2枚のベスト盤発売に合わせて始めたB'z祭りもいよいよ最終回。今日は「B'z The Best XXV」黒盤のパート2で2006年以降の彼らの軌跡を振り返ります。
①衝動
この「衝動」はシンプル&ストレートなノリを持った疾走感溢れるロックンロール・ナンバーで、前年末にベスト盤「Pleasure Ⅱ」でそれまでの活動を総括してまだ間もない2006年1月にこの曲がシングルとして出た時は、休むことなく前進を続ける彼らの創作意欲の高さと自分達の原点であるロックンロールに拘り続ける姿勢に感動したものだ。この曲はノリノリな曲調と同様に歌詞の方も “誰もが無限の可能性を抱きしめて生まれてきたんでしょう? ねえ♪” や “希望とは目の前にある道~♪” など前向きなフレーズが満載で、車の中で聴きながらアクセルベタ踏みでカッ飛ばすとストレスも一気に解消できるという効能(?)もある。ミュージック・ビデオは稲さんが “しょーどう!!!” と渾身のシャウトをキメている後ろで書道の大家っぽい人がモップみたいなデカい筆を振り回すというユニークなもので、 “衝動” と “書道” とを引っ掛けたダジャレの成否は別として(笑)、エンディングで見れる “衝動” の2文字の力強さがこの曲の持つエネルギー感と見事にマッチしている。尚、アルバム「MONSTER」収録の “MONSTER MIX” はギター・ソロやラストのシャウト部分が差し替えられており、より躍動感に溢れたハイ・テンションなヴァージョンになっている。
B'z / 衝動
②SPLASH!
最近の B'z の曲は基本的に “ストレートに押しまくるロックンロール” と “熱く歌い上げるバラッド” の2タイプに分類されるが、この「SPLASH!」はそのどちらにも属さないダンサブルなミディアム・テンポのナンバーで、聴けば聴くほど “カッティングの魔術師” 松ちゃんの硬質なギター・サウンドが耳について離れなくなるスルメ・チューンだ。ジュリーの「酒場でダバダ」を想わせる “歌謡ロック” そのもののイントロ、違和感なしにBメロから転調する見事な構成、畳み掛けるような稲さんの言葉の速射砲が楽しめるサビ(←ちょっと「DEEP KISS」に似てる?)、彼らお得意のツイン・ヴォーカルっぽいコーラスと、実に細かい部分まで丁寧に作り込まれた作品で、まさに “熟練の職人の仕事” と言っていい出来ばえだ。稲さん曰く “人間の生存本能を描いた詞” という歌詞は、 “交わり合う性と生♪” “愛のタネでいのちの花咲かせて~♪” “ムキ身のままでまっすぐDive~♪” “あなたの中でビュンビュンほとばしる~♪” など、あの「juice」をも凌駕するキワドイ表現連発のエロエロ路線なのだが、性についてこれほどストレートに歌いながら下世話ないやらしさを微塵も感じさせないのは稲さんのヴォーカリストとしての資質のなせる業なのだろう。
B'z
③BURN –フメツノフェイス–
この「BURN –フメツノフェイス–」は今から5年前、つまりB'z 20周年にあたる2008年に唯一リリースされた記念すべきシングルなのだが、当時TV出演etcによるプロモーション活動が一切無かったことや、世間の注目が「ウルプレ」や「ウルトレ」といったベスト・アルバムの方に向いていたこともあって、話題性の面でやや盛り上がりに欠けた不憫なナンバーなんである。しかし私はこの曲が大好きで、 “世間は何でこの曲の良さがわからんのやろ?” と納得がいかなかった。確かに曲名はディープ・パープルだし、イントロのリフはサイモン&ガーファンクルの「A Hazy Shade Of Winter」そのまんま、Aメロはピンク・レディーの「サウスポー」を想わせるが、洋邦問わずにそういった過去の名曲たちのオイシイ部分を巧く消化して B'z ならではの歌謡ロックへと昇華させているところが私的にツボなのだ。私の記憶が正しければ「FIREBALL」以来の化粧品タイアップ曲(←これも曲名がディープ・パープルなのは単なる偶然なのか???)だったと思うが、今回も歌詞の中に商品キャッチコピーである “フ~メ~ツ~ノ~ フェイス!” を巧く織り込むあたり、さすがという他ない。特殊な視覚効果満載のミュージック・ビデオもちょっと目がチカチカするけど文句なしのカッコ良さだ。
