私の所属している無限図と言う俳句教室の六月の兼題は「花菖蒲」である。
先日、文友のグループで東山植物園を歩いた時、もしやと秘かに期待していたが菖蒲には出会わなかった。
也有苑の近くの池には蓮が咲いていて緋鯉が泳いで居た。タワーから望む景色は勢いの良い万緑の波が南東に拡がっていた。
そのうち何処かへ花勝負を観に行こうと思っている内に、一ヶ月はあっと言う間に経ってしまい句会まで、一週間程になってしまった。
今までには子供が小さくて駅から其処までたどり着くのが難儀な頃、鶴舞公園へ見に行った事がある。
その遠い茫漠とした思い出とは違って、母が遊びに来た時三姉妹と共に四人で妹の運転で知立の無量寺へ杜若を観に行った事がある。
白い大きな花が園いっぱいに咲く様は圧巻で、そぞろ歩いて写真も撮った。満面の笑みの写真はそこそこ若い親子であるが、人物ばかりで杜若が入っていない。
このあたりに菖蒲池と言う地名があるが、今は菖蒲は無い。
あやめは実家の花畑に毎年引き継いで咲いていたので当たり前に見ていたが、花菖蒲となると余り覚えがない。
強いて記憶の扉をこじあけても此処日進にも、以前は沼か小川のよどみのようなところに、咲いていたように思うがその頃一万人に満たなかった人口の町がいまや八万人にもなり、かっての里山や丘がなくなり、市になってしまったので市の観光課に聞いたが心当たりがないそうである。
岐阜の百年公園が今見頃との事、少し遠いけれどここなら一人で行けそうだから、しげしげとつぶさに見てこようか。
〇 花菖蒲家紋なりしが嫁ぎけり
娘に当家の「違い鷹の羽」で喪服を作る時私も仕立て直したがそれまでは「菖蒲紋」であった。実家では三和土の上に菖蒲紋の付いた黒い箱が並んでいるので訪ねると提灯の箱とのことであった。
裃をつけて、灯の入った提灯をかかげて歩いた先祖が居たのであろう。、花嫁は実家の紋を入れた衣装を携えたものである。装束は時代につれて変遷するが、池に咲く菖蒲は永久にそのままの可憐さなのであろう。早く見に行って一句を携えて句会に望まなければ。
俳句 タワーより万緑の波眺めけり