洋楽の邦題には誤訳と呼べるものが少なくないが、そんな中でも特に恥ずかしい間違いがビートルズの「ノルウェーの森」だろう。中学生の時に買った国内盤(EAS)の歌詞対訳(by 山本安見)には、女性の部屋に案内されたくだりで “Isn't it good, Norwegian wood” を「ノールウェイの森みたいにシャレた部屋さ」と訳してあり(←「ノールウェイ」って何やねん...)、壁に鹿の剥製みたいなのが飾ってある暖炉付きの部屋みたいなのを勝手に想像していたのだが、それ以外の部分の訳にも意味不明な箇所がいくつかあってイマイチ腑に落ちないまま聴いていた。
やがて大学生になり、音楽を通じて仲良くなったアメリカ人にこの歌の内容について尋ねたところ、“wood は「森」じゃなくて「木材」。Isn't it good は主人公ではなく彼女が言った言葉で、「素敵でしょ、ノルウェー産の木材を使ったインテリアよ。」という意味。” なのだという。ラストの部分はフラれた腹いせに彼女の部屋に火をつけた主人公が彼女の言葉を引用して「確かに彼女の言う通り、ノルウェー産の木材はよく燃えていいねぇ...」というシュールなオチなのだと教えてもらい、やっとこの歌の内容が理解できたのだった。
しかしその後シンコ―ミュージックから出た「ビートルズ全詩集」(by 内田久美子)というハードカバーの豪華本にも “いいじゃないか、ノルウェーの森” というワケのわからん訳が載っているのを見て呆れてしまったが、逆に言えばそれだけ「ノルウェーの森」という邦題のインパクトが強かったということだろう。完全な誤訳とはいえ、村上春樹氏にインスピレーションを与えたことでも明らかなように、言葉の響き自体はカッコ良くてセンス抜群だ。この邦題を付けたのは担当ディレクターの高嶋弘之氏だが、彼の頭の中には「ラバー・ソウル」のジャケットでビートルズのバックに写っている鬱蒼とした森のイメージがあったのではないか。そしてシタールの神秘的な響きを耳にして天啓的に「ノルウェーの森」という邦題を思いついたのではないかと勝手に想像しているのだが、果たして真相は如何に???
で、いよいよココからが本題だ。音楽ファンなら誰しも “一度は聴いてみたい” レコードが1枚や2枚はあると思う。私の場合はそれが “ノルウェー盤で聴く「ノルウェーの森」”で、かなり昔から “もしあったら聴いてみたいなぁ...” と思っていたが、その当時はまさか自分が将来各国盤にハマるなどとは夢にも思わず、自分でも一種の “ないものねだり” 的なレコードとして捉えていた。
しかし半年ほど前に見つけた“The Beatles Bible”というサイトの Discographies というページでノルウェー盤の項目を発見、“まぁどーせEP盤ばっかりやろ...” と思いながらも一応覗いてみると、何と「ハード・デイズ・ナイト」から「レット・イット・ビー」までの8枚のアルバム(←何故か「ホワイト・アルバム」は載ってなかった...)が出ているではないか! その中には当然「ノルウェーの森」が入ったアルバム「ラバー・ソウル」も含まれており、“え~、ホンマに実在するんや!!!” と驚きながらも次の瞬間には “一度は聴いてみたい” というレコード・マニアならではの好奇心にスイッチが入ってしまった。
私はこれまで検索したことすらなかった“Beatles / Rubber Soul / Norway” をeBay で探してみたが1枚も出ていない。Discogs で調べてみると確かにそのレコードの存在は確認できたものの、当然ながら1枚も出品されていないどころか、200を超える“ほしい”エントリーを見て自分の甘さを思い知るハメに...(*_*) 一体どれほどレアなのだろうと popsike で過去の販売実績を調べてみると、何とこの10年間でたったの5枚! つまり2年に1枚出るか出ないかのメガレア盤ということだ。€150(20,000円)~£250(36,000円)という落札価格からも競争の激しさが伝わってくる。私は “まぁ生きてるうちに聴けたら御の字やな...” と半ば諦め気分でパソコンを閉じた。
