Super J-Hits Radio

2007年05月22日 | 山下達郎

Super J-Hits Radio
2007年5月20日(日) FM802
DJ:加藤美樹
GUEST:竹内まりや

Playlist
1.シンクロニシティ(素敵な偶然)
2.哀しい恋人
3.人生の扉
------------------------------------
■内容の一部を抜粋
・家庭生活
この10年くらい日常のペースは変わらないというまりやさん。5月23日発売ニュー・アルバム『Denim』の全国キャンペーンの非日常がまた楽しいのだという。旅をしていて家のことは気にならないのかという質問に、
まりや「今はメールがあるので、『どうしてる?』とか、タツローも私が留守だといえば、それは家のこともやってくれるし、まあ娘も成人しているし、楽になりましたね、昔に比べて」
かとみき「タツローさん、おうちでごはん作ったりするんですか?」
まりや「あっ、時々やりますよ。あの、娘と協力体制でやったりもしますので。はい。手がかかりませんね」
かとみき「はははは。前ね、昔ね、お風呂の掃除をタツローさんがなさるというのを聞いたことがあって」
まりや「はい、それは今もそうです。お風呂当番。そうです」
かとみき「ちなみにタツローさんが作られたお料理でおいしいものはありますか?」
まりや「かつてはねぇ、カレーをすごく本格的にスパイスを20種類くらい揃えてやってましたけれど、最近はもう、それもやらなくなりましたね。でもちょこっとしたものは作ったり手伝ったりしてくれます」
かとみき「でもなんかお料理とかね、男性は凝るっていいますからね」
まりや「そうなんですよね、男性は何でも凝りますものね。たっつあんの場合はとにかく凝ると、音楽でもバッーとマニアックに行きますから、お料理でも何十種類もスパイスを並べてたことがあったんですけど、最近はもう、はい(笑)」

・弁論夫婦
かとみき「ウチに帰ってきて仕事の続きの話をしたりするんですか?」
まりや「仕事の続きの話、大いにしますね。『今日のこれ、どうだったか』とか、まだ持ち越してるいろんなことがありますから、アレンジについての話合いがいちばん多いんですけれど、『私は今日はあの間奏のハーモニカがよかった』だとか、『いや僕はハーモニカじゃなくてエレキ・ソロにしたいんだ』とか、そういったことが延々と続いていって、まあ、ちゃんと結論が出るまで話し合いますし、結論が出なくても次の日スタジオに行って、もう一回それをやって、まあ、協議した結果、『これにしましょう』とか。だから、どこまでがそういう家庭モードで、どこからが仕事モードかというそういう切り替えはないんですけれど、分ける必要もない気がして(笑)、まあ、ご飯を食べながらそういうレコーディングの話もするし、普通の雑談もするし、あんまりそれで不便を感じたことは私はないんですけれどもね」
かとみき「お二人ともホントによくお話しするって聞きますもんね」
まりや「もお、喋りますね~。だって毎日毎日新しいこと見聞きするわけでしょう? そうすると言わずにいられない(笑)。『今日、みきちゃんが超カワイイデニムのスカート穿いててぇ~(笑)』、そういうことも全部言わないと、もうね、そうなんですよ」
かとみき「ふふふ。でも『それが長続きの秘訣だ』って、前にね、タツローさんも言ってましたけどもね」
まりや「でもね、長続きさせようと思って、また話してるわけでもないんですよ、これが。ええ。続かせようということのために話してるんじゃなくて、ただ話したくて(笑)、話してるだけなんですけどね」
かとみき「でも最高のパートナーですね」
まりや「そうですね。退屈しませんね、はい。うふふ」

・プロデューサーとしての山下達郎
かとみき「ではプロデューサー山下達郎のすごいところは?」
まりや「うん、これでもかっていう引き出しを持ってるということですね。あの30年近く一緒に仕事をしてると『もう、そろそろネタ尽きるかな』なんてね、見てる私がいるんですけど、ネタが尽きないんてす。ネタっていうとおかしいんですけど、要するに私が出したデモテープに対して、アレンジを施すヴァリエーションが、例えば引き出しを30個あるとすると40個ぐらいまだ持ってるんですよね。要するに30個しかないと思ってこの曲を出したら、きっとこういうのが返ってくるだろうと思いきや、全然違ったアレンジがまた返ってくると『まだ持ってるよ』っていうことを、毎回そうやって驚かしてくれるっていうこと自体が『すごいな』って、どこで勉強してるんだろ」
かとみき「でも、そうやってまりやさんも刺激してるんでしょうね」
まりや「ああ、まあ、そうですね。『ほら何見せてくれるの』って言いながら、向こうもね、ヘタなことはまたできないって意地もありますし。でも、それを見るたびに『あっ、この人と仕事してるってなんて刺激的なんだろ』って思いますよね」

