Life in America ~JAPAN編

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リックに捧げるチャリティーラン。

2011-08-15 13:36:13 | アメリカ生活雑感
今からちょうど2週間前、テリー&ビル夫妻の古い友人であるリックが筋萎縮性側索硬化症(ALS)により亡くなった。

ALSという病気は、いまだ有効な治療法が見つかっていない現代における難病の一つ。
筋肉の萎縮と筋力低下をきたす神経変性疾患できわめて進行が早く、発症後3年~5年で患者の半数が呼吸筋麻痺により死亡するといわれている。
(かのスティーブン・ホーキング物理学博士もこの病気と診断されているが、彼はなぜか途中で進行が止まり40年以上生き続けている)

リックは2年前にいきなりALSと診断され、以来投薬による治療を受けながら最期の時までの時間を家族と共に安らかにすごしていた。
多くのアメリカ人がそうであるように、彼は保険に入っていなかった。
アメリカの保険料は目が飛び出るほど高額で、保険を完備した企業に勤めていない限り個人で保険に入ることは不可能に近い。
保険に未加入の人がいったんこのような病に侵されると、病院に入ることもできず死を待つしかないのがアメリカの現状だ。

リックもそのひとり。
治る見込みがない以上、無駄に病院に入ることを拒み自宅治療を選んだ。
しかし、多額の薬代を払える財力ももはや家族にも残っておらず、彼が亡くなったあとも数千ドルの未払い分があるという。
そこで、親友であるテリーとビルが彼らを助けるために立ち上がった。
ハーレー仲間たちに呼びかけて「チャリティー・ラン」を提案。
リックに関係ある人もない人も、バイク仲間たちがまたその仲間たちに声を掛け合ってみんなでツーリングを楽しみ、有料くじの販売やミニポーカーゲーム、商品オークションなどの売り上げをすべてリックの奥さんのドナに寄付するというものだ。
ハーレーには関係のない私たちだが、かねがねテリーからリックの話を聞かされていて何とか力になりたいという思いはあったので
今年は“プリウス”でツーリングに初参加させてもらうことにした。

★ ★

8月14日(日曜日)
最高気温26℃という絶好のバイク日和に恵まれ、「Run For Rick(リックのためのバイクラン)」が始まった。
私たちは最初から参加することができなかったので、4か所あるミーティングポイントの3つ目のBarでバイク軍団の到着を待ち、そこから最終のポイントまで一緒にツーリング。
最終区間は、テリーに代わって私がビルのハーレーに乗り込ませてもらった。
我が家からさほど離れていない場所なのに、ツーリングコースはまるで別世界のよう。
古い南部の町に来たかのような、牧場付の邸宅が延々と広がる絶景にため息が出る。
それになんといっても、肌に直接感じる風は車の中ではとても味わうことができない。
やっぱりバイクはいいなぁ。来年までには絶対免許取ろうと心に誓うのだった・・・・。




第3ポイントのBarで。いかつい中高年の不良たち。


「次はオレのマシンに乗っていけよ」とあちこちから熱烈なお誘いを受けにわかに不良のおっさんたちにもてる私であった。
ふふ。。あんたら、私のトシ知らんやろ。

 
最終区間はビルの愛車に乗り込む。ハーレーはまるで“動くソファー”のように座り心地抜群。



ハーレーのオーナーたちは普段から自分のバイクを見せびらかせて走る機会を欲しがっているので、
この「チャリティー・ラン」はそんな人たちの自尊心を満足させることができて一石二鳥。
アメリカ人は自分たちも楽しみながら人助けをしてしまう​のがとても上手い。


 
最終到着地のBarで。ここで、ハーレー商品や野球のチケットなど様々なオークションが行われた。
私もラッフル(有料くじ)でハーレーのセクシーTシャツが当たった
本日の売り上げは予想をはるかに上回る2000ドル超え。すべてがドナに寄付された。
テリーたちは来年も引き続き、ALSに苦しむ患者のためのバイクランを計画している。
来年、ライダーのひとりとして参加できればいいな。
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