT」。全然ヒットしなかったアルバムからシングル・カットされた。1969年、全米58位というスマッシュ・ヒット。彼女の髪が黒くて真夜中にデートして僕は彼女の髪をジョークで「MIDNIGHT」と呼んだという失われた恋の切ない歌。この頃になるとデニス・ヨースト & クラシックス・フォーという名義。ひじょうにソフトな音楽。クラシックス・フォーの諸作品はほとんどバディ・ビューイとジェイムス・コブという二人のソングライター・チームによって書かれた。

・MIGHTY CLOUDS OF JOY
バディ・ビューイはその後、アトランタ・リズム・セクションのマネージャーになり音楽業界に関わってゆく。ロイ・オービソンのバック・バンド「キャンディ・メン」のドラマー、ロバート・ニックス。バディ・ビューイがロバート・ニックスと共作してB.J.トーマスに提供した一曲「MIGHTY CLOUDS OF JOY」。達郎さんはこの曲がB.J.トーマスの最高傑作だと思ってるという。1971年、全米34位のスマッシュ・ヒット。日本ではB.J.トーマスというとバート・バカラックの一連の作品で有名だが、達郎さんはB.J.トーマスがバカラックに合ってると思ったことは一度もないとか。むしろチップス・モーマンやバディ・ビューイとジェイムス・コブといった南部系の作家の作品のほうが圧倒的に合ってると思ってるそうだ。

・NATALE(ナターレ) 2015 ~ラ チッタデッラのクリスマス
神奈川県のJR川崎駅前の複合商業施設「ラ チッタデッラ」で11月12日(木)からスタートする「NATALE(ナターレ) 2015 ~ラ チッタデッラのクリスマス」というイベント(イルミネーションの噴水ショー)に「クリスマス・イブ」が使われる。2013年の「クリスマス・イブ」30th Anniversary EditionのCDシングルの初回限定盤DVDに収録されたショート・フィルムは「ラ チッタデッラ」でロケが行われたそうだ。そのときもイルミネーションの噴水ショーに「クリスマス・イブ」が使われたが今回は二年ぶりにまた使用される。12月24日は達郎さんのバンドのサックス奏者、宮里陽太さんのクリスマス・ライヴが同施設で行われる。詳しくは「ラ チッタデッラ」のホームページにて。
http://lacittadella.co.jp/natale2015/

「逝ける南部人を偲んで」後半はウェイン・カースン。デンバー、コロラドの出身。ミズーリーを経てソングライターとしてナッシュビルに落ち着く。たくさんヒット曲を持ってる典型的な南部のソングライターの一人。

・THE LETTER
ウェイン・カースンの代表作は1967年の「THE LETTER」。ボックス・トップスはメンフィスの5人組の白人ヴォーカル・インストゥルメンタル・グループ。4週間連続全米NO.1のミリオン・セラー。「THE LETTER」は後にジョー・コッカーでも流行った。作曲はウェイン・カースン。当時はウェイン・カースン・トンプソンと名乗っていた。ボックス・トップスのヴォーカルはアレックス・チルトン。当時17歳だった。アレックス・チルトンは2010年に享年59歳で亡くなった。先ほどのデニス・ヨーストもそうだが南部人というのはしゃがれ声というか渋い声。

・SOUL DEEP
ボックス・トップスの中で達郎さんが好きな一曲「SOUL DEEP」。1969年、全米18位。アレックス・チルトンはこの後、ボックス・トップスをやめてからビッグ・スターというカルトなバンドを作って人気を誇った。

・ALWAYS ON MY MIND
ウェイン・カースンでいちばん有名な曲は「ALWAYS ON MY MIND」。最初、ブレンダ・リーが歌って、それからエルヴィスに受け継がれて、1984年にウィリー・ネルソンが取り上げてプラチナ・ディスクとなり、その年のグラミーのソング・オブ・ザイヤーを獲得した。その後、ペット・ショップ・ボーイズのカヴァーでも有名になった。
ウィリー・ネルソンが番組でかかるのははじめてかもしれないと達郎さん。実は達郎さんはウィリー・ネルソンが好きで夜寝るときによく聴いてるそうだ。「こんな哀しい声してる人いませんが」と達郎さん。
「僕は君を愛してなかったのかもしれない チャンスは何度でもしっかりあったのに 思いやりに欠けていたのかもしれない もっと君を大事にできたのかもしれない」という歌い出し。最後は「もう一回戻ってほしい 愛はまだなくなっていない もう一度チャンスをくれないか」という切実な歌。

・ALWAYS ON MY MIND
ウェイン・カースンは何度かソロを出していて'70年代の初めにモニュメント・レーベルから出したレコードは話題にならなくて未だCDにもなっていない。2000年に『WRITER』というタイトルでCDが出ている。その中にウェイン・カースンが自ら歌う「ALWAYS ON MY MIND」が入ってる。ウェイン・カースン享年72歳。

・DOWN IN THE BOONDOCKS
「逝ける南部人を偲んで」の特集を企画しているときにビリー・ジョー・ロイヤルの訃報が飛び込んできた。10月6日、享年73歳。ジョージア生まれのアトランタ・サウンドの要。プロデュースド・バイ・ジョー・サウス。デモを歌ってそれがヒットした。1965年の「DOWN IN THE BOONDOCKS」。

■リクエスト・お便りの宛て先:
〒102-8080 東京FM
「山下達郎サンデー・ソングブック」係

11月15日はレギュラープログラム「棚からひとつかみ」
http://www.tatsuro.co.jp
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