先月中日ビルの五階であった芭蕉顕彰句会で、隣り合って座ったHさんから次の句会の日にお母様が作られた草履を頂いた。
今ではどこで売っているのをみても藁に布をかぶせて編んである。旅行に行くと足先が二股で白足袋になったソックスを出してくれるところがあり、それが二、三足あったので、それを履いて草履を下ろしてみた。廊下をふみしめて歩くにはスリッパにはない力が入って良いような気がする。
七十年以上前小学校の四年生の時、運動靴の配給がとどこおってきたので、工作の時間に藁草履の作り方を習った。子供は作ることが嬉しいので家に帰ると友達のKちゃんと蔵の屋根の下にむしろを敷き母が裏のお百姓さんのところでもらってきてくれた藁束を濡らして大きな石の上で槌でたたいて柔らかくして藁草履を編んだ。左右同じ格好にするには苦労したが面白くて自分で作ったのを履いて学校へ通ったことがある。子供なのでそれもじきに飽きて、私の家は学校の裏の知人の家に頼んであったので学校帰りによると妹の分まで四、五足もたせてくれた。雨が降ったりすると三キロの通学にはよくもって二、三日で半分擦り切れて家に帰ったりした。
今にして思うと分団の子のそれぞれの家でも親は大変な思いをしていた事であろう。
終戦になるともうそのときは女学生であったので父が自分の作り付けの靴屋に女学生らしい可愛い革靴を頼んでくれていちはやくそれで通学していた。
それから幾星霜その後勤めた会社の同期会があると、足が丈夫でありますようにと、こけしならぬ、小さな草履を今流行のカラーのビニールで編んできて配ってくれる人が居て私の家にもカレンダーの横の白い壁に何足か飾ってある。
齢を重ねるとそんなものまで、原因結果のような意味ありげな尊いものに思えるから不思議である。
今回この草履をくれたHさんのお母様は私より二歳上で今施設に入っておられるとのことである。きれいな草履に感謝。
俳句 藁ならぬビニールで編む草履かな
シャバーニにひかれて巡る紅葉狩り
今ではどこで売っているのをみても藁に布をかぶせて編んである。旅行に行くと足先が二股で白足袋になったソックスを出してくれるところがあり、それが二、三足あったので、それを履いて草履を下ろしてみた。廊下をふみしめて歩くにはスリッパにはない力が入って良いような気がする。
七十年以上前小学校の四年生の時、運動靴の配給がとどこおってきたので、工作の時間に藁草履の作り方を習った。子供は作ることが嬉しいので家に帰ると友達のKちゃんと蔵の屋根の下にむしろを敷き母が裏のお百姓さんのところでもらってきてくれた藁束を濡らして大きな石の上で槌でたたいて柔らかくして藁草履を編んだ。左右同じ格好にするには苦労したが面白くて自分で作ったのを履いて学校へ通ったことがある。子供なのでそれもじきに飽きて、私の家は学校の裏の知人の家に頼んであったので学校帰りによると妹の分まで四、五足もたせてくれた。雨が降ったりすると三キロの通学にはよくもって二、三日で半分擦り切れて家に帰ったりした。
今にして思うと分団の子のそれぞれの家でも親は大変な思いをしていた事であろう。
終戦になるともうそのときは女学生であったので父が自分の作り付けの靴屋に女学生らしい可愛い革靴を頼んでくれていちはやくそれで通学していた。
それから幾星霜その後勤めた会社の同期会があると、足が丈夫でありますようにと、こけしならぬ、小さな草履を今流行のカラーのビニールで編んできて配ってくれる人が居て私の家にもカレンダーの横の白い壁に何足か飾ってある。
齢を重ねるとそんなものまで、原因結果のような意味ありげな尊いものに思えるから不思議である。
今回この草履をくれたHさんのお母様は私より二歳上で今施設に入っておられるとのことである。きれいな草履に感謝。
俳句 藁ならぬビニールで編む草履かな
シャバーニにひかれて巡る紅葉狩り