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石垣島で4つの田んぼでひこばえが実っている。

2024-10-09 04:04:36 | 稲作

 今年石垣島の田んぼではひこばえが穂を付けているところがある。優劣はあるが、4箇所で実っている。品種はミルキークイーンだそうだ。ひとめぼれはだめなようだ。理由は例年どこの田んぼも稲刈りが終わると、一段落した頃、秋起こしをと言うか、夏起こしをして耕してしまう。そのためにひこばえは出ることがない。

 それは昔はどこも行っていた2期作の準備でもあるのだが、今は2期作はしないので、田んぼは耕されてまた春を待つことになる。多分そういうやり方が踏襲されきたのである。しかし、たまたま今年耕さなかったところがあった。遅れて耕そうかと思ったところ、見事に実っているので、稲刈りをして見ようかと成ったらしい。

 稲刈りの後の気候がひこばえを育てるのにうってつけだったようだ。そのために、ひこばえがそのまま成長して、普通の田んぼのような状態になったのだ。ただし、ひこばえが栽培したと言えるまでに、十分実るための条件は実は他にも想像される。



 条件が揃えば、どんな品種でもそれなりにひこばえは出るとも言える。ただ同じ条件の中で、ひとめぼれの田んぼはひこばえが出なかったと言われていた。ミルキーサマーがひこばえが出やすいと言うことがあるのかどうか、これはまだ分らない。

 ひこばえが良く育った田んぼでは、穂肥を入れすぎたために、田んぼが倒れたそうだ。一期作の田んぼは十分出来て、倒伏したらしい。石垣島ではそういうことは余り見たことがなかった。その結果田んぼには肥料が残ったと言うことになった可能性が高い。

 同時に、倒れた稲を刈るときに、根元まで刈り取れないで、高刈り状態になった気がすると言われていた。肥料が残っていたと言うことと、高刈りになったと言うことで、ひこばえが良く育ったのではないかと言われていた。まだ他にも要素があるはずなので考えてみたい。


 田んぼはひこばえを育てるなど考えても居なかったので、稲刈りのあとは当然水も入れないし、何もしなかったと言うことだ。稲刈り前田んぼの水を3週間前には水を切ったと思われる。それ以降水が来ない田んぼだから、乾燥環境でひこばえは発芽したはずだ。

 稲刈り前の田んぼに肥料が残ったこと。稲刈り前後の乾田化が長かったこと。その後十分な水が続いた。この3要素が揃い、ひこばえは勢いを付け成長し、背丈も通常まで育った。分ゲツも普通に採れた。穂も割合大きく、十分に実ったのではないだろうか。

 例年よりも夏暑かったわけだが、これは良かったのか、影響したのかは分らない。台風が来なかったと言うことは間違いなく良かった。いちど40m位の風は吹いたのだが、不稔には影響しない時期だったと思われる。ひこばえが育つ時期だった可能性が高い。

 最初乾燥して、その後雨が多い天候のため、いわば畑苗代で稲の苗を育てたような状態になった。田んぼの土壌が一度乾田化されることがひこばえには必要なようだ。想像されるのは、刈られた稲の根がひこばえと同様に水を求めて再生したのではないか。しかし乾燥がそのまま続けば、稲は枯れて行く。


 所が、7月以降石垣は雨続きになった。この雨が天水田を作ったのではないか。田んぼは特に水を入れなかった。成長が良いことに気付いてから水を入れたかも知れないが、水は入れないでも構わないくらい水は十分にあった。10月半ばで、稲刈りが出来るところまで来ている。

 問題はひこばえの田んぼが散らばっていて、鳥が寄ってきていることだ。田んぼの周囲から鳥に食べられている。やはり、もしひこばえをこういう形でやるとすれば、周囲の人と協力して、同時に進めなければ無理なのではないだろうか。

 少なくとも3ヘクタールぐらいは同時に実る田んぼがあれば、鳥の害も減るだろう。一箇所だけであれば、鳥の害が集中してしまうだろう。それは今の2期作も同じことで、やる田んぼが減っているために、被害が広がる傾向にある。地域の協力がなければ、営農としての稲作は難しいことになる。


 何か鳥を追い払う方法があれば良いのだが、これがなかなか難しい。小田原の鳥の数とはまるで違う。鴨、キジ、孔雀、シロハラクイナ、山鳩、半端な数でない鳥が寄ってくる。これを防ぐ方法を考えなければ、ひこばえ農法も成立しないのだろう。

 ただ今年の4箇所の田んぼを見るところでは、ひこばえの生育は十分出来ると言うことは証明されたのだろう。品種はミルキークイーンと言うことだった。と言うことは栽培法さえ発見できれば、普通に栽培できると言うことになる。これがもしひこばえ向き品種であれば、さらに良いかも知れない。

 ただし、一期作でも大して出来ているわけでは無い。6俵ぐらいが平均だと思う。だから、ひこばえでの収量もその程度が目標になるのだろう。原因は「ひとめぼれ」も「ミルキーサマー」も13枚しか葉が出ない。これでは満作にはどうしても成らない。

 特に肥料を必要とするこうした最新の奨励品種を、有機栽培で作るのはさらに困難なところがある。ジルカスで作出された「カーチバイ」という品種は熱帯向き品種のようだ。これを作ってみたいのだが、どうすれば種籾が手に入るのだろうか。

 
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