ryuichi sakamoto playing the piano

2009年12月29日 | Live

12月20日(日) 晴れのち曇り。
午前中、大阪市内でも雪が舞ったそうだが寝ていたので知らなかった。
SSBを聴いた後、イオン化粧品シアターBRAVA!へ。

坂本龍一のピアノ・ソロ・コンサートを聴きに行くのは今年の春以来となる。
http://blog.goo.ne.jp/sitedoi/e/7ef42fbbea198e6378650c3dd9bd9d90

今回は大貫妙子をゲストに迎えての大阪、横浜、東京を廻るミニ・ツアー。
直前の12月初旬まで教授はヨーロッパ・ツアーを行っていた。
教授語り下ろしによる自伝『音楽は自由にする』によると、
ベルナルト・ベルトルッチ監督作品の3作品、
『ラスト・エンペラー』、『シェルタリング・スカイ』、『リトル・ブッダ』で
映画音楽を担当したことによりイタリアでは知られた存在なのだとか。

『音楽は自由にする』にはいろいろと印象に残る話があった。
中でも最近立ち上げたレーベルの話にはドキリとさせられた。
CDが売れなくなっていて、教授でもCDの売り上げだけで生計を立てるのが難しくなってるらしい。
音楽は今や無料でやり取りされる時代になった(なってしまったというか...)。
これから音楽の流通の仕方が変わってゆくだろう。
必要とされるところに還元してゆく方向に向かうのかもしれない。

おっと脱線してしまったが。
「ryuichi sakamoto playing the piano featuring taeko onuki」である。
今回の共演はター坊が来年、教授の曲に詞をつけて歌うことになり、
いい機会だからということで実現したそうだ。
ただまだ実際に詞をつける段階まで進んでおらず、
過去に教授がプロデュース&アレンジで参加した曲等の披露に留まった。

オープニングは春のツアーと同じく漆黒の闇の演出。
4曲目までは毎回同じセットリストだということで、
直近のヨーロッパ・ツアーでは演奏したが、春の国内ツアーではやらなかった
ニュー・アルバム『out of noise』の曲を披露した。
また春のツアーに触れて、
「春は二台のピアノでやりましたが、もう一台借りるのに20万もいるので今回は一台だけです」
と教授は話していた。空調を止めていたのでお香のかおりが客席まで漂ってきていた。

曲名についてのコメントがあって「a flower is not a flower」は女性のことを言った中国の言葉らしい。
「mizu no naka no bagatelle」の"bagatelle"は「つまらない曲」という意味なのだそうだ。
だから「水の中のつまらない曲」ということになるらしい。

ここ10年ほどのあいだでCMのタイアップ曲となった「asiance」や「energy flow」といったお馴染みの曲の後、
「before long」が出てきた。アルバムの中の名曲といった存在なので意外な選曲であった。
春の国内ツアーでも披露されたようだが、僕は今回はじめてライヴで聴いた。

中盤にター坊とのコラボレーションがあった。
「20万円のピアノの代わりです」とター坊(笑)。
「ピアノの代わりというわけで言ったんじゃなかったんですよ、大貫さま」と教授(笑)。
ター坊のラジオ番組に教授がゲスト出演したが教授は覚えてなさそうだった。
昨年夏の特番だったから僕もうっすらとしか覚えてなかった。
http://blog.goo.ne.jp/sitedoi/e/6a6b76aae627c60421d8fb0e8bfff4e9

ター坊のラジオ番組にはほかにどんな人が出たのかと教授が質問。
「養老孟司さんとか大瀧詠一さん...」とター坊が答えたところ、
「大瀧さんのトリヴュート・コンサートに出たって聞いたけど、ほかには誰が出たの? 美奈子とか?」
「どんな曲歌ったの?」と質問攻めの教授。
ター坊は「君は天然色」を一節アカペラで歌ったが
「その曲は有名なの?」と教授(笑)。
お互いB型どうしということで会話がまったく成立せず(ター坊ってBだったんですね)、
というかお互い人の話を聞いてないという(笑)、そんなゆるい会話が楽しかった。

「色彩都市」は教授がアレンジした曲の中で最高傑作となる作品なのだという。
ター坊のライヴでピアノを弾くのはいつもフェビアン・レザ・パネ。
シルクのようなピアノの音色といわれるフェビアン・レザ・パネと教授では曲の解釈が全く違った。
教授のピアノはぐっと枯れた味わい。
こんなにも変わるのだなぁと感慨深く思った。

しかし、教授のピアノとター坊の歌だけというのは、なんというか、もう侘寂(わびさび)の世界だった。
これもまた意外なことだった。もしも二人だけでアルバムを作ったら相当渋いんじゃないかと思った。

後半はまた教授のピアノ・ソロ。映画のテーマ曲が続けて披露された。
「1900」はエンニオ・モリコーネの曲でベルトルッチ監督作品『1900年』のテーマ曲。
久しぶりに聴いた「last emperor」は本当によかった。

アンコールでまたター坊との共演があった後、二人で揃ってステージを降りた。
そんな、クリスマス前のこの時期に「戦メリ」やらないなんて。
客電が点いても鳴り止まない手拍子の波。誰もが待っていた。
教授が出てきて「帰らないわね。しょうがないやるか」とぽつり。
最後に「Merry Christmas Mr.Lawrence」を弾いた。人が悪いですね。
僕が春に聴いたライヴで披露された「composition 0919」や「tibetan dance」といった
勢いを感じさせる曲がセットリストから消えたせいで
教授のピアノ・タッチが昔と変わったことを実感した。
「Merry Christmas Mr.Lawrence」は正にそうだったが、深みが出ていて素晴らしいと思った。

■ryuichi sakamoto playing the piano featuring taeko onuki
2009年12月20日(日) イオン化粧品シアターBRAVA!
1階G列32番

set list
01 still life
02 in the red
03 tama
04 nostalgia
05 a flower is not a flower
06 mizu no naka no bagatelle
07 amore
08 asiance
09 energy flow
10 tamago
11 before long
12 色彩都市
13 懐かしい未来~longing future~
14 tango
15 bibo no aozora
16 high heels
17 1900
18 last emperor
encore
19 突然の贈り物
20 風の道
21 Merry Christmas Mr.Lawrence


コメント (4)
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