メイヴィス・ステイプルズの『We'll Never Turn Back』が国内盤でリリースされたので購入した。6月に「Sunday Songbook」で山下達郎が素晴らしいと絶賛していたライ・クーダー・プロデュースの最新作だ。
アルバム収録曲「Eyes On The Prize」のPVをYouTubeで見た。公民権運動が取り上げられていた。今この時代に'50年代後半から'60年代半ばにかけて盛り上がった公民権運動を取り上げているのは何故だろう。アルバムのライナーを読むと、アルバム収録曲の多くが当時民間で歌われていたトラディショナル・ナンバーだそうだ。
アルバムのブックレットを開ければマーチン・ルーサー・キング牧師の写真が掲載されていて、「I'll Be Rested」という曲では"神様に呼ばれたら マーチン・ルーサー・キング牧師に会える"と歌っている。また、オリジナル曲の「My Own Eyes」ではニューオーリンズを襲ったハリケーンに触れて、"マーチン・ルーサー・キング牧師は教えを説いたが、50年経ってもひどい状況は何ひとつ変わらない、一体いつまで続くのだろう"と歌っている。
このアルバムが製作されたひとつの要因がハリケーン・カトリーナによる災害であることは間違いないだろう。昨年、リリースされたアーロン・ネヴィルの『bring it on home... the soul classics』もカトリーナの余波から生まれたアルバムだった。アーロン・ネヴィルが歌ったソウル・クラシックの中にステイプル・シンガーズの「Respect Yourself」が含まれていた。アーロンはその曲をメイヴィス・ステイプルズとデュエットしている。その体験がメイヴィスにとって貴重な体験となったのではないだろうか。そんな気がする。