蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

時間封鎖

2012年06月27日 | 本の感想
時間封鎖(ロバート・チャールズ・ウイルスン 創元SF文庫)

ずいぶん前に評判になった作品で、買った後少しだけ読んで放っておいたのだけれど、約3年ぶりに続きを読んだ。

ある日突然、地球はスピンと呼ばれることになるシールドに包み込まれてしまう。星空は見られなくなるが、太陽の光や熱は届くようになっている。さらに時間の進行がシールド外に比べて一億分の一と極端に遅くなっていることがわかる。
この“時差”によって人間の一生が終わる前に太陽が膨張して地球を飲み込んでしまうことが予想された。人類は生存をかけて火星の地球化(火星はシールドの外なので(相対的に時間の進行が早く)環境を変えて生命のタネを打ち込んで進化させる)を試み成功する。
やがて、“火星人”が地球を訪れ・・・という話。

設定はハードSFっぽいが、スピンの仕組みとかの謎解きはほとんどなく(宇宙にいる謎の生命体が地球を救おうとして作ったもの・・・という程度)、近い将来の地球消滅をつきつけられた人々の姿を描くことが中心。特に主人公と幼なじみの兄妹およびその父母との関係性が濃密に描かれる。

翻訳がいいせいか、かなり長めで少々粘着質のある描写が続く小説にしては“胃もたれ感”みたいなのがあまりなく、すらすら読めてカタルシスを得られる。
うーん、さすが世間の評判の高い作品だなあ・・・というつまらない結論になった。


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