Motoharu Radio Show #027

2009年12月09日 | Motoharu Radio Show

2009/12/08 OnAir - 2nd Week
01.Norah Jones:Young Blood
02.佐野元春:夏のピースハウスにて
03.佐野元春:楽しい時
04.佐野元春:経験の唄
05.佐野元春 and The Hobo King Band:ヤング・フォーエバー
06.佐野元春 and The Hobo King Band:ドライブ
07.佐野元春:だいじょうぶ、と彼女は言った
08.佐野元春:すべてうまくはいかなくても
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■内容の一部を抜粋
・3PICKS!
「Motoharu Radio Show」では毎月番組推薦盤3枚のCDをピックアップしている。今月12月の「3PICKS!」はジェイミー・カラム『The Pursuit』、ノラ・ジョーンズ『The Fall』、そしてリッキー・リー・ジョーンズ『Balim In Gilead』。どのレコードも心に響くよいソングライティングと素晴らしいサウンドがあると元春。この中から今週はノラ・ジョーンズ『The Fall』。

・ノラ・ジョーンズ
1979年生まれ、30歳。現在ニューヨーク在住。実父はインド人のシタール奏者、ラビイ・シャンカールでビートルズと親交があったことでよく知られている。これまでノラ・ジョーンズの音楽はジャズというジャンルで語られることもあったが、新しいアルバムはそうしたイメージから離れて新しいノラ・ジョーンズがいる。資料によると最近個人的にいろいろな過渡期を迎えたということだ。30歳という年齢のこと、私生活でパートナーと別れたこと、そうした時期を乗り越えて作ったアルバムがこの新作。新作では新しいバンドのメンバーをフィーチャーして、プロデューサーとしてトム・ウェイツのプロデューサー/エンジニアとしても知られているジャックワイア・キングが参加している。
「僕もアルバムを聴きましたけれども、ノラ・ジョーンズやバンドがすぐそこにいるかのようなとても生な感じですね、そして演奏者の体温を感じます。これは確かにトム・ウェイツのプロデューサー/エンジニア、ジャックワイア・キングのアイディアなんだろうな、そんなふうに思いました」と元春。
ノラ・ジョーンズの新作はソングライティングも素晴らしい。「Don't Know Why」を共作したジェシー・ハリスとの曲、そしてMRSでもときどき取り上げているライアン・アダムスとのとてもいいデュエット曲もある。興味のある方は是非アルバムを聴いてほしい。ノラ・ジョーンズの『The Fall』から1曲「Young Blood」。

・'90年代の佐野元春 Part.2
元春が1990年から1999年までにリリースした6枚のアルバムが最新のデジタル・リマスタリングを施して再発されることになった。先週、今週は「'90年代の佐野元春」と題して番組アシスタントのゴトウくんが企画・構成した特集を行う。今週はそのパート2で、'90年代後半の3枚のアルバムを紹介する。

・夏のピースハウスにて
1996年のアルバム『FRUITS』から。元春にはこれまでもインストゥルメンタルの曲があったけれど、ここまでの編成のオーケストラの曲はこれがはじめてなんだとか。アルバム『FRUITS』は元春が母親に捧げたアルバム。「夏のピースハウスにて」は元春が仕事を休んでお母さんに付き添った3ヶ月間の体験を題材して書いた曲。末期がんの治療のため滞在したホスピスの個室はピースハウスといって、窓の向こうにとても美しい緑の丘が見えたそうだ。
「母が亡くなってその景色を思い浮かべて書いたインストゥルメンタルです」と元春。

・悲しみが楽曲に滲まないように...
'90年代に家族の死が相次いだ元春。
「アルバムを作る度に自分の個人的な悲しみが多くの人が聴いてくれる楽曲の中にあまり滲まないように、そこを本当に気をよくかけてましたね、今思えば。人生の中で大事な経験をすると、どうして曲を書くのか、どうして僕は歌ってるのか、自分自身の生き方に問いかけてゆく、そういうことに繋がってゆくんですよね」と元春。

・アルバム『FRUITS』
ハートランド解散後、一年半くらいぼっーとしていたそうだ。いつまでもそうしていられないのでとにかくスタジオに戻らなくっちゃと思ったという。相変わらずクリエイティブな意欲は強くてたくさん曲を書いていたそうだ。スタジオでどんどんレコーディングして、一時は2枚組にしようかという話も出たとか。その中から1曲が長い曲でなくて、1曲4分以内でアイディアがぎゅうっといっぱい詰まってる、そういうアルバムを作りたかったと元春は話す。レコーディングはほとんど一発録りだったという。「優秀なミュージシャンとは僕の歌詞をよく聴いてくれるミュージシャンだ」と元春。演奏が上手いミュージシャンはいくらでもいるが、ソングライターが何を歌っているかということについて気を払ってくれるのが元春にとっていいミュージシャンだそうだ。

・古田たかし
古田たかしとは30年くらい一緒にバンドをやっていてピッチャーとキャッチャーのような感じなんだとか。
「これは僕の仕事のやり方なんですけれど、同じ仲間と末永く一緒に行動して、同じ景色を見て、同じ釜の飯を食って(笑)、そして同じものを見て感動したりがっかりしたりして、そうした心の通い合いが結局はいい音を奏でることに繋がるのではないかなと思ってるんですよね」と元春。

