蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

スタフ

2019年09月29日 | 本の感想
スタフ staph(道尾秀介 文藝春秋)

掛川夏都は、夫と離婚して改造ワゴン車で弁当を販売している。シングルマザーの姉が海外勤務することになったのでその息子で中学生の智弥をマンションに住まわせている。夏都は同じ場所で違う曜日にワゴン車で弁当を売っている室井杏子と間違われて、アイドルのカグヤとそのファンたちの部屋に連れ込まれる。カグヤたちは、室井杏子がカグヤの姉(トップクラスの俳優)の過去の秘密を握っているはずだと言い・・・という話。スタフというのはブドウ球菌のこと。

ワゴン車での弁当販売という商売自体に興味があって本書を読んでみたのだけれど、その内情が紹介されているのは最初の1章だけで、あとはカグヤとそのファンや智弥たちとのドタバタ劇が描かれていた。

最終章で真相が明かされて、ある程度は納得できたものの、2章以降のドタバタは著者らしいスマートさが感じられないもたつき感があった。
弁当販売の話、芸能界の話、不動産屋の話などが展開されるのだけど、(最終章で明かされる)本書のテーマとはあんまり繋がりが感じられなくて、残念だった。

夏都と智弥のキャラクターは、二人の弱みの部分も含めてうまく語られていて気に入っただけに筋立てにもう一工夫欲しかったところ。



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