蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

美女と竹林

2008年09月27日 | 本の感想
美女と竹林(森見登美彦 光文社)

森見登美彦さんって、今人気ありますね。私もこれまで本書を除いて3冊読みました。

でも、正直言って、その、あまり面白いと思ったことがなかったのです。
京都の貧乏学生の妄想という設定自体は私の好みのカテゴリだと思いますし、文章はよく練られているように思われ、レトリックが様々にちりばめられています。ただ、先をどんどん読みたいと思わせるほどのものはありませんでした。(それでも、私としては珍しく新刊のハードカバーを買ってしまったのは、主にタイトルと装丁のせいでしょう)

本書は、竹林の整備にあこがれる著者が、知り合いの所有する荒れ放題の竹林の手入れを手がける、といった筋のエッセイか小説かよくわからない本。
手入れといっても半年に一回くらい思いついた時に友だちや編集者と竹を刈りに行くくらいであまり身がはいっていません。

著者は、自らの才能の無さへの嘆きやしょぼくれたように見える日常を描いているのですが、実は京大を出てて、サラリーマンの傍ら書いた本はベストセラーになり、NHKのトップランナーに出演して、憧れの女優と共演(?)する・・・という煌びやかな日々を送っているのです。
明石さんという著者の友人も、本書の中では相当な変人として描かれていますが、やっぱり京大を出てて、就職した銀行に飽きるとそこをやめて司法試験を受けるとすぐ合格。

もしかして著者の作品にイマイチ共感できないのは、「自伝っぽい見せかけのしょぼくれた学生の妄想みたいなこと書いてるけど、実はエリートなんじゃん」みたいなひがみのせい?

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