蛙と蝸牛

本の感想。ときどき競艇の話。

「超」集中法

2016年01月01日 | 本の感想
「超」集中法(野口悠紀雄 講談社現代新書)

ものごとの重要な部分は全体の2割くらいで、この部分に集中して処置すれば成果の8割を成し遂げることができる。どこが重要な部分であるかを見極め、そこから先に着手して資源を集中すれば効率性を上げられる・・・というのが主旨で、それ自体はどうということはないのですが、誰もが「そんなこと知ってるよ」と言いそうなことを正面から取り上げてその原理や活用法を説くのが、野口さん流なのだと思います。

例えば「仮想通貨革命」における公開鍵暗号の原理や活用法の説明などがその一例なのですが、本書においては、「ビジネスにおいて選択と集中がなぜ重要なのか?」という点についての説明が役立ちました。私は(自明のことだと勘違いしていて)この問いの答えを考えようとしたこともなかったのですが、自動車部品を例とした説明は非常にわかりやすく、改めてこの原理?の重要性を認識した次第です。

野口さんの著書は「超」シリーズを中心にかなりの数を読んでいますが、本書のような“ですます”調は珍しい(というか初めて読んだような気がします)です。編集者のアドバイスなのか、心境の変化なのか原因は不明ですが、少々違和感がありました。本書でも断言口調の歯切れの良さは相変わらずなのですが、ですます調だとそのキレが多少鈍るような気がしてしまいました。

また、余談的な内容をコラム形式で挿入するのも著者の作品の特徴で、実は私はこちらの方をむしろ楽しみにしているのですが、本書ではコラムはなく、本文中の余談?で面白かったのはクトゥーゾフの話くらいで、この点ではちょっと残念でした。


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