shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

激突!エレキ天国 2 / エド山口 & 東京ベンチャーズ

2008-12-17 | エレキ・インスト
 エレキ・インスト、通称テケテケにおいて最も大事なのは、聴いてて楽しいか否か... この一点に尽きる。内容的にはどこを切っても同じ金太郎飴状態なんだから、選曲が重要な要素になってくる。楽しくなくて何のテケテケか?極端な例を挙げれば「ベンチャーズ・ミーツ・フランクザッパ」とか「寺内タケシ・プレイズ・ピンクフロイド」なんてあり得ないのである。エド山口はタレント・俳優として活躍する一方で、96年に「エド山口 & 東京ベンチャーズ」を結成し、これまで7枚のCDを出してきた本格派のテケテケ・ギタリストである。何故かⅡⅣⅥという偶数番目のアルバムの出来が良く、奇数番目のアルバムはイマイチだ。出来の良い偶数盤に共通するのは「直球勝負の潔さ」とでもいうべきストレートなサウンドで、テケテケを聴く楽しさに溢れているところである。メンバー全員がベンチャーズの聖域に足を踏み入れ、大胆にその「型」を現代感覚で描写しているのだ。モダンなギミックを用いない素朴なギターのテクニックはノーキー・エドワーズの世界と伝統的なエレキ・インストの楽しさを伝え、骨太のドラムは墓場からメル・テイラーが甦ってきたかのような錯覚を与える。細かい部分に気を配ってベンチャーズ全盛期の感性を現代に復活させたのである。本家のベンチャーズでも、もうこれだけのベンチャーズ・サウンドは再現できないだろう。つまりエド山口&東京ベンチャーズは60年代中頃の一番美しかった時代のベンチャーズを彼らの感覚とオリジナリティで甦らせたのだ。特にこのⅡにはドライヴ感のある曲が並んでおり、本家のヴァージョンを凌ぐ勢いの「ディック・トレイシー」、クラシックの名曲をカッコ良くテケテケ化した「ドナウ川のさざ波」、ディック・デイルもぶっ飛ぶくらい躍動感に溢れる「ミザルー」、マヌーシュでも定番のロシア民謡「黒い瞳」(以前同僚に「このCD、黒い瞳入ってますねん!」って言うたら「え?黒木瞳入ってんの?」って聞かれて凹んだ)、アイデアの勝利といっていいテケテケ版007が斬新な「サンダーボール作戦」と、様々なジャンルの曲を通してエレキ・インストの楽しさを満喫できる。ただ、いくつか寒いギャグから始まる曲があるのが唯一の難点。コミックバンドじゃあるまいし、ノリノリの気分が台無しだ。それさえなければ「エレキ・インストのベスト!」と胸を張っていえる大傑作だと思う。

↓YouTubeに東ベンの動画がなかったので、代わりに LOVE FAR FAR AWAY っていうバンドの東ベン・コピーを貼っときます

ドナウ川のさざ波



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