おにゆりの苑

俳句と俳画とエッセー

2022-02-15 11:14:38 | Weblog
   
新聞を取りに行こうと玄関を開けると「おお!雪が積もってゐる」この地方では、一冬に
一回あるか無いかなので嬉しくなって来た。
 雪と言えば4,5歳の頃飼っていたポチが死んだので父について川の雪に埋めに行った。可哀そうで泣けてきた。
  終戦になってからのことである。仲の良かった友達が、自分の家にも遊びに来てと言うので、駅までの4キロ程を歩いて電車に乗り(この電車は野口五郎の歌に出てくる)陽をあびて輝く真白な雪の中をたどり着くと「父がこんな疎開先の倉庫のような処には上がってもらうわけにはいかないと言うのですよ」とのことなので、二人で「雪ふりいたり 白雪 雪降りいたり」とコーラスの一部を歌って今来た道を駅まで送ってもらって帰った。
 私が岐阜県から名古屋に嫁いでから店の用事で栄の東海銀行へ行くと彼女が勤めていた。疎開先から引き上げる時、CAへ転校し銀行に就職できたことを父が大変喜んでいると言った。後日会う約束をしたのに、果たせぬまま亡くなってしまった。彼女は結婚前であった。
 次の雪の思い出は社会人になってからスキー場で、そろばん塾の先生に会ったら(卒業高校の先生になっておられた)仲人さんを立てて求婚してこられたが今では亡くなっている。職場の友達が雪深い長野県の人が多かったせいか再三スキーに誘われて、それぞれの人と行ったものである。
 中でも経理のТさん電話交換手(女性)のSさんと三人で行った時、先輩で高校野球のキャッチャーをしていた人と帰りの電車で、いつしょになったら
そちらの席へ行き詰めて経理のТさんには、悪かった。大学生で帰省していていた彼とは岐阜までダンスに2,3回行った。学区制になる前の高校で生徒会長をしていた
従兄弟が名古屋で同窓会をするといつしょだった、彼が来るよというので、「今は?」と聞くと「九十歳でもう駄目、もう来れない」との返事であった。
 雪にまつわる友達もそれぞれが亡くなってゐる。
 庭の、はだれ雪も十時にはもう融けてしまった。
         
俳句   数え日や菜っ葉土産に庭師くる






 








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする