shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Long Tall Sally [EP] / The Beatles

2015-01-06 | The Beatles
 私はビートルズのレコードに関してはUKオリジナルの、それもモノラル盤至上主義者である。何故か音の悪い「オールディーズ」(←モノラル盤は輪郭がボヤけたようなモコモコした埃っぽい音だったので、ステレオ盤を買い直すハメになってしまった...)を除けば、変なエコーがかかったUS盤や音が痩せた感じの日本盤とは次元の違う生々しいサウンドが楽しめるからだ。 “良い音” というのはあくまでも主観的なもので聴く人によって十人十色だが、「ラバー・ソウル」ラウドカット盤や「プリーズ・プリーズ・ミー」赤パーロフォン・シングル盤の時に書いたように、私の場合はとにかく音が近くて迫力があるサウンドが好みなので、そういう音作りがなされているUK盤を極めようと決めたのだ。
 そんなこんなで10年ほど前にビートルズの全オリジナル・アルバムをUK 1stプレス盤でせっせと買い揃えたのだが、シングル曲を始めとするアルバム未収録音源は残念ながら盤も音も薄っぺらい「パスト・マスターズ」(1988年)で聴くしかなかった。ステレオ盤をモノラル・カートリッジで聴くという荒ワザは音溝を痛めるし、2009年リリースのモノCDではアナログ盤に比べるといまいちパワー不足だったので、アルバム未収録曲を私が理想とするモノの大迫力で聴くのは不可能と半ば諦めていた。当時はジャケットの無いシングル盤など全く眼中になかった。
 しかし昨年ふとしたことからシングル盤に開眼してビートルズUKシングル・コンプリート作戦を敢行、22枚すべてを手に入れて一服ついていた時に例の “悪魔のささやき”(笑)に触発され、EP盤リストを眺めていてふと気がついた... これってひょっとすると「ロング・トール・サリー」のEP盤を取れば(ドイツ語ヴァージョン2曲を除いて)ビートルズの全レコーディング曲をUKオリジナルのリアルなサウンドで聴けるっていうことやん... 私のテンションは一気にMAX状態にハネ上がり、速攻でeBayチェックした。
 するとラッキーなことにSold In UKリマーク有りの1stプレス盤が£5.99で出ているではないか! しかも残り1日でまだゼロ・ビッドだ。商品説明には “The title track literally jumped out of the speakers when I listen to this. Wow. This was how the Fab Four were meant to sound. Glorious Mono vinyl. Vinyl. VG. Surface marks both sides but it play great. Barely any unwanted noise. No pops, crackles or skips.(タイトル曲は文字通りスピーカーから怒涛の如く飛び出してくる感じ。ワオ! これこそまさにビートルズ・サウンドだ。とにかく凄いモノラル盤。盤質はVGで表面にスレ有りだが凄く良い音で鳴る。不快なノイズはほぼ無し。ボツ音・チリ音・針飛びなし。)とある。ワオ!と叫びたいのはこっちである。このまま誰も来ませんようにと祈るような気持ちで最終日を迎えた。
 このオークションはイギリスのセラーにしては珍しく、〆切は日本時間の夜8時40分というラクチンな時間帯、裏を返せばアメリカは真夜中という願ってもない好条件での余裕のスナイプ... 結局ライバルは誰も現れず、無競争£5.99でこのEP盤を手に入れることが出来た。プライス・ガイドには£18.00と書いてあったので何かめっちゃ得した気分だ。
 届いた盤はVGどころかNMと言ってもいいぐらいのグッド・コンディション(^.^)  海外オークションでアナログ・レコードを取った時は実際に音出しするまで油断は禁物だが、商品説明通りサ-フェス・ノイズがほとんど気にならないレベルでホッと一安心だ。それにしてもA面1曲目のタイトル曲「ロング・トール・サリー」の凄いこと... (≧▽≦)  喉が張り裂けんばかりにシャウトするポールのヴォーカルの凄まじさはこれまで聴いてきた盤の中で文句なしに最強だ。力感みなぎるジョージのギターもたまらんたまらん! ひとつひとつの楽器のエネルギー感が桁違いで楽曲全体の躍動感を高めており、それこそロックンロールを聴く喜びここにありである。
 B面ではアップテンポな「スロー・ダウン」が出色の出来。ジョージ・マーティンがガンガン叩きつけるように弾きまくるピアノをバックにノリノリで歌うジョンのヤクザなヴォーカルが圧巻なのだが、そんなジョンの歌声がスピーカーからドバーッと飛び出してきてこの曲の生命線である “疾走感” に拍車をかけているのはモノ・ミックスならではのチカラワザだろう。アンプのヴォリュームを数ミリ上げるだけで音の風で全身をくまなく包まれる快感は筆舌に尽くし難い。
 一応モノとステレオを比較するために1976年リリースのコンピレーションLP「ロックンロール」収録のステレオ・ヴァージョンを一緒に貼り付けてみたが、私的にはモノ・ミックスの圧勝だ。初期ビートルズの火の出るようなロックンロールをヴォーカルが右チャンネルに偏った不自然極まりないステレオ・ミックスで聴いて幸せ、などというリスナーが果たして何人いるのだろう? ロックンロールはチカラである... そのことを如実に示しているのがこのEPなのだ。
Long Tall Sally [EP]

Long Tall Sally Stereo Mix


Slow Down [EP]

Slow Down Stereo Mix
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