shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Ventures In Japan

2009-06-18 | エレキ・インスト
 昨日plincoさんからベンチャーズのベーシスト、ボブ・ボーグルが亡くなったと知らされた時は寝耳に水で本当に信じられない思いだった。私が聴く音楽はロックであれジャズであれ50~60年代に活躍したバンドやシンガーが多いので、それから約半世紀が経ち、このような訃報に接することも仕方がないと言えばそれまでなのだが、それにしてもやはり寂しい。特にロック・バンドで一人減り、二人減りしていくのはファンとしては身につまされる思いだ。私はビートルズでこの悲哀をイヤと言うほど味わったが、ベンチャーズもメル・テイラーが逝き、今度はボブ・ボーグルが鬼籍に入ってしまった。ベンチャーズといえばどうしてもノーキー・エドワーズの神業プレイやドン・ウィルソンの “テケテケテケ~♪” に注目が集まりがちだが、あのドライヴ感溢れるロック・サウンドの根幹を成していたのは間違いなくメルとボブが生み出す強烈無比なグルーヴだったように思う。
 今日は仕事から帰ってきてずーっと彼らのアルバムばかりガンガン聴いているのだが、やっぱりどれもエエねぇ... 心にグッとくるねぇ... たまらんねぇ...(≧▽≦) ボブさんの追悼として50枚近く持っているアルバムのどれにしようかと迷ったが、こんな時こそ辛気臭さを吹き飛ばすような痛快なロックンロールということで、彼らの魅力を1枚にギュッと凝縮したような全盛期のライブ盤「ベンチャーズ・イン・ジャパン」にしよう。
 まずはライブの定番メドレー①「ウォーク・ドント・ラン~パーフィディア~木の葉の子守唄」からスタート、何と言ってもイントロのドラムの連打が凄すぎて言葉を失う。メル・テイラーの真骨頂というべきプレイが圧巻だ。この3曲はベンチャーズ結成当初からのレパートリーということでリード・ギターは多分ボブだったと思うが、トレモロ・アームを多用したプレイがめっちゃスリリング。②「ドライヴィング・ギター」は2分弱の短い曲だが様々なギター・テクニックの品評会のようなベンチャーズらしい1曲。③「ブルドッグ」はシンプルかつストレートなロックンロールで、ノーキーの変幻自在のギター・テクニックが満喫できる、ベンチャーズのエッセンスを見事に凝縮したようなナンバーだ。この曲が終わると “変な外人” の草分け的存在ビン・コンセプションの怪しい日本語によるMCが入るのだが、これがめちゃくちゃアホくさくて面白い。オーディエンスの反応ものどかな時代を感じさせるものだ。④「パイプライン」はイントロだけでもう鳥肌モノで、彼らの代名詞とでもいうべきモズライト・ギターのトレモロ・グリッサンドが圧巻だ。そのワイルドでダイナミックな “テケテケテケ~♪” は永遠に不滅なのだ。⑤「アパッチ」はシャドウズの代表的なレパートリーで、このベンチャーズ・ヴァージョンでは “ヒュッヒュッ、ヒュッヒュッ” という弦を爪でこすったような音が効果的に使われている。
 ⑥「10番街の殺人」は元々超スロー・バラッドだったブロードウェイ・ミュージカル曲をスリリングなロックンロールへと生まれ変わらせた、ベンチャーズ・アレンジの最高傑作!コードのスライド・ダウンで始まる強烈なイントロからメル・テイラーのイケイケ・ドラミングへとつながるあたりで私はもう完全にノックアウト(≧▽≦) とにかくカッコイイとしかいいようのない、ベンチャーズ屈指の名演だ。続くは⑦「ウォーク・ドント・ラン’64」、もう名曲名演のこれでもか攻撃だ。ボブ・ボーグルはこの曲のチェット・アトキンス・ヴァージョンを聴いてギターを本気でやる気になったということで、 “世界で一番好きな曲” だと公言している。ドン・ウィルソンの “テケテケテケ~♪” が最高だ。⑧「バンブル・ビー・ツイスト」はクラシックの有名曲「熊蜂の飛行」をビー・バンブル&ザ・スティンガーズがカヴァーしたものをツイストにアレンジ、絶妙なトレモロ・プレイで蜂が飛んでいる様子を見事に表現しているのはさすがと言う他ない。こういうのを本物のテクニックというのだろう。⑨「ワイプ・アウト」はドライヴ感溢れる3コード・ロックンロールで、メル・テイラーの真価がハッキリとわかるダイナミックなドラミングが最大の聴き所。ラストはお約束アンコール・ナンバーの⑩「キャラバン’65」で、長尺ドラム・ソロを含む8分弱の大作だ。ノーキーの縦横無尽に弾きまくるギターやドンの正確無比なリズム・カッティングも凄いが、やはりメルの豪快なドラミングに尽きるだろう。コンサートの締めに相応しいナンバーだ。
 彼らをただの “オールディーズ・テケテケ・バンド” “夏になるとやって来て全国を廻る出稼ぎバンド” などと思っている人がいたらとにかく一度このアルバムをフル・ヴォリュームで聴いてみることだ。驚倒するだろう。ジミー・ペイジが、エリック・クラプトンが、そしてエディ・ヴァン・ヘイレンが愛してやまないロックの原点がここにある。ベンチャーズがいなければ、多くのロック・ファンの人生はきっと違ったもの、それもかなり味気ないものになっていただろう。素晴らしい音楽をありがとう!R.I.P. Bob Bogle.

Slaughter on 10th Avenue (10番街の殺人)- The Ventures


The Ventures "Walk Don't Run '64"

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