Sさんの声かけで、中津川の湯舟沢温泉に五人でやってきた。
その内のひとりのMさんとは、中津川の駅で落ち合った。こちらに別荘があって地理にくわしいとかで、チェックイン迄の三時間を馬籠で過ごすことになり、通りを散策したりカフェでお喋りをしたりした。
水車をバックに写真を撮ったところで、「ちょっと待ってて、やっぱり、あの暖簾買ってくるわ」あたふたと、土産物屋に引き返した私は、紺地に白で、木の名を染め抜いた暖簾を求めた。家に魚偏の字が並んだ大きな湯のみが、あってお鮨のときには、それにお茶を淹れるが、木偏のものは何も無いので買う気になった。
湯舟沢温泉は、ふる里創生資金を投じてお湯が出たところで、アクアリゾートと花更紗とが併設である。水着をつけてプールに入りインストラクターの若い女性に一時間半の、きついレッスンを受ける。
翌日は羊の牧場迄、足をのばし毛刈りをみたり、心地良い五月の風に吹かれて山菜を採ったりした。
帰宅して、宿題、宿題とキッチンに馬籠で買った暖簾をかけて判らない字をしらべた。
欅(けやき)栃(とち)栓(せん)桂(かつら)榧(かや)樫(かし)栂(とが)樅(もみ)柘(つげ)杼(どんぐり)槙(まき)檜(ひのき)椹( )槐(えんじゅ)楓(かえで)楢(なら)朴(ほお)檪(くぬぎ)柏(かしわ)杜(やまなし)いちいがし、もち、は字が出ない。
そんな訳でふっきれなさは残るけど、三字づつ並んだ紺と白の暖簾は風情がいい。
俳句 * 瀟洒なる家のちらほら里若葉
* 墓開きしたる安堵や青田風