一枚の葉

私の好きな画伯・小倉遊亀さんの言葉です。

「一枚の葉が手に入れば宇宙全体が手に入る」

逝きてなお

2010-02-17 08:19:00 | 人生


    先週、立松和平さんが亡くなった。62歳の若さ。
    個人的なつきあいはないけれど、
    代表作の1つである『遠雷』を読んだとき、農民
    文学出身の私は同じ匂いを嗅ぎとった。
    また、拙著の長塚節文学賞作品『紫蘇むらさきの』
    のときの選考委員でもあられ、少なからぬ縁を
    感じている。

    その後、新刊が出るたびにお送りしているのだが、
    立松さんは年中旅をしていて、かわりに奥様が
    「立松は旅から帰ったら読むと思いますよ」という
    やさしいお手紙を下さるのだった。

    そう、立松さんは行動派の作家だった。その点、
    ひきこもりの私は真似しようにもできない。
    知床に山小屋を建てて通いつめ、鉱山開発で荒
    廃した足尾の山に木をうえ、『毒ー風聞・田中
    正造』をものした。
    だが、まだTVに出る前に書かれた初期の作品も
    捨てがたい。
    坪田譲治文学賞をとられた『卵洗い』は地味だが、
    私の最も好きな作品の1つである。

    亡くなったが、まだアフリカかどこかを旅してい  
    て、あるときひょっとTVに出たり、ラジオで
    声を聞くような気がする。
    そういえば、訃報から2~3日後の新聞の川柳欄
    にこんなのがあった。
      逝きてなお立松節は耳の奥

    写真は新・根津美術館のエントランスホールに
    ある仏像。
    立松さんとは関係ないが、どこか風貌が朴訥な
    作家に似ているような気がして掲載した。
     
  

    

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