Life in America ~JAPAN編

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アメリカの医療制度、どうにかしろ!!

2009-09-19 04:49:55 | アメリカ生活雑感
アメリカでは、どこか体の具合が悪くなるとまず主治医(プライマリー・ドクター)のアポをとらなければいけない。
このドクターが、同じ保険グループがカバーしている専門医を決めて紹介状を書くというしくみになっている。
これは、患者が勝手にとんちんかんな判断をして違う医療機関に行き、そのツケを保険会社が払わされるのを防ぐのが目的だ。
つまり、「患者のため」ではなく「保険会社が損をしないため」にすべての仕組みが出来上がっている。

ここが、アメリカの医療制度のポイントだ。

前にもいろいろ文句を書いたが、今回もまたこのややこしいしくみのせいでひどい目にあった。
2月に受けた甲状腺の組織検査(bioposy)から半年たった8月中ごろ、半年後のフォローアップ検査に行くべしと主治医のDr.Mから紹介状が届いた。
その前にまず、以前の状態から変化があるかどうかを見るために、再度超音波検査をすることに。
すぐにこの検査だけのために、隣町のレントゲン専門機関へ。
そして9月に入り、いよいよ2回目のbiopsyのアポイントをとる。
そしてまたもや、「検査の3日前までに最新の超音波検査のデータを持ってきてください」といわれる。
これは前回もそうだったので、仕方なく隣町からまたその隣町まで車を延々運転してデータを届ける。

さて、いよいよアポイントの日。
受付を済ませていったん個室に入り、ベッドに横になったところで、ナースが「以前もやったんですよね?今日はどの部分に?」などととんちんかんなことを言い出すではないか。
「あの~、最新のデータは3日前に届けてありますので、詳しくは先生に聞いてくださいな」

ドクターに確かめるからと、また待合室で待たされること15分。
ドクターに呼ばれて中に入ると、今回担当してくれるこのドクターもどうしていいのかわからない、というではないか!?
つまりこうだ。

通常は主治医→専門医に詳しい内容の紹介状が届く。
たとえば、「右側の(甲状腺の)中ごろの組織を抽出して要観察」といった内容。
しかし、今回は「甲状腺の組織検査」と、これだけ。
これではどうしていいのかわからないというのだ。
しかも私は2月にすでにやっていて、異常なしと診断を受けている。前回と前々回のデータを見比べても、大きな変化は見られない。そこへきてまたしても組織検査までやる必要があるのかどうかはなはだ疑問だと。
まったくごもっともだ。私とてできればやりたくない。

で、専門医Dr.Sは主治医Dr.Mに連絡を入れて詳しく聞いてくれた。
しかしDr.Mは今日は非番で、詳しいことは病院でカルテをみないとわからないというのだ。
つまり、今日は何もできないという結論。
Pちゃんを休ませてまでアポをとったのに、この時間の無駄をどうしてくれるというんだよ!

そしてもうひとつの問題は、この紹介状を誰が書いたか。
この日初めて知ったのだが、Dr.Mが書いていたのではなく、私の超音波検査をしてくれた医療機関の責任者がDr.Mの名前で「組織検査へ進む」という内容の紹介状を書いて送っていたのだった。

「主治医が書いてないとなると、いったい誰が最終決定権を持っているんですか」

主治医の名前で誰かが勝手に紹介状を送ってきても、患者はわからない。それでほいほいでかけて検査ができないとなると、どうすればいいのか。主治医が紹介状を書いていないなら、誰が本当の責任者なのだ!?これはこの先も起こりうる由々しき問題である。と、問い詰めた。

「まったくおっしゃるとおりです。」

もちろんDr.Sに非はなく、彼もこの複雑な(主治医、レントゲン技師、専門医が入り乱れるしくみ)に翻弄されてしまったひとりである。
はじめからひとつの医療機関がすべてを取り仕切っていればこんな混乱は起こらず、私もわざわざデータのためだけに1持間以上かけて運転しなくてもすんだはず。そもそも、患者にデータを運ばせること自体、間違っているし、CDデータを手渡しというの時代錯誤もはなはだしい。
(しかし、もしメールでやりとりされたらデータの取り違えがおこって大混乱になるのは必至。アメリカはインフラは進んでいても、それを使いこなす人的能力が希薄な国なのだ。)


それもこれもすべて、「保険会社が儲かる(損をしない)」ため。
絶対におかしいじゃないか。

オバマ大統領は今、他の先進国と同じような国民皆保険制度を導入し、“国民のための”医療保険制度の見直しを進めようとしている。
なのに、あほアメリカ人の半数近くは「社会主義だ」とか「国が医療保険に口をはさむな」とかわけわからんことをほざいて反対している。
それもこれも、ロビイスト(保険会社のまわしもの)から多額の献金を受けている議員たちや、オバマがやることすべてが憎い人種差別丸出しのの共和党議員の陰謀によるものだ。

そんなとんでもない“とんま”を相手に、オバマ大統領は根気良く(良すぎ)説得交渉を続けている。
小泉政権が郵政民営化を力づくでやったように、オバマ政権もねじ伏せればいいのに、といらいらするときもある。
しかし、力で制すると遺恨を残すことを彼は誰よりも良くわかっているのだろう。
この医療制度改革を成し遂げることができれば、オバマ氏は間違いなくノーベル平和賞ものだろう。


アメリカ人よ、もっと勉強しろ。
世界に目を向けろ。
オバマが誰のために戦っているのか、わかろうとしろ!
Otherwise, you ask for it!(じゃなきゃ、自業自得だ)


(これまでの文句たらたら)
たらいまわしの刑。~その1
たらいまわしの刑。~その2

検査のための検査
Comments (2)
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