しかし2ヶ月ほど前にドイツ原盤の輸出仕様レコードをイーベイのドイツ国内向けローカル・オークション・サイトで調べていた時に(←最近このパターン多いよな...)関連アイテムの中に「ラバー・ソウル」のノルウェー盤が出品されているのを偶然発見。これはエライコッチャである。ドイツ盤なんぞに構っている場合ではない。
とにかく黒々としたオールド・タイプのパーロフォン・レーベルは風格すら感じさせるカッコ良さし、値段もBUY IT NOW €100という超お買い得価格で、更にオファー(値下げ交渉)も可能だという。eBay.deの商品説明は基本的にすべてドイツ語なので翻訳サイトにかけてみると“Cover has a crack, disk is running well by.”(カヴァーに裂けあり。盤は針飛びなし。)とのこと。写真で見る限りジャケットの裂けはそんなに酷くなさそうだし、ジョージの鼻っ柱の部分にステッカー剥がし跡があるがその程度のことを気にしてこの千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないので、試しに €90でオファーしてみたところすんなりOKが出て即落札。まさかこんなにあっけなくノルウェー盤「ラバー・ソウル」が手に入るなんて夢にも思わなかったが、とにかく嬉しくて嬉しくて、レコードが届くのを一日千秋の思いで待った。
届いた盤の状態はVG++といったところで所々でポップノイズが入るが気にならないレベル。UKマザーでマト枝番は -4/-4 だが、プレス枚数が極端に少なくてスタンパーの劣化が少ないのか、非常に生々しい音が愉しめる。ただ、このレコードは中低音域がスベッたとか高音域がコロンだとかいう風に分析的に聴くのではなく、“自分は今、ノルウェー盤で「ノルウェーの森」を聴いてるんや...(^.^)” という自己満足(笑)に浸りながら聴くのが正しい。まさに “思い入れ一発で聴くレコード” なんである。それにしてもこの曲ってこれまでに何百回何千回聴いたかわからないが、聴けば聴くほど味わいと深みが増すエエ曲やなぁ...(≧▽≦)
そういうワケでついに聴くことが出来たノルウェー盤の「ノルウェーの森」。送料を€14も水増し請求されたのは気分が悪いが(←ホンマにドイツ人はやることがセコイわ!)それを含めても長年の垂涎盤を14,000円で入手できたので私としては大満足だ。「ミッシェル」のフランス盤も手に入れたし、次は「オブラディ・オブラダ」のナイジェリア盤でも探すかな...(笑)
Rock Band The Beatles - Norwegian Wood (R.C.C)
やがて大学生になり、音楽を通じて仲良くなったアメリカ人にこの歌の内容について尋ねたところ、“wood は「森」じゃなくて「木材」。Isn't it good は主人公ではなく彼女が言った言葉で、「素敵でしょ、ノルウェー産の木材を使ったインテリアよ。」という意味。” なのだという。ラストの部分はフラれた腹いせに彼女の部屋に火をつけた主人公が彼女の言葉を引用して「確かに彼女の言う通り、ノルウェー産の木材はよく燃えていいねぇ...」というシュールなオチなのだと教えてもらい、やっとこの歌の内容が理解できたのだった。
しかしその後シンコ―ミュージックから出た「ビートルズ全詩集」(by 内田久美子)というハードカバーの豪華本にも “いいじゃないか、ノルウェーの森” というワケのわからん訳が載っているのを見て呆れてしまったが、逆に言えばそれだけ「ノルウェーの森」という邦題のインパクトが強かったということだろう。完全な誤訳とはいえ、村上春樹氏にインスピレーションを与えたことでも明らかなように、言葉の響き自体はカッコ良くてセンス抜群だ。この邦題を付けたのは担当ディレクターの高嶋弘之氏だが、彼の頭の中には「ラバー・ソウル」のジャケットでビートルズのバックに写っている鬱蒼とした森のイメージがあったのではないか。そしてシタールの神秘的な響きを耳にして天啓的に「ノルウェーの森」という邦題を思いついたのではないかと勝手に想像しているのだが、果たして真相は如何に???
