Life in America ~JAPAN編

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たらいまわしの刑。~その1

2009-02-12 09:39:39 | アメリカ生活雑感
アメリカにはいわゆる「国民健康保険」という制度がない。
これがどんなに面倒くさいことか、今日つくづく思い知らされた。

日本では、何らかの形でほとんどの国民が健康保険に加入して保険料を支払っている。そのおかげで個人が支払う医療費は安く抑えることができる。
また同時に、ほとんどの医療機関は健康保険が適用されるのでこちらはお医者さんを自由に選べることができる。

ではアメリカの人々はどうやっているかというと、答えは
「自分で保険会社を探して契約する」。
つまり、個人は一営利企業である保険会社はと個々に自分のプランに合った医療保険契約を結ばなければならない。本人や配偶者が仕事に就いている場合は、雇用先の組織が保険に加入しているため、その分個人の支払い額は軽減されるが、あくまでも選択するプランは個人の自由に任されている。

このシステムの欠点は、まず「加入しない(できない)」人たちが多く存在するということ。
保険に入るには月々の支払額がバカにならない、つまりそれなりの定収入が必要となる。そのため、定職を持たない貧困層はまず保険に入ることができない。つまり、「貧乏人は病気になったら医者にかかれない」。保険に入っていないことがわかるとまず医療機関から受け入れを拒否されてしまう。
もし運よくかかれたとしても、いざ支払いとなって何百万という単位の請求がきて破産に追い込まれるということになる。

二つ目は、加入している保険会社がある日突然医療機関と契約を解除しまうことが日常的に起こりうる、ということ。
保険会社も一営利企業。あまりに支払いばかりがかさむ医療プランとはさっさと手を切ってしまうのだ。
患者サイドからすると、今まで通っていたなじみのお医者さんに突然行けなくなり、別のお医者さんを探さなければならなくなる。
想像してみてほしい。
通っていた歯医者さんに、半分治療を終えたところで行けなくなる状況を。
おなかに赤ちゃんがいる状態で、いきなり「別の産科に変えてください」と言われる妊婦さんの気持ちを。


もうひとつのまどろっこしいシステムが、「プライマリー・ケアー・ドクター」という、「専属のお医者さん」システム。
体に何か不調があると、まずこのドクターにアポイントをとらなければならない。そこで第一の診察を受け、それからこのドクターが第二の専門医の“紹介状”を書いてくれるという2段階になっている。(*歯医者は除く)
つまり、自分で勝手に耳鼻科や内科や外科に直接行って診察を受けることができない。このつまらない時間に症状が悪化する場合もあるだろう。

これが、アメリカの医療保険の実態なのである。

このバカシステムのせいで、どれほど命を落とした人がいただろうと思うと、本当にこれが世界の大国なのかと思う。

これは、私が身をもって体験した(体験している)生生しい記録である。

(長いので続く・・・)
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