娘の車で娘と二人豊田市美術館で開催中の「フェルメール(地理学者)とオランダ・フランドル絵画展を観に行った。
大層暑い日だったが良く混んで居た。
フエルメールの絵は一点だけで期待を裏切られたが、その分十七世紀のオランダ美術の黄金期に花開いた、ルーベンス・レンブラント・ハルスなどの質の高い作品を揃えた見ごたえのある絵画展であった。
音声ガイドを耳に当て、大小様々の絵を見て廻った。中でもレンブラントが描いた「ビルダーべークの肖像」の、襟巻きの編み物の模様の緻密さと美しさには感動した。
ルーベンスの絵の「竪琴を弾くダビデ王」の横向きの肩にも気品があるし、ブラウエルの作品「苦い飲み物」は、こちらまで顔をゆがめてしまうリアルさである。
ブリューゲルの「ガラスに活けた花」も、ゴッホのひまわりの構図とは違って、花の品種がバラェテーで明るい採光に輝いている。
へームの「庭の欄干の前の野菜と果物のある静物」と言う絵の中に、水差しが転がっているのは十七世紀の市民の豊かさの象徴であるとか・・・けれど私的には、カトリックとプロテスタントのせめぎあいの時代背景が潜んでいるように思える。
フェルメールの「地理学者」と言う絵画は回廊の最後に展示されていた。窓からの採光と言い衣服の東洋風なところと言い、総体的なブルーの色ずかいも、それらに反映する光の柔らかさも、さすがこの絵画展を代表する名称がつけてあるだけのことはある。
その「地理学者」の絵には地球儀や世界地図やコンパスが描かれていて、別に地球儀が飾られていた。
オランダは世界中に進出して船で海を渡る航海によって国が栄えていた。日本でもこの時代私が最近読んだ「天地明察」によると、後に日本独自の暦を作った囲碁棋士で天文学者の安井算哲が、地道な活躍をしていた時と重なるのではないか。
黎明は期せずして世界共に起こるのらしい。
それと絵画を見るたびにこの先、写真技術と絵がどう共存して両立して行くのか、余りにも緻密な描写の絵を前にして、そんなことを考える十七世紀の西洋の絵画展であった。
見終わって美術館の二階のレストランで山の多い豊田市を眺めながら遅い昼食をとった。
俳句 忘れゐし抽斗開き土用干
エルチョクロ聴きつグラスの冷酒飲む