おにゆりの苑

俳句と俳画とエッセー

雲雀 五月の空の王者

2007-05-30 16:15:01 | Weblog

 

 朝、せわしない雲雀の囀りで目覚める。

ピイチクピイチクピイチクチー絶え間のない鳴き声である。


 揚げ雲雀風に舞いとか、ぴいちくぱあちく雲雀の子とか、古今東西うたに読まれるだけあって、五月の空の王者だ。
 雨戸を繰りながらふと下の草むらをみると、雲雀の巣があるらしく舞い降りたり歩いたりしているが、彼らは実に用心深く巣から、直接飛び立ったりはしない。

 「羽風かろらにのぼるやひばり 霞押し分け 青雲しのぎ、声もさやかにうたうやひばり」林古渓の詩で、平井康三郎のメロデーが好き。コーラスした少女の日からこの季節になると口ずさまない年はない。

 ひばりと言えば、歌手の美空ひばりは、五月生まれの六月没ではなかったか。昭和26年、東京キッドの映画を観に行って、幼い彼女がタキシード姿で唄いまくる旨さに吃驚したものであった。巷間ではひばりの歌があふれていて、その名の通りまさにひばりであった。

 最近ツートン青木、青木隆次、という親子が物真似で、美空ひばりをそっくりさんにやっている。


 雲雀の鳴き声に混じって
燕のちいちいひしゃいだ声も風に乗ってくる。夏も近い。

 俳句 * 汐満ちて沖のとき色夕薄暑

    * しぶきあび滝仰ぎ見る岩場まで  

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俳句あれこれ 入門編

2007-05-26 11:17:11 | Weblog

 

 俳句を始めて8年が経った。

 4年で、句集を自費出版した頃、あちこちのグループで、教えて、教えてと言われ、ほんのさわりだけ講義したことがある。今はスランプなのだが、そうも言っておられない事情もあって、その時の極々一般的な、おこがましい、しゃべりを、公開する。

 生来脳天気で不器用な私は、基本的な方程式ならぬ取り決め事項から入れば・・・と言う事に気付くまでに、二年程かかった。

 水谷式入門編 実践として先ず 

(一)型は三通り
 A  五 七五   B 五七 五   C 五七五 
 
* たんぽぽや白きラシャ靴歩み初む   A  
 * 切り株に遣ふ昼餉や百千鳥      B  
 
* ふるさとは桃源郷よ麦青む      C  
 * とろとろとこのままゆくやはるねむし C 
 これらは春の私の句である。
(二)切れ字を使う事 

 や。かな。は代表的な切れ字である。と言っても、て・に・を・は・すべて軽い切れ字で、意味的に一句一章のものが C となる。
(三)季語を必ず一つだけ入れる。

 歳時記に季語が四千ほど網羅されているから強い味方。季重ねといって二つ以上入れてはいけない。
(四)原則的に花鳥諷詠である。 

(五)文字は旧仮名である。

 先ずは入門編としては今回は此処までとする。

 ここからは私の逡巡偏である。

 * たんぽぽを繋ぐ長さの母待つ子

 が、鍵っ子にした責めで良いと思ったが、蓮華は繋ぐけどたんぽぽは繋がないと人が言う。娘が来た時に聞いたら
「つないだよ、あの辺りのは長く伸びてたもん」
在来種と渡来種の違いであろうか。   
 * 切り株に遣ふ昼餉や百千鳥
 Nさんとおにぎりを、持って山菜採りに山へ入ったら雉も鶯も鳴いていたから。ところが同期の男性が 
 * 太閤も弁当ひろげ百千鳥 

と詠んだ。ギブアップうまいなあ。
 *ふるさとは桃源郷よ麦青む  

口をついて出るときは、季語が自然にともなふ。

* とろとろとこのままゆくやはるねむし 
 布団の中でこのまま死にたいと私は思うのです。逝きたしにすると中八になるのでや、にしたが疑問符か感嘆符になってしまって人は逝きたいとは解釈してはくれまい。前の句のよ、とこのや、で悩むが私的には一句一章で Cである。
 参考にして作句してみてください。とやった。

今は夥しい類句の向こうの新発見の言い回しに苦慮している。

 俳句 * 噴水に濡れつつ裸婦像天仰ぐ

    * 幾千の輸出の車黄沙浴ぶ 

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長久手 拳銃たてこもり事件

2007-05-21 11:52:58 | Weblog

 

