shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

The Concert In Central Park / Simon & Garfunkel

2009-02-16 | Oldies (50's & 60's)
 サイモン&ガーファンクルには苦い思い出がある。彼らは81年にセントラル・パークでの再結成コンサートで大成功を収め、翌82年にその勢いをかって来日した。当時大学生だった私は喜び勇んで大阪球場公演のチケットを買い求め、何とか外野席(内野席との境界付近の、ちょうどライト・ポールの下あたり)を確保した。いよいよ待ちに待ったコンサート当日、球場入りして自分の席に着き、ステージの方を見た私は愕然とした。私の位置からはセカンド・ベース後方付近にホームベース方向に向けて設置されたステージをちょうど右真横から見ることになり、見えるのは高く積み上げられたアンプやスピーカー群のみ... 何じゃいコレは!!!!! そんな私の気持ちを逆撫でするようにコンサートは始まった。ポールもアートも全然見えない(>_<) 見えるのはインフィールドのかぶりつき特等席で狂喜乱舞しながらノリまくるオーディエンスの姿のみ... 何やねん、この落差は!まるで大金払って大阪球場くんだりまでのこのこ出かけて行って巨大スピーカーでライヴ盤レコードを聴かされてるようなモンやんけ!瞬間湯沸かし器の異名を取る私もブチギレたが、私の周りにいた聴衆も当然怒っていた。こういった状況に置かれた時の大阪人の怒りは凄まじい。1曲目が終わる頃にはコンサートそっちのけで「見えへんぞぉ~!」「金返せ!」コールが沸き起こり、不穏な空気があたり一帯を支配、ネットによじ登る者やケンカを始める者など、暴動寸前モードに突入、とても音楽を聴くような雰囲気ではない。とりあえずフーリガンみたいな連中の巻き添えを食わないように安全な場所へ移動しながら、プロモーターの事務所に爆弾でも放り込んでやりたい気分だった。
 そんな忌まわしい出来事も25年以上の時が経った今となっては過去の思い出になってしまったが、この「セントラル・パーク・コンサート」を聴くと当時の興奮がそんな思い出と共に蘇ってくる。①「ミセス・ロビンソン」ではまだ手探り状態だったものが②「ホームワード・バウンド」、③「アメリカ」で調子を掴み、私の大好きな④「僕とフリオと校庭で」に突入。このギターのリズム・カッティングは快感の一言!疾走するようなスピード感もたまらない(≧▽≦) ⑤「スカボロー・フェア」や⑥「四月になれば彼女は」、エヴァリー・ブラザーズの⑦「起きろよスージー」を経て二人のソロ・ナンバー6連発へとなだれ込むのだが、この中ではダントツに⑨「アメリカの歌」が気に入っている。S&G時代の「アメリカ」とごっちゃになりそうな紛らわしいタイトルだが、個人的にはこっちの方が好きだ。「ライヴ・ライミン」でのポールの独唱も捨てがたいがやはり二人のハモリで聴くと感無量だ。⑩「追憶の夜」ではスティーヴ・ガッドの神業のようなドラミングに息を呑む。この人、ホンマに巧いねぇ。「アィガラ ナァ~イコーン(ニコンのことね)キャァメラ♪」のフレーズにシビレる⑬「僕のコダクローム」でもピッタリ息の合ったハーモニーを聴かせてくれてやっぱりこの二人は最強デュオやなぁと実感。リチャード・ティーのゴスペルっぽいピアノがぴったりハマッた⑭「明日に架ける橋」、アタマの部分でポールがミスるのも何のその、万感胸に迫る⑯「ボクサー」と大名曲が続き、いよいよクライマックスの⑱「フィーリン・グルーヴィー」~⑲「サウンド・オブ・サイレンス」でコンサートは幕。もちろんセントラル・パークには行けなかったし、大阪球場では暴動の一歩手前(笑)だったけれど、この世紀の一大イベントをリアルタイムで体験できただけで幸せだ。

Paul Simon & Art Garfunkel 3 - Kodachrome/Maybellene

この記事についてブログを書く
« Great Balls Of Fire! / Jerr... | トップ | You Are My Lucky Star / Pet... »