津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■井田衍義・歛法式令ー八・九 (5)

2018-04-29 06:49:40 | 史料

 二〇
 ○御例之事
一御徳懸の割起太如何躰二も御受仕得不申、御例願出候
 村有之、御例被仰付候節ハ、御内檢と御百姓勝負を決候
 様なり意味有之、御例坪極之儀、御内檢ハ見落の毛上延
 畝有之坪を見立、御百姓ハ見詰置候毛上延畝無之坪を見
 立、双方御例ニ相成、例籾はかり立候ヘハ、両舛の割起
 不輕甲乙にて本意に叶不申候ニ付、寛政八年より一例ニ
 被仰付候間、御立會の御役人中衆儀一決の上例坪相極申
 御法ニ候、扨御内檢より例坪を見立、立會御役人の衆儀
 にかけ村方へ申談候節、延畝山影見損イ等之起割太キ坪
 ハ村方より相断坪替願出候處、猶見立ニ相成候坪も起割
 太く相見、村方受兼再三相断候ヘハ、御内檢腹を立、上の
 威を以下方ひしく勢に相成、立會御役人衆も下方姦曲を
 構再三相断候様なる御見込に成行可申候、於此時前條之
 通御惣庄屋始中終参考を以其村々の中墨を取出し、御内
 檢見立の坪中墨に當候所を村方より相断候得は、村方の
 姦曲ニて候間、其坪にて御例に相成候様急度可申付候、扨
 例方之事ハ従前ニいろ/\被仰付置候處、上下こも/\
 利を争ふ境にて、公平の中墨に當兼候所より、御例の御
 仕法も追々御變革被仰付候、然處貴賤の等差、上下の勢
 相異り居候ニ付、於衆儀は御内檢百姓に勝つ威勢有之所
 より、上下二例に相極り居候處、今一ト例に被仰付候ニ付
 ては、勢の強弱に不拘公平の中墨に當り候迄ハ、下方よ
 り申出候儀も一はひに盡せ、双方熟得之上實ニ叶候様極
 方不被仰付候ては的當不仕候、左無御座候ては、威勢を
 以急に決談いたし候ヘハ、下情塞り偏頗に片付下方の難
 澁に相成申候間、此境大切の場にて、御惣庄屋能々其中
 墨を極置、若偏頗に片付候ハヽ其日ハ及暮翌日ニ相成候
 とも、中墨に相當候所相願可申候、下方の申口なとを践
 へ中墨を極候様なる事にてハ危く、公平中墨相極候
事ハ
 御惣庄屋の勢力に有之候、扨衆儀一決のうへ例坪相極例
 舛入方等ハ、前條御試舛之通相替儀無之候、御例籾拵上
 之儀も御試例に相替不申候得共、少心を用不申候ては難
 叶儀有之候、御試例は少々御了簡引も被仰付候得共、本
 例は其儀無御座、算用前之割起不残上納被仰付候ニ付、
 上納米に可成籾少も簸出し不申様糠秕を能ひ分ヶ、上納
 米に可相成籾を撰立候様箕取之者へしかと申付、ひわけ
 明白致シ申候迄ハ、御内檢・御惣庄屋片言を用不申様双
 方申談、下方落付候て寛々拵上せ可申候、もミ方箕方共
 入念候得ハ、御内檢より申分之事も可有之候、若一圖の
 申付等有之候ハヽ、御惣庄屋より相断拵方の者ともうろ
 たへ不申様取計可申候、左無之急に致せ候ヘハ、上納米
 に可相成籾をも箕出し、又糠秕離れ不申候上納米拵立
 候、田中に刈干候上こきおとし二三日干候て唐箕にてく
 り上ヶ、籾摺に到赤米腹白より以下折レ砕ヶ板秕の類繰
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 出、おろしくす、あらもと等仕分候上、御繰ニ至り繰減
 有之品々の出物ハ拵籾之内より撰出候ニ付、上納米之拵
 立は至極減詰に相成申候、其上ハ一割程の入米を加不申
 候得ハ俵拵出來兼申候、右之通手數掛り候上、上納米に可
 相成収納之品刈る/\之生籾ニて即時に相決し、上納米
 のかね取出候事ニ付、急にいたし候てハ當り兼申候、此
 子細ハ先御例に決候時分立會候役人へ内達いたし置可申
 候、左無之候得は、御法なんとと申いかつヶ間敷申分有
 之節強て相断候ヘハ、御内檢方と御惣庄屋いさかひの様
 に成行、大切成御免極之場所におひて甚恐不尠候、扨山         恐不尠=おそれすくなからず
 陰畝廣等にて例方無之様ニとの儀ハ、安永三年御免方御
 潤色の砌、御内檢へ被仰聞置、例籾拵方之儀付ても御僉
 議之趣、歛法彙函に委ク有之候間、熟讀いたし其味胸腹
 に籠置、屹となくか申談候、例籾の手しこ見込より少く
 相見候ヘハ間ニハ氣せきいたし候御内檢も有之、籾拵箕
 取なと呵り廻し候様なる儀も可有之候、右様之時分御惣         呵り=しかり
 庄屋必氣悶き不仕徐/\と始末を付可有之候、扨又御百姓
 例し負起割を増上納被仰付候とも、其村々中墨にて例方
 に成候上は、夫たけの作出來居候ニ付、毛頭無難澁相
 納、御役人を怨不申様示諭いたし、以來不都合の下見等
 不仕、廉直にいたし候様相戒可申候、且村々毛上の中墨
 を極候儀、御惣庄屋深く心力を用ひ貫通いたし居不申候
 ヘハ、御例等之時に至、御百姓之浮沈にかゝる儀出來い
 たし候間、春以來毛上見分之節精々心を用、手永中村々
 の毛上見極置可申候
  [付箋]「下モにてせり例と唱習せるもことわりなる事
  他、損引之節ハ毎モ試例とて損引村々之内ニて、一村
  追取まわしニ三歩篗を入延畝ともニ積り加、一坪試有 
  之、其起割之内より少々了簡引候て、其村之徳懸ス

  ル、是を試例といふ、尤試例□(虫くい)内檢役之見立坪迄ニて     試例の定義         
  下よりハ見立不申候、此試例ハ損引毎ニ有之、既に寛
  政之比木倉手永損引之時、西木倉村ニて試例有之、其
  節之内檢正木某試例之籾計り立けるに、村方之下見籾
  よりハ引入候ニ付、立會之御吟味役幷上内檢甚氣色あ
  しく、折角正木公平之仕法いたせしか共不首尾に成、
  翌年ハ木倉之内檢を除かれ邊鄙に轉奉せり、此事其節
  上益城郡代白石某傳聞して政府へ議問ありけるハ、
  試例村方之見立より引入しハ畢竟正木か公平なり、□(虫くい)
  邊鄙に被轉てハ此後之内檢公平之行仕間敷段頻に被申
  けるにそ、程なく正木ハ上内檢に昇進せり、誠に白石
  か忠言難有事なり、尋常の試例すら斯のことし況ヤ上
  下於せり例乎 

 

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