Life in America ~JAPAN編

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シカゴオリンピックとノーベル賞。

2009-10-10 05:02:51 | アメリカ生活雑感
今朝、いつもようにGOROを散歩に連れ出していると、遠くからPちゃんが大声で私を呼ぶのが聞こえた。
いったい何ごと??
家に戻ってドアを開けるやいなや、Pちゃんが興奮した声でこう言った。
「オバマがノーベル平和賞をとったんだって!」
「え~、もうもらっちゃったの?ってか、まだ何もやってないやん!」
これが我が家の第一声だった。

★ ★

先週の金曜日。
シカゴ市民は目の前で起こったことを信じられないといった顔で呆然と見つめていた。
この日は2016年のオリンピック開催地決定の日。「絶対に勝つ」と信じて疑わなかった能天気な一部の人たちは、その瞬間を祝おうと市内各所に設けられていた特設会場のビッグスクリーン前に集結していた。
そして。午前11時ごろ行われた第1回目の投票で、シカゴはあえなく落選。
“東京にさえ負けた最下位”という屈辱、しかもアメリカ大統領自らがでばっての落選だけに、ある報道では「アメリカの威信、地に落ちる」的な大げさなコメントまで飛び出す始末。これには思わず中継を見ながら突っ込んでしまった。

「なんでもアメリカが一番だと思うなよ!」


しかし、この落選を心から喜んだ人たちがいた。
普段からオバマのやることすべてが憎くて仕方がない、反オバマ派の(共和党の)輩。
鬼の首をとったかのようにオバマ批判の大合唱が始まったのはいうまでもない。
「(国内にさまざまな案件を抱えている)こんな非常時にコペンハーゲンに行くなんぞ、優先順位を間違っているんじゃないのか?」(←行かなかったら行かなかったで「愛国心のかけらもない」、と言うに違いない。)
「ほれ見ろ。オバマは世界から拒絶された。アメリカの恥を全世界にさらした」(←なんでこうなるの?(笑)


そして、きっかり1週間後の今日、その世界から拒絶されたはずのオバマ大統領にノーベル平和賞のニュース。
鬼の首をとった野郎どもはこれで黙るとは思えないけれど。

報道によれば、ノーベル賞ノミネート締め切りの2月1日は、オバマ新大統領のInaugulation(就任式)からわずか11日後のこと。どう考えてもこれは早すぎる。
確かに就任後1週間で、イラクからの軍撤退、グァンタナモ収容所閉鎖を公約するなどブッシュの悪政を真っ向から清算する数々の政策方針をきっぱりと打ち出した。が、あくまでもすべてはこれからである。
今回受賞のトピックにあげられていた「核廃絶に向けたリーダーシップ」を強く印象づけたプラハでの核廃絶スピーチも4月。ノミネート時にはまだこれといったアクションもなかった。
となるとこの受賞は「アメリカのこれからに期待」ということなのだろうか?

いやしかし、今回の受賞にはやはりかなり政治的な意図を感じる。
クリントン政権の副大統領であり、第1期のブッシュとの大統領選で「負けた」アル・ゴアも2007年、ブッシュ政権のときに平和賞を受賞している。
そして今回のオバマ氏の、就任後わずか半月のノミネート、9ヵ月での平和賞受賞は、なにやら欧州諸国のブッシュ政権に対する相当な当てつけに見えて仕方ない。


オバマ氏自身も今朝のホワイトハウスでの緊急記者会見でかなりこわばったような複雑な表情を浮かべていた。このタイミングでノーベル賞を受賞することの、メリットとデメリットが頭の中をぐるぐる回っていたに違いない。
「またえらいややこしいことになってもうたわ」というのが本心だろう。


核廃絶に限って言えば、唯一の被爆国であり長年メッセージを発信し続けてきた日本からこそ平和賞がでてもよかったはず。それをあえてオバマ氏にとなった裏には、「アメリカ(オバマ大統領)が言ったことをきちんと現実にしていくように」という無言の圧力が与えられたということだろう。つまり、アメリカはゆる~く縛られたかんじ。
良くも悪くも、アメリカが動かないと世界は動かないということを証明した出来事だったことは確かだ。

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