shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Bette Midler Sings The Rosemary Clooney Songbook

2009-02-02 | Jazz Vocal
 インターネットは私の音楽生活に欠かせない。パソコンを買って2~3年はネット・オークション専用だったが、最近はネット検索&試聴で大いにお世話になっている。特にある曲がどのCDに入っているかを調べるのにこんな便利な機能はない。1枚1枚手持ちの盤を裏返してチェックしていくなんて気の遠くなるような作業は出来ればゴメンこうむりたい(やったことあるけど...)。それでヒマを見つけては自分の好きなスタンダード・ソングをアマゾンやHMV、iTunes などの曲目検索にかけて未聴の盤をチェックしていたのだが、ある時「スロー・ボート・トゥ・チャイナ」で検索していてこの「ベット・ミドラー・シングス・ザ・ローズマリー・クルーニー・ソングブック」を見つけた。ローズマリー・クルーニーといえば58年にRCAからビング・クロスビーとのデュエットで「ファンシー・ミーティング・ユー・ヒア」という “歌で世界一周” みたいなアルバムを出していて、その盤で一番気に入っていたのがこの曲だった。なるほどね(^_^) しかもベットのデュエットのお相手はバリー・マニロウだ。懐かしいなぁ... コパカバーナ!これは聴かな(笑) 試聴してみるとこれがめちゃくちゃ楽しそうな雰囲気で、即購入決定...USアマゾンで2ドルだった。
 ベット・ミドラーといえばまず頭に浮かぶのが「ザ・ローズ」であり「フロム・ア・ディスタンス」である。この2曲は共に心に染み入る究極のバラッドで、日頃アップ・テンポの曲ばかり聴いている私ですら思わず目を閉じて聴き入ってしまうくらい説得力のあるヴォーカルを聞かせてくれる。それも絶唱タイプの暑苦しいスタイルではなく、実にカンファタブルで聴きやすい歌声を持った素晴らしいシンガーなのだ。ここでもストリングスをバックにした①「ユール・ネヴァー・ノウ」や⑤「テンダリー」、⑨「メモリーズ・オヴ・ユー」、⑪「ホワイト・クリスマス」などでバラッド歌唱の真髄を聴かせてくれるが、何と言ってもこの盤の目玉はバリー・マニロウとのデュエット③「スロー・ボート・トゥ・チャイナ」に尽きるだろう。イントロの弾むようなピアノに歯切れの良いビートを刻むドラムが絡み、二人の楽しそうな掛け合いが始まる...「素敵なピアノね、マニラ」「ありがとう、ミドラーさん」「最近どうしてるの?」「レコード作ってるよ」「本当に?」「本当さ」「今でもピアノ弾くの?」「相手によるね」... 阿吽の呼吸でこんなやりとりを交わした後、ベットが “Hmmm, I’m gonna get you on a slow boat to China~♪” と歌い出す、この瞬間がめっちゃ好きだ!その後も「ねぇ、私にキーを合わせてくれない?」「ハイハイ、仰せの通りに」といった掛け合い漫才を挿みながらやりたい放題、変幻自在にスルリスルリと入れ替わりながら一緒に転がるように疾走し、一気にクライマックスへ... こんな楽しいデュエットがあっただろうか?これまでこの曲の様々なヴァージョンを聴いてきたが、文句なしにこれが一番好きだ。さすがはミュージカル出身、こーゆーのはお手のものなのだろう。又、これ以外にもジャジーな伴奏をバックにミディアム・スローで見事にスイングする④「ヘイ・ゼア」は本職のジャズ・シンガーも裸足で逃げ出す素晴らしさだし、ロージーの代表曲⑥「カモナ・マイ・ハウス」では実に繊細なヴォーカルを聴かせてくれて目からウロコ状態だ。まるで “US版江利チエミ&東京キューバン・ボーイズ” のようなラテン・フレイバー溢れる⑦「マンボ・イタリアーノ」では力強いヴォーカルで聴く者の血をたぎらせる。これはたまらない(≧▽≦) このアルバムはロージーへのトリビュートでありながら、そんな事をまったく忘れさせるくらい見事にスタンダード・ソングを自分のカラーに染め上げた、ベット・ミドラー快心の1枚だ。

She'll get you on a slow boat to china

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