・シンクロニシティ(素敵な偶然)
まりや「これはセンチメンタルシティロマンスという私のデビューの時から一緒にやってくれてるバンドのメンバーと一発録りしたんですけど、なんかこう打ち込みの作業が多くて、どうしても積み重なって、シンセを重ねて重ねてやっとカラオケができるってことが多い時代の中で、みんなでブースに入って『せーの』で出して、そのバンドの音がそのままオケになって、それで彼らのコーラスがかぶると、もうそこは一瞬にして『カリフォルニアの青い空』みたいな感じでね、ホントに楽しいレコーディングでしたね」
まりや「しばらく会ってない人の夢を見た当日にデパートで会っちゃったとか。あるでしょう?(笑) だからそういうシンクロな現象を、ラヴソングにしたらいいだろうなぁ~と、ずっと前から思っていて、今回『まあセンチとやるならやっぱシンクロニシティだな』って感じでこの曲にしたんですけどね」
かとみき「コーラスの心地よさがたまらないなと思うんですけども」
まりや「ええ。センチならではのあの感じはスタジオ・ミュージシャンのコーラスでは出せない空気感ですね。やっぱりあのセンチメンタルシティロマンスのメンバーが30年かけてあのコーラスにして行ったんだと思いますね」

・ピカデリー・サーカス
まりや「ピカデリー・サーカスの杉さんは、わたくしの一緒に、バンドをやっていた大学の先輩で、彼と出会わなかったら私は歌手になっていないので、それもある種運命的な出会いで、彼がデビューすることになったレコーディングに私が呼ばれて行ってコーラスをやったことが、この業界に入るきっかけだったので、もう杉さんとの繋がりも考えるとね、今私が音楽をやれているというのは、彼と出会えたことが大きくて、で、そんな彼が率いるピカデリーの99年の楽曲『ネバークライ』を聴いた時に、私はこれ絶対一緒に歌いたい曲だなって思って、それで今回カヴァーさせていただいて」
まりや「例えばセンチがアメリカの風であるならば、ピカデリーはイギリスの風を運んでくれるんですね。私は両方とも好きな音楽なので、やっぱりイギリスもあればアメリカもあっていいだろうということで、二つのグループが入ってくれたことでこの『Denim』もね、いい風合いにしてくれたかなと思っていますね」
かとみき「でも、なんかいくつになっても音を重ねられるっていうのは特別な関係ですよね」
まりや「そうですね。そして一緒にやっていて音楽を一緒に楽しめる関係だということが素敵で、何か遠慮したり、気を遣ったりして音楽をやるんではなくて、もう全てがわかってるからといって一緒に音が出せるっていうのは、なかなかありそうでないんですよね。しかも30年そういった関係が続くっていうのはとってもうれしいことだと」
かとみき「音楽以外でそういうことって出来るんですか?」
まりや「なかなかねぇ、途切れて行きますよね~。だから音楽は言語を超えるっていうか、しかも、みんなが50代になってポップスをやれているということがなんて喜ばしいんだろうと。まさかね、30年後もそんなふうにしてバンドと一緒にレコーディングができるなんていうことは20代の時は夢にも思ってなかったので、50代でこれをやる楽しさというのはまた格別ですね」

