おにゆりの苑

俳句と俳画とエッセー

ま だ 雪 だ っ た

2010-04-30 15:46:15 | Weblog

 毎年恒例のバス旅行は今年は新潟の赤倉であった。小布施や牟礼は行ったことがあるけれど、赤倉は無いので参加した。4月28日、 プラスワン旅マートの集合場所は名駅のユニモールマリンプラザであった。
 春日井から中央道へ入って桜の花の終わった名古屋から、花桃真盛りの昼神、飯田の林檎はまだこれからであったが、走行距離600キロの高速道路の両側は、
桜さくらと見晴るかしたり見下ろしたりと歓声の連続であった。
 昼食は池の平ホテルとコマーシャルで歌っていたお決まりの峠の茶屋でフリー注文だったので、御柱蕎麦を頼むと御柱は竹輪の天婦羅であった。
 ガイドが帰りのフローラルガーデンでの栗ご飯定食のオーダーを取っていた。
 三度の休憩で松本長野新潟と走って薄暗がりに赤倉へ着いた。
若い頃赤倉はよくスキーに誘われたが、その時代はまだ娘が男友達をまじえて一泊で出かけることは考えられなかった。
 NHKの朝のテレビドラマの「げげげの女房」より4年も前だったのだから。
 源泉かけ流しの湯の花が浮かんだお湯につかり、
メンバー同士が食前酒くらいはいただいて小宴会をした。ホテル後楽荘というアンテークでそこそこの旅館であったが、スキー客ご用立てと言った処であろうか、からおけルームも喫茶室も無かった。
 だが私としては部屋がオール木の名前になっていて 以前木曽路で買って判らない字があるままの紺の暖簾がこの際解明出来たのは嬉しかった。椎(しい)楡(にれ)梓(あずさ)桐(きり)(えんじゅ)栂(つが)(もち)桜(さくら)槙(まき)枳(からたち)(せんだん)榎〈えのき)樫(かし)檀(まゆみ)梔(くちなし)柏(かしわ)椋(むく)松(まつ)柾(まさき)楓(かえで)栃(とち)楢(なら)楠(くすのき)橘(たちばな)(つげ)桂(かつら)(くぬぎ)(あすなろ)樅(もみ)檜(ひのき)柊(ひいらぎ)欅(けやき)の32部屋である。当用漢字では出ない字もけっこうある。
 朝、
帰りのバスに乗ろうと表に出ると目の前に妙高が秀麗な姿でわっと現れていて、朝早く起きて写真を撮らなかったことを後悔した。何せ夕べ見た限りでは汚れた雪積む野ずらであったので。
 それでもどうかすると家の土手に蕗の薹が出ていたりしたが、木の芽吹きはまだ無い。
     

    俳句 妙高のかがよふ里や浅き春
       猫柳小川を跳びて渉りけり

 

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  睡  眠

2010-04-22 18:26:10 | Weblog

 
 先回中日新聞の声の欄にこのブログに書いた「非婚 晩婚」を投書したら掲載された。今回はタイトル「睡眠」で募集している。これで出してみようと思うけれど睡眠薬のことを書いてては的を得ないだろうか。               

「寝るより楽はなかりけり」と言う諺があるが、それは普段働くのに忙しい若い内のことであって、高齢者は本当に多くの人が睡眠薬を服用している。  一度医者にかかると必ず処方してくれるようでこれはありがたい眠れぬ悩みの解消と喜んでとりこになる。
 私の場合しばらく使っていて、はてこのだるさは何、睡眠薬が残っているのではと改めてパソコンで検索して見ると、あるわあるわ掲載されているだけで二十五種類もある。私が飲んでいるものは二十三番目にエチゾラムそれはクロチアゼムと比べると強い睡眠効果や筋弛緩効果も期待出来るとある。
 道理で目覚めてからリポビタン等ドリンク系のものを飲むまでだるいのかと納得した。
高齢者はこれから先病気になったりすればそれ専用の薬を飲まなければならないであろうから、睡眠薬は服用しないが良い。眠れなくて布団の中でうつらうつらと桃源郷を彷徨うのも健康上と思えば気が楽ではないか。
    
