shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Long Live Rock 'n' Roll / Rainbow

2012-11-12 | Hard Rock
 レインボー祭り第2弾の今日は「レインボー・ライジング」に続く 3rdアルバム(←ライヴ盤は除く)でいこう。このアルバムの原題は「ロング・リヴ・ロックンロール」なのだが、世間一般的には「バビロンの城門」という邦題の方が圧倒的に有名だし、黄色がかったベージュをバックにメンバーの顔のイラストが描かれたシックなジャケット(←カラフルな虹をフィーチャーした他のアルバムとは雰囲気全然違うなぁ...)にも単純明快な「ロックンロール万歳」よりは何となく高尚そうな(?)「バビロンの城門」というタイトルの方がしっくりくる。「銀嶺」とか「翔る」とかいう難しい漢字が使われてないこともあって、私もこの邦題の方に馴染んでいる。
 この作品はリッチー、コージー、ロニーのいわゆる “三頭体制” 最後のアルバムであり、初期レインボーが目指していた “攻撃性と芸術性を兼ね備えた様式美ハードロック” の完成形といえる、しっかりとまとまったタイトなバンド・サウンドが楽しめる。バンド名から “ブラックモアズ” が消えてただの“レインボー” 名義になったのも、ちょうど “ポール・マッカートニー&ウイングス” から “ウイングス” に変わったのと同じく、前作の成功で自信を付けたリッチーの “もうワシのワンマン・バンドとちゃうでぇ!” 宣言だろう。
 アルバムは全8曲でサウンドの傾向は前作の延長線上にあって大きくは変わらないが、この頃からリッチーがアメリカン・マーケットを意識し始めたせいか長尺曲は姿を消し、コンパクトにまとまった楽曲を中心に構成されており、 “贅肉を削ぎ落とした切れ味鋭いハードロック” が展開されている。
 アルバム冒頭を飾るタイトル曲①「ロング・リヴ・ロックンロール」はこれまでのレインボーの曲には希薄だったキャッチーなフックを持ったノリの良いロックンロール。キャッチーでありながら決して軽くならないところはレインボーならではで、コージーの叩き出すヘヴィーなシャッフル・ビートに乗って “顔面アンドレ・ザ・ジャイアント” ことロニー・ジェイムズ・ディオがハイテンションなヴォーカルを聴かせてくれる。いやぁ、この曲ホンマにカッコエエわぁ...(≧▽≦)  私なんか “ドカドカドカドカ!!!” とたたみかけるようなドラムのイントロを聴いただけでアドレナリンがドバーッと出まくるし、クルクルと目が回るような御大のギター・ソロも相変わらず冴えわたっていてゾクゾクさせられる。空耳ファンは4分01秒からの “ダメだよ!やめてよ!やめてよ!やめねーよ!” も要チェックだ。
Rainbow - Long Live Rock and Roll - Re-EQ'd


 ライヴ盤「オン・ステージ」の鬼気迫るプレイでもお馴染みの⑤「キル・ザ・キング」も圧倒的に素晴らしい。 “これぞレインボー!” と思わず快哉を叫びたくなるような超絶ハイスピード・チューンで、前作の「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」と同様に “速さ” と “重さ” を見事に両立しており、凄まじいまでのスピード感とスリリングな展開に圧倒される疾走系ロックンロールだ。御大のギターは “クルクル~♪” を通り越して “キュルキュル~♪” (←ベタな擬音ですんません...)と聞こえるぐらいアグレッシヴ。前作は「ア・ライト・イン・ザ・ブラック」、今作はこの「キル・キン」で決まり!である。疾走せずに何のレインボーか!!!
Rainbow - Kill the King


 アルバムの邦題になった④「ゲイツ・オブ・バビロン」は起承転結のあるドラマチックな構成にアンドレ、じゃなかったロニーの粘りのあるパワフルなヴォーカルがドンピシャにハマった感のあるナンバーで、バビロンというだけあって中近東っぽいミステリアスな薫り横溢のヘヴィー・ロックに仕上がっている。コージーの迫力満点のドラミングが高い緊張感を醸し出しているし、何と言っても御大のギター・ソロが抜群にカッコイイ(^o^)丿 まさにリッチーが目指した中世ヨーロッパ的様式美ここに極まれり!と言いたくなるような名曲名演だ。
Rainbow-Gates of Babylon


 上記の3曲以外では⑥「ザ・シェッド」が好き。ファンの間ではほとんど話題にも上らない不憫な曲なのだが、その重厚でゴリゴリしたサウンドは完全にゼップ系のへヴィー・ロック。私の耳にはヴォーカル以外はあのキングダム・カムそっくりに聞こえるぐらい(笑)ゼップっぽいナンバーだ。イントロのギター・ソロにはゼップの「ハートブレイカー」の薫りが濃厚に立ち込めているし、コージーのドラミングもまるでボンゾが墓場から蘇えってきたかのようだ。私が持っているUKポリドール原盤の音はイマイチで、前作に比べてバスドラの重低音の迫力が不足しているように感じてしまうのだが、ドラムの音をもっと上手く録っていればこの曲の評価もガラッと変わったかもしれない。最新のリマスターCDでも買ってみようかな...
 レインボーはアルバム収録曲の出来不出来のバラつきが大きいバンドだと思うが、①④⑤のような超有名曲以外でこういう隠れ名演を探すのもファンの愉しみの一つだろう。やっぱりレインボーはエエなぁ...(^.^)
Rainbow - The Shed (1978)