「今年の漢字」は、例年のように清水寺貫主が墨痕あざやかに書かれた一字、それは「変」であった。
本当に私達をとりまく環境は、国の内外とも大小様々な「変」ばかりであった。筆頭にあげるのは、政治で、一年そこそこで首相交代をした麻生政権のことである。
その支持率が三ヶ月で半減して十六%になるなんて、施策の発表があるたびに、目に余る誤読がこんな漢字も読めないのかと、首相としての資質が問われている。従ってことがスムースに運ばない。
経済では、世界経済が、グローバルな転換期に入ってしまった。いわゆるサブプライムローンで、自分の力ではどうすることも出来ない。 何かに翻弄され始めてしまって、そのテンポがあまりにも速いものだから、人々は落ち着いてきちんとものを考えるゆとりがない。
世界的なこの不況は、わが国でも天下のトヨタとかGMが輸出や販売の赤字に拠る減産を始め、多くの企業が収益の下方修正をするに及んで、一気に不況風が吹き始め街には失業者があふれて、就職難の時代になった。個人が主体性をもって生きて行くのが難しくなってしまった。
私には五人の孫があるが男性は一人である。この秋折角、N大学の修士に合格したのだから、思慮した進路へ行って欲しいと蔭ながら願っているが、ノーベル賞の受賞で湧く校風を他所に就職活動をする様子ある。その年齢の者の陥いりやすいのは、「今此処で就職しないと生涯賃金は半分になるんだ」と言う強迫観念である。
人間は生きる意味を見出す為に生きているのだから、自分の血肉になるものを豊かに持って好きなこと、楽しい事をたくさんストックしてをくことが大切である。
私のこの一年はと言うと概して幸せであった、ブログ引用の私小説じみた本を一冊出す事が出来たし、健康であったし、可処分所得を心得ていれば、政府の高齢者いじめも免れた。
来年はワーキングプアなどのない、住みやすい世の中に世界中が変革されていく事をひたすら願うのみである。
御つき合いくだすっていた皆様方ありがとうございました、どちら様も良いお年をお迎えくださいませ。
俳句 ○ 地に足を変な烏の時雨来と
○ モネ展を寡婦の姉妹の師走かな