shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Hours Of Darkness (14CD BOX) / The Beatles

2023-01-29 | The Beatles
 私は毎年1月30日の “ルーフトップ記念日” が近づくとゲット・バック・セッション関連の音源を聴きまくる。映像に関しては今年は映画「Get Back」のブルーレイという極めつけのアイテムがあるので問題ないが、レコード/CDではここのところ「Sweet Apple Trax」や「River Rhine Tapes」、それにグリン・ジョンズ版「Get Back」ばかり聴いていて少しマンネリ気味だった。ところが先月 Empress Valley から出ている「Hours Of Darkness」というボックス・セットを首尾よく手に入れた。これが何とCD14枚組で、トータル15時間422曲収録という凄いヴォリュームなんである。
 このボックス・セットは長尺なゲット・バック・セッション音源を “スペクター効果排除ミックス” “トゥイッケナム・スタジオ・リハーサル” “アップル・スタジオ・リハーサル” “アコースティック・デモ” “インプロヴィゼーション主体のジャム・セッション” “オールディーズ・カバー” “ルーフトップ・コンサート” といったコンセプト別に、それぞれのハイライト、つまり聴きどころを上手くまとめてあるのが大きな特徴だ。この「Hours Of Darkness」、ヤフオクでUSBに入れられて売られているのを以前に見たことがあるが、おそらくこれはそれを音盤化したものだろう。ネット上に転がっている音源に帯やら紙ジャケやらといった無駄で大仰な装飾を施してプレスCD化し、アブク銭を稼ぐというエンプレス・バレイらしいアイテムだが、色々とゲット・バック関連のブートレッグを買い揃えて音源がダブりまくるよりは、このボックス一つで済ませる方がずっとお財布にやさしいだろう。
 私はこれを PayPayフリマというサイトで手に入れた。出品価格5,980円のところをワケのわからんクーポンと勝手に貯まってたポイントを使ってほぼタダ同然で手に入れることが出来て何か得した気分。スマホを滅多に使わない私にとっては購入手続きがめっちゃ難しかったし、ヤフーのログイン設定を無理やりスマホ認証に変えさせられたりで(←いちいちスマホを取り出すのがめっちゃ鬱陶しいので支払いが済んでからすぐに元に戻したけど...)面倒くさいことだらけだったが、使い道の無かったペイペイポイントを使って 6,000円近くも浮くのはめちゃくちゃデカい。このボックス・セットの定価がいくらだったのかは知らないが(←どーせナナキュッパぐらいやろ...)、とにかく安く手に入れるに越したことはない。
 念のために内容を列挙しておくと、
Disc 1:The De-Spector-ed Edition of the Let It Be Album
Disc 2:The Best of the Twickenham Studio Rehearsals
Disc 3:The Best of the Apple Studio Sessions
Disc 4:The Best of the Rest of the Let It Be Sessions
Disc 5:Acoustic and Demo Performances from the Let It Be Sessions
Disc 6:Famous and Infamous Let It Be Improvisations
Disc 7:More Non-Album Highlights of the Let It Be Sessions
Disc 8: More Outtake Highlights of Songs Destined For the Let It Be Album
Disc 9:The Beatles Cover The Beatles, and Other Highlights
Disc 10:More Highlights of the Beatles Covering the Oldies.
Disc 11::A Spoken Word Documentary of the Let It Be Sessions (Part One)
Disc 12:A Spoken Word Documentary of the Let It Be Sessions (Part Two)
Disc 13:SILVER APPLES. The De-Spector-ed Special Edition of the Let It Be Album
Disc 14:AERIAL BALLET. More Mixes of the Rooftop Concert.
となっている。
 それぞれのディスクはテーマ別でうまく編集してあって「ゲット・バック・セッション」を手軽に楽しむのにはぴったりのブツだと思うが、1つだけ気になったのはディスク1の「The De-Spector-ed Edition of the Let It Be Album」とディスク13の「SILVER APPLES. The De-Spector-ed Special Edition of the Let It Be Album」の一体どこが違うねん... ということ。どちらも De-Spector-ed、つまり“非・スペクター化”された「Let It Be」のアルバムということで、例のエコーやらコーラスやらオーケストラやらを取り除いてあるのだろうが、ディスク13のSILVER APPLES っていうのが何のことだかよく分からないし、Specialというのも一体どこが特別なのか何の記載も無い。ということでまず最初に “ブートレガーが作ったネイキッド” とでも言うべきこの2枚を聴き比べてみた。
 ディスク1の方は文字通りスペクターが施した余計な装飾がモノの見事に取り除かれており、モヤが晴れたようなスッキリした印象だ。そのおかげで音楽全体の躍動感がアップし、特に「Across The Universe」なんかジョンの声が近くて超気持ちイイし、ルーフトップで演奏された4曲なんかもスペクター版よりもロックンロール色が強まって聞こえ、当初ビートルズが目指していたゴールに近い仕上がりになっているように思う。うん、コレは気に入った。
 ディスク13の方は最初のうちは一体どこが違うのかよくわからなかったが、3曲目の「Across The Universe」を聴いてビックリ。女性コーラスがカットされているのは同じなのだが、何とエンディング・パートに過剰なリヴァーヴがかけられており、気持ち悪いったらないのだ。例えるなら最高の食材にクソ不味いソースをドバドバかけて料理を台無しにする三流シェフみたいなものだ。一体これのどこが “スペシャル” だというのか? ビートルズの音源で遊ぶな!
 思わず怒りの展開になってしまったが、それ以外のトラックでは「The Long And Winding Road」や「Get Back」が違うテイクを採用してたりとか、「Dig It」がオリジナルよりも遥かに長い4分のロング・ヴァージョンになっていたりとか(←これは大正解!)、曲順がオリジナルとは異なっていたりとかぐらいが目立つ違いで、特に大きなやらかしは無かったように思う。とにかく詳しい解説が無いのでこのディスクの存在意義自体がイマイチよくわからないが、まぁそれはそれとして、上記のキモい「Across The Universe」以外は気持ちよく聴けたし、音質は文句ナシに良いので、この14枚組ボックスは良い買い物だった(←実質タダやけど...)と思っている。みなさんもそれぞれ思い思いのやり方で「ルーフトップの日」を楽しんで下さいませ。
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