shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

「Hey Jude」UK シングルの Philips プレス盤

2019-11-07 | The Beatles
 この前 B-SELS でいつものようにビートルズ談義で盛り上がった後でちょうど話が一区切りついた時のこと、Sさんにお願いしてお店HP 10/17付の「日記」で “とても音が良い” と書いておられた “Hey Jude” の Philipsプレス盤を聴かせていただいた。中央部分が通常の4本プロングと違って3本プロングになっている珍しいシングルである。Sさんが盤に針を落とすと、ほとんどチリパチ音無しの無音状態からいきなりポールの “ヘイ ジュ~、ドンメイキッバ~ッ♪” という歌声がお店に響き渡った。おぉ、何というクリアネス! ポールの声がめっちゃ瑞々しい。しかしそれ以上に驚いたのはピアノ一音一音の響きだった。それはピアノという楽器本来のナチュラルな音で、明らかに自分が今まで聴いてきた「Hey Jude」のピアノよりも良い音だった。
 実を言うと私はコントラクト・プレスに関してはめちゃくちゃ疎くって、“確か「With The Beatles」にDecca プレスがあったっけ。” “イギリスでビートルズの人気が大爆発した「She Loves You」や「I Want To Hold Your Hand」でも他のレコード会社にプレスを依頼してたよな。” “「Hey Jude」もメチャクチャ売れたからプレスが追い付かなくって色んなプレスが出とったような気がする...” 程度の知識しかなかった。それもこれも“他社プレスが本家本元のEMIプレスよりもエエ音するわけないやろ...” と勝手に決めつけていたからだったが、実際にこの Philipsプレスの音を聴いてしまうとそれがいかに根拠のない浅はかな思い込みだったかがよくわかる。
 “めっちゃエエ音ですやん!” とコーフン気味に言うと、“でしょう?” とSさんも我が意を得たりという感じで嬉しそう。当然B面の「Revolution」もお願いして聴かせていただいたが、こっちも負けず劣らず凄い。この曲はギンギンに歪んだラウドなギターが全体を支配するヘヴィーなナンバーだが、このPhilipsプレスでは混沌の中にも秩序があるというか、スッキリと見通しが良くてカオスに陥ることなくこの曲が持つグルーヴ感を存分に堪能できるところが凄い。いやぁ、さすがは世界に冠たるオーディオ・カンパニーの Philipsである。そういえば半年ほど前にSさんに教えていただいた例の「Band On The Run」のUKマト3盤もPhilipsプレスだったっけ。う~ん、Philipsおそるべし... (≧▽≦) そしてそれらを体験的に見つけて教えてくださる Sさんは私にとってかけがえのないレコード師匠的存在だ。
 私はこのレコードを手に入れたいと思ったが、あいにくその日はキャッシュの持ち合わせが無かったし(←てゆーか、基本的に私はクレジットカードでしか買い物をしないのでキャッシュは一切持ち歩かない...)Philips盤の相場もよくわからなかったので、“まぁ帰ってからeBayやDiscogs で探せば簡単に見つかるやろ...” とタカをくくっていた。
 しかし家に帰ってからいざ実際に自分で探してみると、コレが中々難しい。まず出品されている数自体が少ないのだ。しかもeBayのは$50~$180と値段が高すぎてお話しにならないし、Discogsのは Gとか VG がほとんどでリスクが大きい。私はとりあえずその中から一番マシそうな VG+で£7.99というブツを買ってみることにした。
 しかしいざレコードが届いてみると盤面を一目見ただけで溝がヘタってるのがわかる満身創痍盤で、かけてみると案の定ジリジリチリチリというノイズがひっきりなしだ。しかも悪いことにエンディングが近づいて楽音がフェイドアウトしていくところでボツ、ボツと結構デカいノイズが入るのも気に障る。もちろん Philipsプレスならではのナチュラリズムの片鱗は随所に聴き取れるものの、B-SELS で聴かせていただいたあの美音には遠く及ばない。
 私は自力でのネット購入を諦め、B-SELSにあるあのピカピカ盤を買ってしまおうと決意。買うと決めたら善は急げである。ちんたらしていて売れてしまっては元も子もない。明日仕事から帰ったらすぐに B-SELSに買いに行こう... そう考えると何だか急にコーフンしてきて夜中の3時を過ぎているというのに頭の中で「Hey Jude」が延々リフレインして(笑)中々寝付けなかった。
 その翌日、仕事を速攻で切り上げてATMでキャッシュをおろしB-SELSへと直行。平日の晩にいきなり現れたものだからSさんも “仕事はどうされたんですか?” と驚かれていたが、“仕事よりもビートルズですよ。Philipsの「Hey Jude」くださいっ!!!” と言うと大笑いされた。以下、その時の会話;
 私:いやぁ~、やっぱりこの音最高ですね。私が今まで聴いてきた「Hey Jude」の中で文句ナシの№1です。
 Sさん:そう仰っていただけると嬉しいです。
 私:Philipsのプレス技術も凄いと思いますが、その高音質を楽しめるだけのこの盤質の良さが大きいと思うんですよ。こんなキレイな盤、どこを探しても無いですもん。
 Sさん:それは言えるかもしれませんね。傷だらけではただのレア盤になっちゃいますから。
 私:そうそう、まさに盤質こそが大正義ですよ。それにしてもこのピアノの音は何度聴いても痺れるなぁ...
 Sさん:ジョンの弾くギブソン J-160Eの音が他の盤とは違ってすごくよく聞こえるところもたまりません。
 私:「Hey Jude」には他にもDeccaやPyeのプレスがあるそうですが、音質的にはどうなんですか?
 Sさん:EMIプレスとあまり変わらないと思います。私が “これは凄い!” と思ったのはこの Philipsプレスだけですね。もちろんEMIプレスのスタンパー1桁台の盤とか聴いたらそっちの方がもっと凄いかもしれませんが...
 私:そんなん滅多に出てきませんで...(笑) 私はこのPhilipsプレスの音で大満足ですわ。

...というワケで私は今、B-SELSでゲットしてきた「Hey Jude」の最強シングル盤を聴きながら次のターゲットに向けての資金繰りに頭を悩ませている。早よボーナス出ぇへんかな...

この記事についてブログを書く
« 「Magical Mystery Tour」イ... | トップ | 「Magical Mystery Tour」各... »