shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「With The Beatles」各国盤バトルロイヤル

2019-05-28 | The Beatles
 B-SELSでの「With The Beatles」マト番違い聴き比べがとても面白かったので、調子に乗った私は “UK盤同門対決であれだけ違いが出るんやから各国盤同士のバトルロイヤルをやったらもっとオモロイやろな...(^.^)” と考え、手持ちの「With The Beatles」モノラル盤をかき集め(←いくら何でもこのレコードを泣き別れステレオ・ミックスで聴いて幸せ... というビートルズ・ファンはいないでしょ?)、B-SELSに持ち込んだ。
 Sさんが “今日は何を持ってこられましたか?” と仰ったので “「With The Beatles」の UKマト番違い聴き比べが面白かったので今度は各国盤でやりませんか?” と言うと “それはいいですねぇ!” と眼鏡の奥の眼をキラリと光らせながら快諾して下さった。一応スウェーデン ⇒ デンマーク ⇒ ニュージーランド ⇒ オーストラリア ⇒ インド ⇒ イタリア ⇒ フランス ⇒ カナダの順で聴いていき、締めはお店にあった UKラウドカット1N盤。もちろん全曲聴いていると真夜中までかかりそうなので、A①「It Won't Be Long」とB①「Roll Over Beethoven」に絞って聴くことにした。
 聴き比べは最初モノ針でスタートしたのだが、出力が小さくて私的にイマイチな感じがしたので無理をお願いしていつものステレオ針に戻していただき(Sさん、わがまま言ってすんません...)聴き比べリスタート。以下、Sさんとの会話形式で各盤の感想を書いていこうと思う。

①スウェーデン盤
 Sさん:これは中々上質なラウドカットの音ですね。ハイハットの音がとても良いです。
 私:確かにエエ音やとは思いますが、ちょっと高域寄りじゃないですか?
 Sさん:それは言えますね。UKマザーの音なんやけど、微妙に違う感じです。
 私:この前やった「Wild Life」聴き比べを思い出しました。スウェーデン人はこういうシャキシャキした音が好きなのかもしれませんね。

②デンマーク盤
 Sさん:これは素晴らしい! 文句ナシです。ラウドカットの王道を行く音ですね。
 私:同感です。スウェーデン盤に比べるとこっちの方が中域が分厚くてヴォーカルの押し出し感が強いです。
 Sさん:とにかく生々しい音ですよね。「With The Beatles」にゴールド・パーロフォンがあったらこんな感じで鳴るんじゃないでしょうか。
 私:名言ですね。その言葉がすべてを物語ってると思います。

③ニュージーランド盤
 私:何じゃこりゃ?
 Sさん:音、小さいですね...
 私:さっきのデンマーク盤との落差が激しすぎますよ。ジョンの「Rock 'n' Roll」NZ盤と同じ症状が出てますね。コイツはダメです。

④オーストラリア盤
 Sさん:う~ん、UKマザーのはずなのに、何か変ですね。
 私:悪くはないけど、UKやデンマークに比べると確実に何かが足りない。
 Sさん:低域は良いんですが、中高域が足りてない。
 私:同じ UKマザーなのに... まぁこれがアナログの面白さでもあるんですけどね。

⑤インド盤
 Sさん:これは以前聴かせていただいた盤ですね。
 私:そうです。今回は他との比較の意味も込めて持って来ました。
 Sさん:典型的な7Nの音ですね。UKマザーに忠実な音...
 私:良くも悪くも “7Nの音” そのものという感じですね。

⑥イタリア盤
 Sさん:うわぁ、さすがイタリア。センター・レーベルが真っ赤ですね(笑)
 私:そりゃあフェラーリの国ですから(笑)
 Sさん:ローカル・リカットで、イタリア独自の音してますね。
 私:まぁイタリアだから、これはこれでエエんとちゃいますか(笑) ドライで何の悩みも無いといった感じのノーテンキな(?)音ですよね。聴いてて気持ちEです。

⑦フランス盤
 Sさん:うわっ、音がデカいですね。
 私:音はデカいけど、雑すぎません?この音。デリカシーに欠けるというか...
 Sさん:私もそう言おうと思ってました(笑) これはダメですね。
 私:ジャケットのタイトル文字のオレンジ色はホンマにキレイなのに...

⑧カナダ盤
 Sさん:おぉ、これは面白い。同じキャピトルなのに US盤とは違う音ですね。
 私:そうなんですよ。私もビックリしたんですが、中々聴かせるでしょ?
 Sさん:特にヴォーカルが良いですね。「Till There Was You」なんかまるで「ポール・マッカートニー&ザ・ビートルズ」みたいな感じです(笑)
 私:またまた上手い例えですね。器楽演奏よりも「歌」にスポットを当てた音作りですよね。
 Sさん:これを聴いていると当時の北米大陸でビートルズがどのように捉えられ、どんな風に売り出そうとされていたのかが垣間見えて興味深いです。

⑨UKラウドカット盤
 Sさん:最後にコレ聴いてみて下さい。入ったばかりの盤なんですが、ラウドカットなのに音がつぶれていないんです。どうですか?
 私:ほほぉ~、これは面白い。確かに音圧が高いのに音がキレイですね。
 Sさん:でしょう? スタンパーは3桁なのに、本当に不思議です。
 私:最後にエエもん聴かせてもらいました。やっぱりラウドカットはエエなぁ...(←結局それかよ...笑)

 とまぁこんな感じで延々3時間ほどかけて9枚の「With The Beatles」を取っ替え引っかえしながら聴いたのだが、思っていた以上に各国盤の特徴がハッキリ出て実に面白い聴き比べとなった。私の個人的な評価としては、基準となる UKラウドカット盤(1N)を10点満点とすると、①デンマーク(10点)、②カナダ(8.5点)、②イタリア(8.5点)、④スウェーデン(7.5点)、⑤インド(7点)、⑥オーストラリア(5.5点)、⑦ニュージーランド(4.5点)、⑧フランス(4点)、という感じ。何かサッカーのワールドカップ特集みたいになってきたな...(笑)
 ということで「With The Beatles」各国盤バトルロイヤルのウィナーはデンマーク盤に決定!!! 最後になりましたが、こんな思い付きの珍企画に最後まで付き合って下さったSさん、ホンマにどうもありがとうございましたm(__)m  よかったらまたやりましょね(笑)

【追記】この聴き比べの後、Sさんにレコードをお貸ししてじっくり聴いていただいた結果、イタリア盤の音がえらく気に入られたようで、“このカラッとしたラテン系の音作りがアルバムの性格に合っていてとっても気に入りました。” とのこと。又、“スウェーデン盤の「マネー」のピアノの音が他の盤とは違ってとても鮮明に聞こえたのが印象に残ってます。” とも仰っておられた。試聴時に評価が低かった盤に関してもポジティヴなポイントを見つけられたようで、音圧不足だった NZ盤は “ヴォリュームを上げてやればとても整った良い音” だったし、高音成分が不足気味だった OZ盤も “それなりに大きな音で聴くとバランスが改善されたし、何よりも音の鮮度が良かった。” と評価 UP。最低評価だったフランス盤ですら、“雑な音を得意とする(?) GRADOのモノ・カートリッジに変えたらかなり改善された” とのことで、“こーやって色んな国のレコードを一気聴きできてとても貴重な経験になりました(^o^)丿” と喜んでおられた。

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