shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

NZ盤 vs OZ盤②「Abbey Road」

2017-10-22 | The Beatles
 ニュージーランド盤 vs オーストラリア盤対決の第2弾は「アビー・ロード」だ。NZ盤は1st プレスと2nd プレス、OZ盤は2nd プレスと3rd プレスで計4枚を聴き比べてみた。

①ニュージーランド盤 [PCSM-7088]
 半年ほど前のことだが、「アビー・ロード」のNZ 1stプレス盤を落札した翌日にセラーからメールが届いた。盤質表記はNMだったのだが、梱包している時に新たな傷に気付いたとのことで、(1)「全額返金」、(2)「半額にディスカウント」、(3)「2ndプレス盤と併せて2枚送る」、の3つの選択肢のうちから選んでくれという。“何じゃいそれは... ”と思ったが、届いてから “傷いってるやんけ!!!” と揉めるよりは(←最近も2件ほどあって怒りの返品したった... ヨーロッパのセラーは目ぇ悪いんか???)よっぽどマシだ。該当箇所の写真をメールで送ってもらったところ、音には出そうだが針飛びはなさそうに見えたので、希少なNZ盤の1stプレスと2ndプレスの聴き比べをするのも一興と思い(3)を選択、結局 NZ$60(約4,800円)で「アビー・ロード」のNZ盤2枚を手に入れた。
 1stプレス盤はセンター・レーベルのリム部分の表記が“MADE IN NEW ZEALAND BY HIS MASTER'S VOICE (N.Z.) LIMITED”でB面に「ハー・マジェスティー」のクレジット無し。マト枝番は -2/-1 で裏ジャケットのフリップバック部分が黒色、盤の重さは160gだ。気になっていた傷は見た目はヤバそうだがラッキーなことにほとんど音に出ず、とりあえずは一安心(^.^)  私としては2ndプレス盤をタダで手に入れたようなものだ。
 音の方は “いかにも UKマザー” という感じのサウンドで、どっしりした中低域と伸びやかな高音域のバランスが実に気持ちイイ(^o^)丿 「カム・トゥゲザー」の生々しさはさすが NZ盤と言えるものだし、「サムシング」や「ヒア・カムズ・ザ・サン」の根底を支えるベースの動きも闊達そのもの。B面のメドレーも雄大な音楽の流れに身を委ねるような感じで、個々の音を聴こうとしてもいつの間にか音楽に聴き入ってしまうぐらい心地良いサウンドに仕上がっている。
 2ndプレス盤はセンター・レーベルのリム部分の表記が“MANUFACTURED IN NEW ZEALAND BY E.M.I. (N.Z.) LIMITED” と HIS MASTER'S VOICEからEMIに変わっており、B面に「ハー・マジェスティー」のクレジット有り。マト枝番は1stプレスと同じ -2/-1 で裏ジャケットの縁部分は白色、盤の重さは141gだ。1stプレスに比べると中低域は少しスリムになり、高音部が多少華やいで聞こえる。「アナログ・ミステリー・ツアー」に掲載されているのはこの2ndプレス盤だが、“高域の再現性に優れる” という説明はこのあたりのことを言っているのだろう。私的には1stプレス盤の音の方が好みだが、人によってはこっちの方が好き、と好みが分かれるかもしれない。

②オーストラリア盤 [PCSO-7088]
 OZ盤はNZ盤に比べてプレス枚数が多いのでバカ売れした「アビー・ロード」なんか簡単に手に入るだろうとタカをくくっていたのだが、実際に探してみるとコレが中々市場に出てこない。色々調べてやっと見つけたのが MusicStack に出品されていた1枚で、“Apple(1969) Stunning very rare Australian pressed vinyl.” という説明を見て “やっと見つけたぁ!” と大喜び\(^o^)/  NZ$35(約2,800円)という安さもあって何も考えずに即ゲットした。
 しかし1週間ほどして届いた盤はジャケットはラミネート・コーティングしてない安っぽい作りだし、盤自体も薄くて軽い(118g)。慌ててマト枝番を確認すると -3/-2 ではないか! あちゃ~(>_<) コレはどう見ても1979年プレスの再発盤だ。慣れないOZ盤で確認を怠った私の完全なミス。まぁしゃあない。コレも各国盤蒐集の授業料だと思って潔く受け入れよう。音の方も盤同様に薄っぺらいもので、痩せ細った中低域にはガッカリだし、「ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー」のサビに入る直前に左chから聞こえるバリッというノイズにも唖然(゜o゜)  ハッキリ言ってこれはアカンやつですわ。教訓:私のようなアンチ再発盤コレクターでビートルズのOZ盤を狙っている人は必ずラミネート・ジャケットか確認しましょう!!!
 そういうワケで意地でも1stプレスが欲しくなった私は “ラミネート・ジャケットでマト枝番 -2/-1 のOZ盤「アビー・ロード」” に的を絞って網を張り、2ヶ月かかってeBayでようやくゲット。1stプレスはピンクがかった印刷エラーで有名な通称「ブラッド・ステイン・カヴァー」と呼ばれる超稀少盤で、私が手に入れたのは厳密に言うと2ndプレスということになるのだが(←それでも色合いが少し赤味がかってる...)、ほぼ同時期の69年プレスなので音質的に違いはないだろう。
 盤の重さは120gと思いのほか軽いのだが、音の方はというと “やっぱり60年代プレスは最高やなぁ...(^.^)” と思わず目じりが下がる豊潤なサウンド。私の重量盤信仰を木っ端微塵に打ち砕いた1枚だ。何はさておき冒頭の「カム・トゥゲザー」からベースの音が深い井戸の底から響いてくるような重低音で嬉しくなってしまうし、リンゴのドラミングの凄さもリアルに体感できる。特にシンバルの音が素晴らしく、リンゴめっちゃ気合い入っとるやん!とそのシャープな響きに耳が吸い付く。これはもう低音がどーとか高域がこーとかいう次元を遥かに超えた、再生芸術の鑑とでも言うべき見事な音作りだ。やっぱりアナログはカッティング・エンジニアの腕で決まるんやね。
 とにかく全編を通して上記のNZ盤をも凌ぐスーパーウルトラ高音質で、眼前に生々しい音楽が屹立し、ついつい時のたつのを忘れてしまうくらいビートルズの音楽に引き込まれていく。やはり再発盤との10年という差はとてつもなく大きいと感じた次第。因みにこれでOZステレオ盤はUSマザーの「ホワイト・アルバム」を除いて(←どんだけUS盤の音嫌いやねん!)完全制覇だ(^o^)丿