で、いよいよココからが本題だ。音楽ファンなら誰しも “一度は聴いてみたい” レコードが1枚や2枚はあると思う。私の場合はそれが “ノルウェー盤で聴く「ノルウェーの森」”で、かなり昔から “もしあったら聴いてみたいなぁ...” と思っていたが、その当時はまさか自分が将来各国盤にハマるなどとは夢にも思わず、自分でも一種の “ないものねだり” 的なレコードとして捉えていた。
しかし半年ほど前に見つけた“The Beatles Bible”というサイトの Discographies というページでノルウェー盤の項目を発見、“まぁどーせEP盤ばっかりやろ...” と思いながらも一応覗いてみると、何と「ハード・デイズ・ナイト」から「レット・イット・ビー」までの8枚のアルバム(←何故か「ホワイト・アルバム」は載ってなかった...)が出ているではないか! その中には当然「ノルウェーの森」が入ったアルバム「ラバー・ソウル」も含まれており、“え~、ホンマに実在するんや!!!” と驚きながらも次の瞬間には “一度は聴いてみたい” というレコード・マニアならではの好奇心にスイッチが入ってしまった。
私はこれまで検索したことすらなかった“Beatles / Rubber Soul / Norway” をeBay で探してみたが1枚も出ていない。Discogs で調べてみると確かにそのレコードの存在は確認できたものの、当然ながら1枚も出品されていないどころか、200を超える“ほしい”エントリーを見て自分の甘さを思い知るハメに...(*_*) 一体どれほどレアなのだろうと popsike で過去の販売実績を調べてみると、何とこの10年間でたったの5枚! つまり2年に1枚出るか出ないかのメガレア盤ということだ。€150(20,000円)~£250(36,000円)という落札価格からも競争の激しさが伝わってくる。私は “まぁ生きてるうちに聴けたら御の字やな...” と半ば諦め気分でパソコンを閉じた。
しかし2ヶ月ほど前にドイツ原盤の輸出仕様レコードをイーベイのドイツ国内向けローカル・オークション・サイトで調べていた時に(←最近このパターン多いよな...)関連アイテムの中に「ラバー・ソウル」のノルウェー盤が出品されているのを偶然発見。これはエライコッチャである。ドイツ盤なんぞに構っている場合ではない。
とにかく黒々としたオールド・タイプのパーロフォン・レーベルは風格すら感じさせるカッコ良さし、値段もBUY IT NOW €100という超お買い得価格で、更にオファー(値下げ交渉)も可能だという。eBay.deの商品説明は基本的にすべてドイツ語なので翻訳サイトにかけてみると“Cover has a crack, disk is running well by.”(カヴァーに裂けあり。盤は針飛びなし。)とのこと。写真で見る限りジャケットの裂けはそんなに酷くなさそうだし、ジョージの鼻っ柱の部分にステッカー剥がし跡があるがその程度のことを気にしてこの千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかないので、試しに €90でオファーしてみたところすんなりOKが出て即落札。まさかこんなにあっけなくノルウェー盤「ラバー・ソウル」が手に入るなんて夢にも思わなかったが、とにかく嬉しくて嬉しくて、レコードが届くのを一日千秋の思いで待った。
届いた盤の状態はVG++といったところで所々でポップノイズが入るが気にならないレベル。UKマザーでマト枝番は -4/-4 だが、プレス枚数が極端に少なくてスタンパーの劣化が少ないのか、非常に生々しい音が愉しめる。ただ、このレコードは中低音域がスベッたとか高音域がコロンだとかいう風に分析的に聴くのではなく、“自分は今、ノルウェー盤で「ノルウェーの森」を聴いてるんや...(^.^)” という自己満足(笑)に浸りながら聴くのが正しい。まさに “思い入れ一発で聴くレコード” なんである。それにしてもこの曲ってこれまでに何百回何千回聴いたかわからないが、聴けば聴くほど味わいと深みが増すエエ曲やなぁ...(≧▽≦)
そういうワケでついに聴くことが出来たノルウェー盤の「ノルウェーの森」。送料を€14も水増し請求されたのは気分が悪いが(←ホンマにドイツ人はやることがセコイわ!)それを含めても長年の垂涎盤を14,000円で入手できたので私としては大満足だ。「ミッシェル」のフランス盤も手に入れたし、次は「オブラディ・オブラダ」のナイジェリア盤でも探すかな...(笑)
Rock Band The Beatles - Norwegian Wood (R.C.C)