野球のオフの日ナゴヤドームは、５日間フラワードームに変身して、愛知花フェスタの、国際蘭展があった。妹の誘いに乗って出かけたのも、連日の寒さが払拭されて、めっきり温かくなったからである。
地下鉄ナゴヤドーム駅からは、随分歩く。第１ゲート近くになると、入場券を売るダフ屋が声を張り上げていて300円安い1,500円で買った。待つこと30分やがて現れた妹と、昼食に鰻巻きを買ってドームにはいる。野球の観覧席で、皆さんのように頂く。
視界はゲームならぬ、何万株もの蘭が、色彩の綾をなし、芳香が馥郁とただよっている。この二人は、折角一緒に来ているのに、本番になると、いつもそれぞれ勝手に歩いてしまって、綺麗ねーちょっと、ちょっと、これ可愛いね。などと会話をすること無く気ままに、写真を撮ってひと回りした所で携帯を掛け合って落ち合う。どうも私がマイペースなのらしい。
今迄にこうした盛大な花展は、長島のなばなの里と、矢場町の蘭の館と、沖縄の植物園やら浜松花博、可児の薔薇フェスタなどあちこち訪れている。美術館も良いけれど、やっぱり私は、活きた花が優しいから好き。ドームの外の世界もいまや沈丁花、椿、連翹、花みずき、すずらん、木蓮とつぎつぎ咲きつぎ、春本番の桜も、もう明日か、明後日に咲き始める。思い浮かべるだけで、息が詰まりそうに気分が高揚してくる。
俳句 ＊ 羽ばたくと校門出る卒業生
＊ 木の芽和えそのつど新芽摘みに行く
働くには御飯とお味噌汁が絶対という潜在意識があったので、活動期は和食であった。手前味噌汁も、そこそこの味で、焼き海苔は、家族銘々が缶から出していたし、目玉焼きはフライパンで一度に幾つも焼いていた。たくあんは、はっきり断るまで大きな樽で実家から送ってきていた。子供のお弁当を作る四年間は結構時間的に大変であったが、当今のように冷凍ものを使うことはなく、りんごを兎の耳の形にして添えたりした。
仕事をやめて、夫婦二人で家に居るようになると、一日中食事ばかり作っているような気になるので、朝は、パン食にして、喫茶店でモーニングをとる事にしていた。一日一度外へ出られるし、帰りにスーパーの開店時間に合わせて買い物をしてくると一挙両得な気がしたものである。その様な夫婦もあって、顔なじみができたりしたのも懐かしい。
夫が亡くなったあとは話し相手の居ない喫茶店での朝食は、さびしいので、今はもっぱら、自分で自分の食事をつくることに、専念している。、まず一番に、圧力釜で卵一個を三分間ゆでる。10枚切りのパンの一枚を取り出して、オニオンスライス、干し小エビ、ウインナ、ぴーまん、トマト、きのこなど飾ってケチャップをかけ回し、とろけるチーズをのせてトースターで焼く。
朝のフルーツは金と、いわれるので今の時季、りんごを四分の一剥く。宅配のヨーグルトをトレーにのせ、飲みにくい牛乳はミルクカップにチンしてインスタント珈琲の粉を三匙いれる。所要時間は十二、三分。ピザ風が、嫌な日は、りんごの皮で作ったジャムをつけてみたり、ホットケーキをやいたりして、テレビニュースをみながら、いただく。
そんな私の日常の朝食を、ダイエットを心掛けている娘は、齢に似合わず沢山頂くのね、メタボリック症候群にならないでよと注意してくれる。しかし健康のバロメーターである爪の色は彼女のそれより、私の方が良い色をしている。
2008年3月1日
俳句 ＊ 薮蔭にほっと灯ともす菜花かな
＊ 猫柳優美にゆれて宙を掻く
＊ 一列に伊良湖岬を鳥帰る