B'z / BURN -フメツノフェイス-
④イチブトゼンブ
「イチブトゼンブ / DIVE」は「ミエナイチカラ / MOVE」以来13年ぶりとなる両A面シングルで(←カタカナと4文字英語というカップリングは単なる偶然か...)、世間的にはドラマタイアップの「イチブトゼンブ」の方が大ヒットしていたが、私は最初のうちはイージーリスニングみたいな歌メロのこの曲よりもイケイケ・オラオラ調のロックンロール「DIVE」の方が好きだった。しかしこの曲のライヴ・ヴァージョンを見てすっかり気に入り、何度も何度も聴くうちにすっかりハマってしまって今では大の愛聴曲... その真価が分かるまで時間を要したニクイ1曲なのだ。曲としては「ミエナイチカラ」を想わせるミディアム・テンポの爽やか系ポップスで、松ちゃんのトレモロ攻撃や稲さんの一人追っかけコーラスも抜群の効果を上げているが、何と言ってもこの曲の素晴らしさはその歌詞だ。特に愛する人との関係においてついつい陥りやすい落とし穴を簡潔明瞭に指摘した “愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのに~♪” のラインにはマジで瞠目させられた。稲さんってホンマにエエ詞を書くよなぁ... (≧▽≦)
イチブトゼンブ LIVE
⑤MY LONELY TOWN
この曲が収められた「MAGIC」は数多いB'zのアルバム中でも三指に入る愛聴盤なのだが、その理由は一にも二にも “歌謡ロック” としての完成度の高さにある。日本人としてのアイデンティティーに裏打ちされた哀愁のメロディーとB'z流ロックが高い次元で見事に融合しているのだ。そんな名盤「MAGIC」の中で圧倒的な存在感を誇っているのがこの「MY LONELY TOWN」で、ミスチルの「ニシエヒガシエ」みたいなイントロに続いてパワフルなブルース・ロックが炸裂、畳み掛けるように展開するサビの部分ではストリングスが実に効果的に使われており、珠玉のメロディーをより引き立たせているところが素晴らしい。人と人との心の繋がりを歌った歌詞も心に響く。松ちゃんもアルバムのメイキングDVDの中で “久々の会心の一発” と語っていたくらいの名曲名演だ。軍艦島で撮影されたミュージック・ビデオもインパクト抜群で、曲想とピッタリ合った映像が楽しめる逸品に仕上がっている。
B'z / MY LONELY TOWN
【おまけ】先日YouTubeで放送されたB'z特番が公式にアップされたので貼っときます。あの伊藤政則氏がインタビュアーを務めているだけあって彼らの音楽的ルーツを掘り下げるなど他の番組とは一味も二味も違う興味深い内容です。
B'z 25th Anniversary YouTube Special Program
①衝動
この「衝動」はシンプル&ストレートなノリを持った疾走感溢れるロックンロール・ナンバーで、前年末にベスト盤「Pleasure Ⅱ」でそれまでの活動を総括してまだ間もない2006年1月にこの曲がシングルとして出た時は、休むことなく前進を続ける彼らの創作意欲の高さと自分達の原点であるロックンロールに拘り続ける姿勢に感動したものだ。この曲はノリノリな曲調と同様に歌詞の方も “誰もが無限の可能性を抱きしめて生まれてきたんでしょう? ねえ♪” や “希望とは目の前にある道~♪” など前向きなフレーズが満載で、車の中で聴きながらアクセルベタ踏みでカッ飛ばすとストレスも一気に解消できるという効能(?)もある。ミュージック・ビデオは稲さんが “しょーどう!!!” と渾身のシャウトをキメている後ろで書道の大家っぽい人がモップみたいなデカい筆を振り回すというユニークなもので、 “衝動” と “書道” とを引っ掛けたダジャレの成否は別として(笑)、エンディングで見れる “衝動” の2文字の力強さがこの曲の持つエネルギー感と見事にマッチしている。尚、アルバム「MONSTER」収録の “MONSTER MIX” はギター・ソロやラストのシャウト部分が差し替えられており、より躍動感に溢れたハイ・テンションなヴァージョンになっている。
B'z / 衝動
②SPLASH!
