上田の豊殿地区のデマンド号の現地学習は、大変有意義でした。
発想の転換も迫られました。
豊殿町づくり協議会の会長の中村直美さん、デマンド交通委員会委員長の吉池正敏さんが対応してくださいました。
豊殿自治協議会の管轄する規模は、若槻自治協議会(上野、田中、田子、吉、若槻団地、浅川、稲田、徳間)の一つである上野区と同じでした。
規模も重要な要素ではありますが、私が最も重要に思ったのは、豊殿地区に自治の精神が息づいていることでした。
地元関係者の医師がかかわって老人ホーム、診療所が出来たこと、そこを出発点に、自治協議会として毎年安心セミナーを開き、ボランティアの大切さを住民が学んできたと言います。
役員になった人はセミナーを受けることが義務づけられており、町つくり委員会のメンバーもみんなセミナーを受けた人だと言います。
ほとんどボランティアのデマンド号の運転手も、2人から7人に増えたことにも表れています。
長野では巡回バスのぐるりん号は市で運行していますが、豊殿ではデマンド号のドアツードアの運行で廃止となった巡回バスは、自治協議会で運行していました。
① 荷物をもって歩くのは100メート以内
② 将来の心配をなくす(若い人もいずれは利用する)
この移動サービスは「安全町づくりの一環」として位置付けていました。
このサービスによって、住民同士の交流が実にうまくかみ合い心かようサービスとなっていました。
どうても必要になった子どもの通学にも利用されているとのこと、住民の顔が見え、信頼し合えるからこそ。子どもを任せられる、と思いました。
民生児童委員とも連絡を取りつつしていると言います。
私がおふたりのお話を聞きながら思い浮かべたのは、井上ひさしさんの「ボローニァ紀行」です。
生協運動の発祥の地と言われているボローニァの住民の自治精神に満ちた暮らしぶりを紹介した本ですが、まさに豊殿で「自治とは何か」を学ばせていただきました。
しかし、以前、生協関係の組織での全国大会を長野で開いたときに、私が事務局長を務めたことがあります。
集った団体個人の考え方の違いに苦労した大会となりましたが、その違いは、「自治と行政」との関係だったと思います。
豊殿でも「自主運行で持続可能」を目指していました。
上野での運動の方向、「自治」と「行政」との関係をもう少し整理したいと思います。
そんなことで、「ボローニァ紀行」を新たな観点で読み直してみたいなと思いました。
橋渡しをしていただいた金井さんには、心から感謝です。