Life in America ~JAPAN編

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“Shutting Out The Sun”の余韻

2007-02-22 07:00:37 | アメリカ生活雑感
久々にDedeとお茶ミーティング。
忙しい彼女の時間をもらうのは至難の業で、だからこそそんな貴重な時間を無駄にさせてはいけないという緊張感もよぎる。
今朝もさっそくジムで汗を流したという彼女、自己管理もパーフェクトだ。

今日の話題はもっぱら、彼女の友人でもあるマイケルさんが最近出版した問題作“Shuttin Out The Sun”について。
この本は、日本滞在中に彼が直面したある「引きこもり」青年の話をイントロに、「問題をオープンにしない閉鎖的な日本社会と、解決策も講じない体たらくな政治家」、「日本の家族はいまや崩壊状態にある。夫婦は会話もせずほとんどの妻は孤独でdepression(うつ)状態にある」「若い女性はパラサイトシングルを謳歌し、結婚もしたがらず、ブランドを買いあさる」・・という、まぁ全否定はしないがそれが社会の全てではないというようなことを、綿密なリサーチデータを引用しながら証明している(らしい)。

最近この本を読み終えたというDedeは、「正直、内容があまりにもネガティブでexaggerated(誇張された)で、もう辟易としてしまったわ」と、かなり消化不良な様子。実際、どこまでが本当でどう感じるかを、日本人である私に問いただしたくてうずうずしていたらしい。
「もしここに書いていることが全て事実で日本社会がdysfunction(機能不能)なのだったら、じゃぁどうして今だに日本は世界第二の経済大国なの?って聞きたいものだわ!」と鼻息も荒い。

Dedeは、ひとつの事例を取り上げてあたかも全てのように語ることが大嫌いな人。
以前、私が本の中で「アメリカ人は(日本人と比べて)子どもの独立が早く個人主義なので、子どもの結婚や離婚にはあまりかまわない」と書いたことに「too much generalization(一般化しすぎ)」と突っ込まれたことがある。
全編にわたって「だから日本社会はダメなんだ」といわんばかりのマイケルさんのアプローチは、彼女にとってよほど不快だったのだろう。

この本を読んでいない私にコメントのしようはないが、少なくともマイケルさんの講演での口調を知る限り、辛らつさを売りにしているジャーナリストであることは確かだ。それに、とかく“売れる”本の条件は挑発的かつ辛らつであることも事実だし、私はノーコメントを決め込んでいた。

他国の悪いところ、へんなところは簡単に目に付きやすいものだ。
けれど、それはどの国にもある「性質」のひとつであり、他国が否定したり非難したりできるものではない、と私は思っている。外国に住む外国人が非難したところで、じゃ、アンタに何ができるの?というのが私の冷めた見方。
その国独特の地理や長い歴史に基づいて形成されたものが“ユニークな”文化であり、それを否定するにはかなりの根性が必要だ。特に信仰や宗教に言及するとなるとそれこそ命がけでなければならない(世界の紛争のほとんどはこれなのだ)。
マイケルさんは教養も知性もある人なので、彼がこの本で本当は何をしたかったのか、私はむしろこの一点に興味がある。
今度会う機会があれば是非直接これをぶつけてみようと思う。

結局、フラストレーションのたまったDedeによる“インタビュー”は延々3時間近くにも及んだ。しゃべりすぎてへとへと。でもなんだか最後はお互いすっきりしていた。
この議論は当分続きそうだ。

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