 こんな近くでこのような事件が起きるとは。玄関先に買い物袋を置いて人だかりがしている辻へ行った。
 黄色のテープを張って居る警官が「帰ってください撃たれますよ」と言うので、家でテレビをつけると四時過ぎ
ぎにはもう、撃たれた警官が倒れたままの放映をしていた。

 事は、大林家の痴話喧嘩なのだが、拳銃が使われたので大事件になっている。元の奥さんを人質にして近寄ると撃つと喚いているのである。
 300メートル以内なので立ち入り禁止区域になった。

 我が家の電話が頻繁に鳴るのは、状況を聞く新聞各社や各テレビ局の一様の質問で、東京の共同通信迄かかってきた。

「私も貴方と同じ条件なんですよ。外へ出られないんだから」「銃声聞こえましたか」「銃声聞こえましたか」普段でも隣の重機レンタル会社の物音が大きくて住民訴訟を起こしたいのを我慢してるのに、聞こえる筈はない。知人からの陣中見舞いも何十件かあり、役所の長寿支援課からも、何かあったらと二度もかかってきた。

 半月やそこいら篭城したって平気。え、私って犯人なの、何で誘導尋問に答えるみたいになっちゃうの、夜中にかかってきた時には、今寝てるのと、とうとう切れた。

 翌朝二十三歳のエリート警官が死んだことを知り私の責任のような気がして、へなへなと萎えた。胸が痛い。

 スクープで他社に負けまいと、マニュアルどうり聴いてくるけどそれでも良い。

「貴方たち報道がお仕事なのは解るけど、誰も彼も同じこと言ってないで、協力してお寺に行って釣鐘借りてきたら、コマつけてさあ。トーチカって知ってる?なら装甲車はタンクは?。自衛隊で借りられなきゃ釣鐘が一番。県警に提案して撃たれた警官、大義名分みたいに放っとかないで助けてよ。一を聞いたら十を知るような貴方達なのに、発想の転換しなさいよ」と言うべきだった。

 今、藤原正彦の「国家の品格」マスコミが世の中を悪くするというくだりを納得しながら読んでるとこだったのに。

 マスコミが立法、行政、司法の三権までも傘下に入れると、怒るのならば、逆手にとって物申すべきであった。あたら歳をとってるわけでもないのに。妻子ある若者を死なせてしまった。

 七機もヘリを飛ばしていたのに三分もあれば着く愛知医大は、受け入れ態勢がなかったのか、これは単なる捕り物だったのかと、車道を埋め尽くして並んで写っている報道陣の写真をながめている。

  俳句 * 物書きの虚実の間酔芙蓉

     * 上司よく寮歌唄ひぬ芙蓉花

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木偏ののれん

2007-05-15 12:54:48 | Weblog

  Sさんの声かけで、中津川の湯舟沢温泉に五人でやってきた。

 その内のひとりのMさんとは、中津川の駅で落ち合った。こちらに別荘があって地理にくわしいとかで、チェックイン迄の三時間を馬籠で過ごすことになり、通りを散策したりカフェでお喋りをしたりした。

 水車をバックに写真を撮ったところで、「ちょっと待ってて、やっぱり、あの暖簾買ってくるわ」あたふたと、土産物屋に引き返した私は、紺地に白で、木の名を染め抜いた暖簾を求めた。家に魚偏の字が並んだ大きな湯のみが、あってお鮨のときには、それにお茶を淹れるが、木偏のものは何も無いので買う気になった。

  湯舟沢温泉は、ふる里創生資金を投じてお湯が出たところで、アクアリゾートと花更紗とが併設である。水着をつけてプールに入りインストラクターの若い女性に一時間半の、きついレッスンを受ける。

 翌日は羊の牧場迄、足をのばし毛刈りをみたり、心地良い五月の風に吹かれて山菜を採ったりした。

帰宅して、宿題、宿題とキッチンに馬籠で買った暖簾をかけて判らない字をしらべた。

 欅(けやき)栃(とち)栓(せん)桂(かつら)榧(かや)樫(かし)栂(とが)樅(もみ)柘(つげ)杼(どんぐり)槙(まき)檜(ひのき)椹(  )槐(えんじゅ)楓(かえで)楢(なら)朴(ほお)檪(くぬぎ)柏(かしわ)杜(やまなし)いちいがし、もち、は字が出ない。