最近の B'z の曲は基本的に “ストレートに押しまくるロックンロール” と “熱く歌い上げるバラッド” の2タイプに分類されるが、この「SPLASH!」はそのどちらにも属さないダンサブルなミディアム・テンポのナンバーで、聴けば聴くほど “カッティングの魔術師” 松ちゃんの硬質なギター・サウンドが耳について離れなくなるスルメ・チューンだ。ジュリーの「酒場でダバダ」を想わせる “歌謡ロック” そのもののイントロ、違和感なしにBメロから転調する見事な構成、畳み掛けるような稲さんの言葉の速射砲が楽しめるサビ(←ちょっと「DEEP KISS」に似てる?)、彼らお得意のツイン・ヴォーカルっぽいコーラスと、実に細かい部分まで丁寧に作り込まれた作品で、まさに “熟練の職人の仕事” と言っていい出来ばえだ。稲さん曰く “人間の生存本能を描いた詞” という歌詞は、 “交わり合う性と生♪” “愛のタネでいのちの花咲かせて~♪” “ムキ身のままでまっすぐDive~♪” “あなたの中でビュンビュンほとばしる~♪” など、あの「juice」をも凌駕するキワドイ表現連発のエロエロ路線なのだが、性についてこれほどストレートに歌いながら下世話ないやらしさを微塵も感じさせないのは稲さんのヴォーカリストとしての資質のなせる業なのだろう。
B'z
③BURN –フメツノフェイス–
この「BURN –フメツノフェイス–」は今から5年前、つまりB'z 20周年にあたる2008年に唯一リリースされた記念すべきシングルなのだが、当時TV出演etcによるプロモーション活動が一切無かったことや、世間の注目が「ウルプレ」や「ウルトレ」といったベスト・アルバムの方に向いていたこともあって、話題性の面でやや盛り上がりに欠けた不憫なナンバーなんである。しかし私はこの曲が大好きで、 “世間は何でこの曲の良さがわからんのやろ?” と納得がいかなかった。確かに曲名はディープ・パープルだし、イントロのリフはサイモン&ガーファンクルの「A Hazy Shade Of Winter」そのまんま、Aメロはピンク・レディーの「サウスポー」を想わせるが、洋邦問わずにそういった過去の名曲たちのオイシイ部分を巧く消化して B'z ならではの歌謡ロックへと昇華させているところが私的にツボなのだ。私の記憶が正しければ「FIREBALL」以来の化粧品タイアップ曲(←これも曲名がディープ・パープルなのは単なる偶然なのか???)だったと思うが、今回も歌詞の中に商品キャッチコピーである “フ~メ~ツ~ノ~ フェイス!” を巧く織り込むあたり、さすがという他ない。特殊な視覚効果満載のミュージック・ビデオもちょっと目がチカチカするけど文句なしのカッコ良さだ。
B'z / BURN -フメツノフェイス-
④イチブトゼンブ
「イチブトゼンブ / DIVE」は「ミエナイチカラ / MOVE」以来13年ぶりとなる両A面シングルで(←カタカナと4文字英語というカップリングは単なる偶然か...)、世間的にはドラマタイアップの「イチブトゼンブ」の方が大ヒットしていたが、私は最初のうちはイージーリスニングみたいな歌メロのこの曲よりもイケイケ・オラオラ調のロックンロール「DIVE」の方が好きだった。しかしこの曲のライヴ・ヴァージョンを見てすっかり気に入り、何度も何度も聴くうちにすっかりハマってしまって今では大の愛聴曲... その真価が分かるまで時間を要したニクイ1曲なのだ。曲としては「ミエナイチカラ」を想わせるミディアム・テンポの爽やか系ポップスで、松ちゃんのトレモロ攻撃や稲さんの一人追っかけコーラスも抜群の効果を上げているが、何と言ってもこの曲の素晴らしさはその歌詞だ。特に愛する人との関係においてついつい陥りやすい落とし穴を簡潔明瞭に指摘した “愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのに~♪” のラインにはマジで瞠目させられた。稲さんってホンマにエエ詞を書くよなぁ... (≧▽≦)
イチブトゼンブ LIVE
⑤MY LONELY TOWN
この曲が収められた「MAGIC」は数多いB'zのアルバム中でも三指に入る愛聴盤なのだが、その理由は一にも二にも “歌謡ロック” としての完成度の高さにある。日本人としてのアイデンティティーに裏打ちされた哀愁のメロディーとB'z流ロックが高い次元で見事に融合しているのだ。そんな名盤「MAGIC」の中で圧倒的な存在感を誇っているのがこの「MY LONELY TOWN」で、ミスチルの「ニシエヒガシエ」みたいなイントロに続いてパワフルなブルース・ロックが炸裂、畳み掛けるように展開するサビの部分ではストリングスが実に効果的に使われており、珠玉のメロディーをより引き立たせているところが素晴らしい。人と人との心の繋がりを歌った歌詞も心に響く。松ちゃんもアルバムのメイキングDVDの中で “久々の会心の一発” と語っていたくらいの名曲名演だ。軍艦島で撮影されたミュージック・ビデオもインパクト抜群で、曲想とピッタリ合った映像が楽しめる逸品に仕上がっている。
B'z / MY LONELY TOWN
【おまけ】先日YouTubeで放送されたB'z特番が公式にアップされたので貼っときます。あの伊藤政則氏がインタビュアーを務めているだけあって彼らの音楽的ルーツを掘り下げるなど他の番組とは一味も二味も違う興味深い内容です。
B'z 25th Anniversary YouTube Special Program