shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

NZ盤 vs OZ盤①「Sgt. Pepper’s」

2017-10-14 | The Beatles
 私のようにビートルズの各国盤蒐集にハマっている状態は一般ピープルの目から見ればほとんどビョーキみたいなモンだと思うが、その症状(?)が進むと対象はどんどんマイナーな国のレコードになっていき、プレス国の違いによる音質の差に一喜一憂するようになる。そういうワケで色んな国の盤を取っ替え引っ替えしながら聴き比べ三昧で愉しんでいる毎日なのだが、中でも興味深かったのがニュージーランド盤 vs オーストラリア盤というオセアニア対決だ。隣国同士で、どちらもその筋では高音質と評価されており、しかもOZ盤の中にはNZ委託プレスのものもあるというややこしい状況の中で、一体どっちが音がエエねん?という疑問にぶち当たった私は手持ちの盤で比較検証してみることにした。検体(?)はたまたまNZ盤の1stプレスと2ndプレスの両方を所有している「サージェント・ペパーズ」で、OZ盤も含めたトリプルスレットマッチでいってみようと思う。

①ニュージーランド盤 [PCSM-7027]
 NZ盤の「サージェント・ペパーズ」の1stプレス盤であるブルー・パーロフォン・レーベルが中々市場に出てこずに悶々としていた時にeBayで見つけたのがNZ 2ndプレスにあたるこのイエロー・パーロフォン・レーベル盤だ。セラーの説明によるとこれは1969年のプレスで、アルバム「イエロー・サブマリン」用に作った黄パロ・レーベルの残り物を流用したということらしい。本音を言えば当然 1stプレス盤が欲しかったが、2ndプレス盤の音質に対する好奇心と“Heavy Vinyl”という謳い文句、更に$30という安さに釣られて買ってしまった。
 しかし届いたレコードは特に重くもないし盤の分厚さも他のレコードと変わらない。これのどこが “Heavy Vinyl” やねん!と思いながら盤に針を落とす。第一印象は “特に欠点の見つからない平均点の高い音” という感じで全然悪くはないのだけれど、逆に青パロ盤への好奇心が刺激されたのも事実で、“これはやっぱり1stプレスを聴いてみんわけにはいかんなぁ...” といういつもの展開になってしまった(笑)
 で、“似非重量盤” の2ndプレス購入から半年が経って、ようやく念願の1stプレス盤をゲット、NZ$50(約4,100円)なら私的にはお買い得価格だ。レコードが届いてまず最初にやったのは2ndプレス盤との比較。NZ盤の「ペパーズ」はゲイトフォールド(見開き)タイプではなくシングルジャケットなのだが、2ndプレスに比べてスパイン(背表紙)部分が太くて読みやすいし、ジャケット写真の発色も1stプレスの方がキレイだ。盤の重さは149gで 2ndプレス盤よりも3g重い... って何か肉屋にでもなったような気分。
 肝心の音の方は、さすがNZ盤と言っても過言ではないナチュラルなサウンドで、しっかりと腰の据わった中低域と伸びやかな高域のバランスが素晴らしい。2ndプレス盤と比べると薄~いヴェールを1枚剥いだような感じでベースがプリプリと一皮むけた様に聞こえて耳に心地良く、なるほどこれが1stと2ndの鮮度の違いかと納得。しかし単品で聴く分にはそれほど大きな差は無いので、見方を変えれば 2ndプレス盤のコスパが高いということになるのかもしれない。

②オーストラリア盤 [PCSO-7027]
 BANNER STEREOのデザインは「プリーズ・プリーズ・ミー」のイメージが強いので、OZ盤とは言え「サージェント・ペパーズ」との組み合わせは実に新鮮だ。ジャケットはNZ盤とは違ってUK盤と同じゲイトフォールド・タイプで、例のサイケなインナー・スリーヴ(←以前ヤフオクで5,000円で売ってたのを見て笑ってしまった...)もちゃーんと付いている。重さはNZ 2ndプレス盤と同じ146gだ。
 このOZ盤はNZ盤同様にマトがUK盤と同じ機械印字で枝番も同じ -1/-1 ということもあってかUK盤に非常に近い音がする。音の鮮度・生々しさという点ではUK盤に一歩譲るものの、目隠しテストをすればその違いはほとんど分からないのではないか。「ペパーズ」のUK 1stプレス盤はかなりの高値が付いているので “UKオリジナル” に拘らなければかなりお買い得な1枚と言えそうだ。
 肝心のNZ 1stプレス盤との比較だが、例えば「ルーシー・イン・ザ・スカイ」におけるベース音の響きで言うと(←ホンマにベース好きやな...)、弦がキリリと引き締まって聞こえるウェルバランスなNZ盤に対し、ベースの弦が一回り太く感じられてそっちに意識が行ってしまうのがOZ盤。料理に例えると、最後の仕上げとして丁寧に味を調えてあるNZ盤に対し、UKマスターという“素材”の味をストレートに出す音作りなのがOZ盤、とでも言えばいいのか。まぁ普通に聴く分にはどちらも甲乙つけ難い高音質であることは間違いないし、曖昧な結論で申し訳ないが、あとは聴く人の好み次第だろう。それにしてもサイケな万華鏡サウンドの「ペパーズ」3枚連続聴き比べって結構キツイもんがありますな... さっきから頭の中がお花畑状態ですわ...(*_*)

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