そんな訳でふっきれなさは残るけど、三字づつ並んだ紺と白の暖簾は風情がいい。

  俳句 * 瀟洒なる家のちらほら里若葉

      * 墓開きしたる安堵や青田風

 

      

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母の日

2007-05-10 15:25:56 | Weblog

 

 五月九日、母の日には早いけど、それぞれの都合があって、母や義妹の慰労会に行くことになった。

 今はあちこちに高速があるので妹の車に、同乗して行けば一時間もあれば実家についてしまう

 朝風呂に入れて貰って、髪も、銀髪を上品にカットされていた。姉妹三人との五人でファミレスで、食事をして楽しくすごした。足を撫でてやっている私は、どこかの小母さんらしかった。

 帰りは交通機関で二時間半もかかって帰宅し、出しはしなかった昔の手紙をとりだして懐かしく読んでいる。

 お母さん今日は、母の日ですが、ご気嫌伺いに参れません。妹達の誰かからカーネーションなど届きまして?先月主人と一泊した折にいただいた春と秋の盛皿「そんなの犬山焼きでしょ。欲しきゃ上げるに持っていきなさい」そういうものが好きな主人は、喜んで帰りに市の倉の陶芸喫茶に立ち寄って観てもらったら、やっぱり明治初期の乾山写しだったのに自分だけ喜んで「お母さんよくくれたなあ、俺五万円くらいあげるわ」って言ってます。空手形なので、当てにせずに待っていてください。皐月の花のころは毎年遊びにこられていたのに喜寿をすぎてからは余りお出でになりませんねー。月末に旅行だそうですが、十分に体力を養ってお出かけください。先ずは一筆申し上げました。

 今年母は九十二歳である。母のいるうち私の気持ちは子供である。

 俳句

   * 母の日や女三代そろいぶみ

   * 母老いて白菜玉にならぬ畠

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護憲の意志

2007-05-07 11:59:23 | Weblog

 

 5月3日は、憲法記念日であった。60年前、いきなりの敗戦に、こどもは子供なりにどれだけ生きる気力を無くしていたことか。

 周りの大人や教師のように、器用に自分の舵取りを180度転換できなくて、おたおたしていたのが、新憲法施行で、主権在民、基本的人権、戦争放棄とうたわれた条文に沿ってやっと歩み出せたのです。

 新聞やラジオが、新憲法、新憲法とたたえてどれだけの人が、希望を見出して、日本を復興させてきましたことやら。

 今改憲のきざしが笑えないパーセンテージではびこりだして、補修されるのが目に見えるようになってきました。

 もっともらしい付帯事項やわけなど判らなくて良いんです。在野の国民が、戦争放棄の9条を楯に改憲はいやだ。罷りならぬと、言い張れば良いのです。

 改憲と同時に国家権力は、為政者の都合の良い方向に流れます。

 私達は、別に自衛隊で結構なのです。今此処で食い止めねば又戦争への道をたどることになります。

 9条は守らなくてはなりません。

 俳句

  * 緑陰や大道芸の火をふふみ

  * 山国の子ら嬉々として汐干狩

 

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鯉幟

2007-05-03 07:20:56 | Weblog

 

 昭和十九年二月、五人目に待望の男児授かった父は、大喜びで餅を搗いて町内中に配った。

 母は出征兵士の留守家族の多い近所に、気を遣って居る様子で、宮参りには、羽二重の産着を私の首から、吊るして抱かせ一人で行かせた。

 国策で、生めよ増やせよと言っても、若い一家の主は、ほとんど出征していたし、食料は疲弊していた。

 節句には、父は藪で青竹のとびきり太のを伐らせ蔵の裏の越美南線沿いの、空に何匹もの鯉をおよがせた。あゆの風に終日矢車が、からからと音を立てていた。

 終戦後、父は銀行に勤めだし、四月になると、夕方鯉幟を下ろすのは、主にの役目で大きな布染めの、鯉が重くてうらめしく、まるでそれまでの、国掲揚の滑車の綱を手繰るようで、どさりと置いたりした。

 幼稚園の面接で、「おなまえは?」とかれ「ぼっちゃん」と答えた弟は、農地解を、実質的には知らぬのが、幸いで十三代目を曲がりなりにも継いでいてくれる。

 おぐしはなくて、ぴいかりこである。

俳句

*空を呑み河一列に鯉幟

*武具飾る槍は鴨居に収まりて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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