shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

This Is It (Pt. 1) / Michael Jackson

2009-12-16 | Rock & Pops (80's)
 マイケル・ジャクソンが今年の夏に行われる予定だったロンドン公演に向けて、急死する直前まで行っていたリハーサル風景とその舞台裏の映像を中心に構成されたドキュメント映画「ディス・イズ・イット」の DVD が来年の1/27に発売される。私にとって映画は基本的にレンタル DVD で借りてきて家で見るものなので、先月国内封切りされている時も “もう少し待てばDVDで見れる...” と考え、映画館へ足を運ぶことはなかった。そんなある日、ネットで彼の97年ヒストリー・ツアーにおけるベスト・パフォーマンスとの呼び声も高い “ミュンヘン・ライブ” の DVD を格安で見つけ、しかもそのセラーがオマケとしてタダでこの「ディス・イズ・イット」のロシア語字幕ヴァージョン(←正式発売前のロシア向けPromotional Copy) DVD-R を付けてくれるということで早速ゲット、時折インタビュー映像の場面で画面下部にロシア語の字幕が現れるが映画の大半はステージ・リハーサルのダンス・シーンなので気にならない。
 この映画はバックダンサーたちのインタビューで始まる。みんなマイケルと踊れることが嬉しくて大コーフンしているのが伝わってくる。「ワナ・ビー・スターティン・サムシン」ではシルバーのジャケットにオレンジのパンツといういかにもリハーサルっぽいラフな格好で歌い踊るマイケルがかえって新鮮に映る。そしてその動きのシャープさにビックリ(゜o゜) しかもあくまでも軽やかに、スルスルと横滑り(!)していくその姿は人間ワザとは思えない素晴らしさだ。ここ数年、大きなマスクを付けて顔にバンソコウを貼り弱々しく歩くマイケルの姿を見るたびに “もうあの神業のような動きは見れへんのやろか...(>_<)” と思っていたが、それはとんでもない誤解で、とても50才とは思えないキレの良さだ。バックを務めるベーシストに “もっとファンキーに...” と自分の求めるサウンドを口ベースで伝えるマイケルの徹底したプロフェッショナルぶりが凄い。
 まるで「コーラスライン」みたいなバックダンサーたちのオーディション・シーン、「ジャム」でそのダンサーたちがステージ下から飛び上がってくる舞台裏、「ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス」でダンサーたちにマイケル自ら振り付けの指導をするシーン、「ヒューマン・ネイチャー」でテキパキとまわりに指示を与えながらステージを作っていくシーン... 彼のライブは DVD で何十回と見ているのでその動きは私の脳裏に刻まれているが、あのパーフェクトといえるステージがどのようにして練り上げられていったのかが実によく分かる映像だ。彼こそまさに “120%の努力をする天才” だと思う。
 「スムーズ・クリミナル」でのダンスは相変わらず絶品だし、「ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール」で自分が納得いくサウンドになるまでキーボードにテンポの微妙なニュアンスまで注文を出すシーンなんか一切の妥協をしないプロ中のプロという感じだ。しかも厳しさの中にも相手への配慮というか優しさが言葉の端々に感じられて、マイケル、バック・ミュージシャン、ダンサー、そして様々な演出担当のスタッフが一つになって良いものを作り上げようというポジティヴな姿勢が伝わってくる。
 「ジャクソン5・メドレー」のシーンでは “まるで耳の中に拳を入れられてるようでやりにくい” と言ってイヤフォンを外してしまう。モニター・スピーカーで音を聴きながらやってきたマイケルにとっては耳のアジャストが大変なのだろう。そういったサウンド・エンジニアへの細かい指示の言葉の最後に “With love...L・O・V・E.” (怒ってるんじゃないよ)と一言添えるマイケル... この人はプロとしての厳しさと同時に常に相手を思いやる優しい心の持ち主なんだなぁと改めて感じ入った。(つづく)

Michael Jackson 'This Is It' Official Movie Trailer

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