    俳句 春雨をあゆむ山際萌黄色
       見はるかす湾広々と長閑なり
                   

コメント (3)
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吉 野 の 千 本 桜

2010-04-14 06:39:58 | Weblog

 今年の花見の極め付きは、世界遺産になった「国立公園吉野の桜、みてあるき日帰り旅行」に参加したことである。
 バスに乗りこむと隣は私と同じ一人旅の六十代の女性であった。茨木から来て名古屋に泊っているとのことである。何かと親切でシートベルトをすすき出してくれたり、名鉄バスのカラーと車番を覚えて置くよう教えてくれて仲良くなった。
 吉野は奈良県吉野郡吉野町であった。見慣れた「関のサービスエリア」で休憩しその先の「針」あたりから下道へ入った気がする。バスの中で配られた天むすの弁当で昼を済ますと、たわたわと満開の桜がゆれる山の中腹の駐車場についた。芽吹き始めた山の木々もなんとも初々しく今日をかぎりと白やピンクに競って咲く花に肺の中まですがすがしい気分になる。
 吉野山は下千本中千本上千本奥千本などと区切って名ずけられてをり、対面の山の華やかな桜は三万本もあるとか、手に手にカメラを持って遠くを臨む人々は一眼レフやデジカメが多い。
 芭蕉句碑のところで一枚撮ってもらった。蔵王堂は階段が長いので彼女と別れ白装束の修験者の行列を下から携帯電話で撮った。
 三時間の滞在時間では静御前が鎌倉へ引き出されるまで隠れ住んだと言う勝手神社までくらいがやっとで、奥千本の西行庵とか義経かくれ塔とか、旧女人結界の碑とかまでは行けなかった。
 私としてはその上の先人たちが交通手段もままならぬ時代にこのような大ロマンを繰り広げていたのかと驚きであった。
 そぞろ歩きの人の波はまるで或る時の東京の雷門並みで土産物屋も今日が掻き入れと大繁盛である。
 帰りのバスのテレビの映画から目を離して暮れなずみ出した外を見ると、吉野の里は田が低いせいか石垣を高く積んだ入母屋造りの豪邸が多く日本の風景を堪能した。
 時季は違うけれども小倉百人一首に「あさぼらけ有明の月と見るまでによしのの里に降れる白雪」とあるのを合点した。
 
帰りついたのが一時間ほどおくれたので、チェックインを急ぐ彼女と別れてエスカの地下階の山本やの味噌煮込うどんを一人で食べ土産物の入った重い鞄を肩にかけて帰った。
 二人並んで人に写してもらった写真を送ってくれるとこの旅の友は言っていた。

  俳句 行き暮れて吉野の里の花曇
     御柱すべる歓声命ぎり

 

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花 冷 え と ホ カ ロ ン

2010-04-06 19:22:48 | Weblog

 歳のせいか花見頃というのに寒くて仕方が無い。店に無くなるといけないのでホカロンを今になって沢山買ってきた。
 結婚したばかりの頃舅が言い訳がましいことを言いながら桐灰に火をつけて懐炉に入れていた。
 原料の大麻の茎が使えなくなりそれなりの変遷があってベンジンをつかう白金懐炉になった。
 我が家は雑貨問屋でそういうものを商っていたので、気にも止めずあまり話相手にもなってやれなかった。
 冬の桐灰、夏の蚊取り線香とメーカーから膨大に仕入れ倉庫業者に預けたりしていた。
 姑は懐炉とは言わずに温石といっていた。それは江戸時代の呼び名の名残で熱くした石を布でくるんで懐へ入れたからなのだそうである。
 懐石料理というのもそれを
禅寺の修業僧が懐にいれて空腹をしのいだところから来ていて、茶席で出す一時しのぎ程度の料理を懐石料理と言うのである。
 三十年程前にホッカイロとかホカロンとか活性炭素のものが出てきて広い年齢層の者が使うようになった。そのホカロンを下着の上から腰に貼って、風邪の強い寒い日に息子と愛知学院の二千本からの静謐な桜を見て周った。
 次の日は娘夫婦が犬山祭りに連れて行ってくれて五十何年かぶりで犬山城の天守閣に上がり県境の風景を見て楽しんだ。犬山城は国宝で山車の数も美濃市や関とくらべると断然多い十七基である。
 
麓の針綱神社前の広場では山車が次々と人形振りを奉納して圧巻の人出であった。
 若い者は鮎釜飯を、ホカロンを貼っているばあさんは鮎雑炊をたべて楽しい花見をした。
 その日は岩崎川の花見をしようと思っていてそれはできなかったがが、こうして広範囲を走ってあちこち目の保養をするのも良いものである。
 五条川まで続く花街道も見事であった。
 此の時季私は浮き浮きと楽しくてじっ
としている気になれない。本当に日本列島は桜であふれている。

   俳句  天守閣見渡すかぎり桜かな
       せせらぎの向う岸なる猫柳   

コメント (2)
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