・アルバム『THE BARN』
1997年にホーボーキングバンドとウッドストックで録音したアルバム『THE BARN』。音楽雑誌に「佐野元春、'70年代回帰」だとか「レイドバックした佐野元春なんか聴きたくない」と書かれたこともあった。
「このバーン・アルバムというのは確かにそれまでにリリースしてきたアルバムと、サウンドとトーン、マナー違いますね。でもこれはかつて'80年代に『VISITORS』というアルバムを出したときも同じような批評というか非難はあった。それまでのアルバムと全然違うじゃないかって。でもこれは自分としては自分の音楽家としての成長というかね、脱皮というか、同じところに留まっていたくない、常に変化、変化、変化させて、自分をいつまでも活性化させておきたいという証拠なんですよね。バーン・アルバムを作った背景は新しい仲間が集ってくれた、僕とさほど年代は違わないんじゃないかな、みんなで話をしたときに、僕たち多感な頃に聴いた音楽って何? という話になって'70年代のよい米国のロック・サウンドだった、例えばディランだったり、バンドであったり、バーズであったり。僕たちにそうした精神的な音楽のルーツがあるんだったらば、その音楽の産地に行こうよ、その音楽が生まれたところへ行こうよって言って、自然にアメリカのウッドストック、ここで一ヶ月一緒に暮らして、そして生活も共にする中から音を生み出そう。正に夏の合宿でしたね。日本にもいろんなバンドと呼ばれるバンドはたくさんあったんだけれども、そうしたバンドにはない全く新しいタイプのバンドを僕は目指していたんですよね。なのでウッドストックに行って、僕らの機材を全部ウッドストックに、そしてレコーディング・スタジオも僕らの演奏用に一日、二日目は大工さんが入ってスタジオを作り、そこで一ヶ月間生活しながら作ったのがこのバーンです」と元春。

・アルバム『Stones and Eggs』
1999年、元春がホーム・スタジオで試しに一人で作ったアルバム。一部ホーボーキングバンドの生の演奏と取って代わった部分もある。
「レコーディングの基本はホーム・スタジオでやった。そこでどこまで可能性があるのかというのを見たかったんですよね。ただね、やってみたんだけど(笑)、一人のレコーディングはつまらない。せっかく上手に歌っても、どうよかったでしょと言っても誰も応えてくれないしね。どんなにいいギター・プレイしても誰も拍手してくれないしね。一人のレコーディングはつまらないと思いました」と元春。

・だいじょうぶ、と彼女は言った
1999年、アルバム『Stones and Eggs』からのシングル・カット。
「これはリリースが1999年、正にミレニアムを迎えることで、新しい世紀に向かって1曲書きたいなと思ってブランニューデイ。そしてこの後ね、スティングもやっぱりブランニューデイという(笑)、キーワードで曲を出したんでね、みんな同じことを考えてんだなぁと思いました」と元春。

・音楽業界の変化について
「それはインターネットの登場と関連していると思うんですよね。メジャー・カンパニーにはメジャー・カンパニーに良さがあるし、インディペンデントにはインディペンデントの良さがある。まずそう考えたいですね。僕はやっぱり一緒に仕事をする仲間だと思います。メジャー・カンパニーの中に自分の音楽を理解してくれる良い友人がいるならば、その彼と時代を切り開いていくべきだし、メジャー・カンパニーにそういうのがいない、身近なインディペンデンツの中に友達がいるということであれば、その仲間たちと歩めばいい、僕はそう思います」と元春。

・理想とするアーティストの姿は?
「音楽を始めて音楽をもって自分を表現してゆくとある日決めて、レコーディング・アーティストとしてみんなデビューするわけですから、できるだけ長くその音楽生活を歩めればいいなと思うんですよね。だから僕も含めて仲間たちも含めて、志したらできるだけ一直線、その音楽でもって、できるだけ長く生活していける、そういう環境を作ってゆく、創作の環境を自分で作ってゆく、自分で守ってゆく、これかなと思っています」と元春。

・'90年代の佐野元春
「'90年代は自分の実生活、実経験の中からよき詩を生み出そう、よきメロディを生み出そう、そしてそれを後から来る世代の人たちに、いい形でその想いを共有してもらえたらいいな、そういうふうにソングライティングの態度が変わってきたように思います」と元春。

・MOTOHARU SANO 1990 - 1999 ORIGINAL ALBUM REMASTERED
元春が1990年から1999年にかけてリリースした6枚のオリジナル・アルバム、『TIME OUT!』、『sweet 16』、『THE CIRCLE』、『FRUITS』、『THE BARN』、『Stones and Eggs』がデビュー30周年を記念してリイシューされることになり、それに先駆けてMWSストアとソニー・ミュージックダイレクトの共同企画として受注販売するのがBOXセット「MOTOHARU SANO 1990 - 1999 ORIGINAL ALBUM REMASTERED」。オリジナル・アルバム6枚を当時の曲順のまま収録。原音を忠実に再現した最新のデジタル・リマスタリングを施し、Blu-Spec方式を採用した高音質CDとなっている。見開きタイプの紙ダブル・ジャケット仕様で、アルバム・ブックレットをひとつに纏め、新たにテキストを加えた160ページのブックレットが収められている。価格は15,000円(税込)。オンラインでの予約販売のみの受付で完全生産限定盤。11月25日(水)から予約開始。12月21日(月)から発送開始となる。
http://www.moto.co.jp/remaster/90s/

・すべてうまくはいかなくても
番組アシスタントのゴトウくんからのリクエスト。1996年のアルバム『FRUITS』から。

・番組ウェブサイト
「二週に渡って特集した'90年代の佐野元春、聴いてくれてどうもありがとう。番組の感想などあったら番組専用のホームページまでお願いします」と元春。
http://www.moto.co.jp/MRS/
コメント (4)
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