shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Leave A Light On / Belinda Carlisle

2012-11-30 | George・Ringo
 今日はジョージ・ハリスンの魅力の一つであるスライド・ギターにスポットを当て、他のアーティストのレコーディングにゲストとして参加した作品の中でも出色の出来を誇る「リーヴ・ア・ライト・オン」でいこう。
 彼のスライド・ギターはそのソロ・キャリアを語る上で欠かせない要素であり、70年代初期の「マイ・スウィート・ロード」や「ギヴ・ミー・ラヴ」といったヒット曲においても重要な役割を果たしてきたのだが、そのプレイは年齢を重ねるにつれて更にメロウで芳醇な響きを増していき、ギターの音だけでこれほどまでに豊かな表現が可能なのか... と驚愕させられるような、ザ・ワン・アンド・オンリーな世界を確立していった。特に80年代後半から90年代にかけての彼の滋味あふれるプレイはまさに円熟の極みと言っても過言ではなく、 “楽器を通して歌を歌う” という至高の境地にまで達しているように思う。そういう意味で、彼のスライド・ギターの名演と言えばビートルズ・アンソロジーの「フリー・アズ・ア・バード」やトラベリング・ウィルベリーズの「ハンドル・ウィズ・ケア」あたりがすぐに思い浮かぶが、ゲスト参加ということもあってか案外知られていないのがこのベリンダ嬢の「リーヴ・ア・ライト・オン」である。
 べリンダ・カーライルは80年代初め頃に活躍したガールズ・ロック・バンド、ゴーゴーズのリード・シンガーで、ソロになってからも「マッド・アバウト・ユー」や「ヘヴン・イズ・ア・プレイス・オン・アース」といった楽曲に恵まれてヒットを連発しており、私のお気に入りのシンガーの一人だった。この曲は1989年に彼女がリリースした3枚目のソロ・アルバム「ラナウェイ・ホーシズ」からの 1stシングルで、絶妙な多重コーラス効果で思わず一緒に歌いたくなるようなサビの盛り上がり方といい、ガールズ・ポップスの王道をいく分厚いサウンド・プロダクションといい、まさに “これぞ80's!!!” と言いたくなるような超愛聴曲なんである。
 そんな名曲名唱に花を添えるかのように登場するのがジョージのスライド・ギターなのだ。ジョージとベリンダはそれまで何の面識もなかったのだが、煌びやかなガールズ・ポップ・ロック・サウンドを作らせたらこの人の右に出る者はいないと言われる名プロデューサー、リック・ノウェルズがベーシック・トラックを録り終えてプレイバックを聴いていた時に “ここにジョージ・ハリスンみたいなスライド・ギターを入れたら最高やろな...” と閃いてダメ元で(?)ジョージにコンタクトを取ってみるとすんなりとOKの返事が返ってきたので驚いたという。
 このアルバムの場合、ジョージが直接セッションに参加するのではなく、ちょうど「ビート・イット」のエディー・ヴァン・ヘイレンの時と同じように、曲のソロの部分を弾いたテープを送ってもらってそれをオーヴァーダブするというやり方だったらしいが、エディーといい、ジョージといい、テープによる参加ながらその曲の魅力を決定づける素晴らしいソロを弾いているのはもうさすがとしか言いようがない。こういうのを “名人” の仕事というのだろう。
 それにしても3分3秒から炸裂するスライド・ソロの何とカッコ良いことよ... (≧▽≦)  まさに聴く者の魂を揺さぶるかのようなエモーショナルなソロである。ラジオから流れてきたこの曲を初めて聴いた時は “このスライド・ギター、めっちゃジョージに似てるやん!” と思ったのだが、後で本物のジョージが弾いてると知った時はあぁやっぱりと大いに納得したものだ。そういえば確か91年にジョージがクラプトンと一緒に来日した時に出たTV番組「すばらしき仲間」の中でこの曲の話題になり、二人の間で次のようなやり取りがあった;
 EC:彼の演奏スタイルはとてもユニークだから他の人の作品に参加しててもすぐわかるよ... この前ラジオで君のスライドギターにそっくりなのを聞いたけど...
 GH:女性歌手のレコードで弾いたよ... 何ていう名前だっけ... あの赤毛の娘...
 EC:やっぱり君だったのか... 彼女の名前は... そうそう、ベリンダ・カーライルだ。スライドギターでロックンロールを弾けるのはジョージだけだからね。

クラプトンもこの曲をラジオで聞いて我々一般ピープルと同じことを考えとったという微笑ましいエピソードだが、この番組の貴重な映像を YouTube で見つけたので一緒に貼っときます。消される前に楽しんで下さい。

べリンダ・カーライル 輝きのままに Belinda Carlisle Leave A Light On


George Harrison&Eric Clapton3/4(5分50秒あたりからこの曲のエピソードが語られます)


【おまけ】確か銀座ジュエリーマキのCMソングやったと思うけど、この曲もめっちゃ好き(^o^)丿 強烈なサビメロの脳内リフレインが止まりません....
この胸の想い ベリンダ・カーライル/ (WE WANT)THE SAME THING-Belinda Carisle


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