・みんなひとり
まりや「これはねぇ、アルバムのために自分自身が書いていて、途中まで書いていた曲に、松さんの『役者魂!』のお話があって、その『役者魂!』の打ち合わせに行ったら、なんか人々の繋がりみたいなものを言い表す詞のテーマにしてほしいと言われた時に、『あっ、今書いてるあの曲だ(パチンと指を鳴らす)』と思ったんです。後は後半の半分を書き上げるだけっていうところだったのでグッドタイミング。これもシンクロニシティのように」
かとみき「なんか松さんとまりやさん、ちょっと共通する魅力を感じるんですがね。松さんってさばさばしてるじゃないですか。で男っぽいところとか可愛らしい感じがね、少年ぽいところもあるんで」
まりや「そうですか。私の中の松さんが見たいちばんの形容詞は"少年ぽい"なんですよ。ええ、それなんです」
かとみき「なんか、その感じが、まりやさんとね、まりやさんも結構男っぽいところがありますよね」
まりや「バリバリですよね(笑)」
かとみき「ふふふ。昔の自伝とか拝見しても子どもの頃から男女だったって書いてある(笑)」
まりや「男女ですね。お転婆娘がそのままオバサンになっちゃった、オヤジに近い」
かとみき「ふふふ。オバサンって言葉は似合わないですけれどね(笑)」
まりや「オジサンに近いのかな」
かとみき「オジサン(笑)」
まりや「自分でなんかすごい中性的だなと思いますね。なので勢いラヴソングは女々しかったり、女っぽい歌を歌いたがるんですよ。自分が中性的だってわかってるから。ですから、よよと泣いてみたりする女の人を演じたいんでしょうね、きっとね。歌の中ではせめて。そういうちょっと切な目の自分も、ちょっとこう歌ぐらいでは表現したいかなって思っている、男っぽいわたくしがいます(笑)」
かとみき「今回も『哀しい恋人』、『明日のない私』と訳ありですよね。でも気持ちを想像して書くのは楽しいって言っちゃあいけないですけど、まあそういう恋を演じるってことは...」
まりや「なんかね、ドラマ性ってことで考えると、そういう禁じられた恋以上にドラマ性のある歌ってないんですよね。やっぱり恋が成就する歌だったら、もうハッピーでいいわけで、そこにこう、苦しさがあったり、切なさがあったりするほうが物語は進んでいくんですよね。まあ、それは出口のない物語であったりするんですけれど歌にはなる」

・哀しい恋人
まりや「これ歌いながら『あぁ、なんて切ないんだろう』と思いながら歌っておりました」

・今後の予定
まりや「今後ねぇ、夏に一枚シングルを出そうかなって思って、今新曲の締め切りを抱えつつ旅をしているので、旅にキーボードを持って行きながら(笑)。グルグル巻いて持ち運べる簡易のキーボードですけれど。そして近い将来というか遠い将来というかライヴをやりたいですね」
かとみき「えっ、ホントに(笑)?」
まりや「そうは思ってるんですよ(笑)。でもバンマスに立って下さるタツローさんが動き出せないことには。たっつあんがもうしばらくライヴをやっていないので、まず彼にライヴをやってもらってエンジンかかった頃に、なんかバンマスやってもらえたらなっていうふうには思ってるんですよ」
かとみき「ということは今年暮とかにタツローさんにも会えるかなって感じですかね?」
まりや「暮でしょか、どのくらいでしょうね。発破はかけてるんですけどね、いつも。『早くライヴをやってください』というふうには私は言ってるんですけど」
かとみき「そしたらまりやさんの番が来るという...」
まりや「私も少しはね、余力でやってもらえるかな~なんて踏んでるんですけど。どうでしょう」
かとみき「まりやさんのライヴ、2000年以来でしたっけ? もう楽しかったですぅ~」
まりや「あぁそうですか? ちょっと怖かったよ私(苦笑)。やっぱり18年舞台に立ってなかったし。歌詞、忘れるんじゃないかとか、ここにいる人たちを失望させちゃいけないとかね、そういうことにまだ慣れてない自分がいる」
かとみき「前回のライヴでは衣装が滅茶苦茶かっこよくて。黒のね、革のツナギのワンピースがすっごいかっこよかったんですよ」
まりや「よく覚えてるね~。あれタツローになんて言われたと思う? 築地の魚河岸だって。ひどい(笑)。黒のレザーのね、ジャンパー・スカートを穿いていたんですけどね、魚河岸の長い前掛けあるじゃないですか、あれに長靴履いてるみたいだ、なんてひどいことを言われました」
かとみき「ふふふ。あれはかっこよかったですね。あのラインが好きなんですよ。今回のジャケットでも着てらっしゃるデニムのロング・スカートもお尻のラインがきれいに出てるじゃないですか」
まりや「割とヒップボーンのスカートですよね。それは」

・人生の扉
かとみき「年を重ねるごとに扉が重くなってる気がするんです。今そういう時期かもしれないんですけど。でも、まりやさんはいくつになっても扉を開けることを楽しんでる気がしてね」
まりや「確かに扉は重いですよ。ただその重い扉を開けた後に見える景色は、すごく晴れやかだったりするってことを、その50代の扉の重いの開けた時に感じたんですよ。あっ見晴らしいいなっと思った、その気持ちを素直に歌にしたいなと思ったのがこの曲だったんです。私の今の人生観が詰まっております」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする