二〇一五年明けましておめでとう御座います。
年々歳々世の中が変わって行きますが、今年はどんな年になるのでしょうか。真摯に生きることしか能のない私です。
俳句 御降りや庭木の白の新たかに
初参り陰徳あれば陽報と
人並みに年の瀬を味わっている。
とりとめの無い事ばかりだけど筆の慰みにあれこれ取り上げることにする。
今朝の新聞に岐阜市椿洞の畜産センターで飼育されている最長老のセブンと言う羊は過去に二度の大きな病気を乗り越え風邪で食欲不振になり、自力で立ち上がれない状態が二ヶ月続き整腸剤を飲ませても治らず「もう駄目かなあと思った」が寂しがりの性質だったので、試しに雄ヒツジ一頭と同室にするとみるみる回復一週間足らずで元気になった。
三回も復活して、もうお爺ちゃんだから白髪になった眉毛で元気に生きていると言う幸運のヒツジの話がのっていた。
私はときめく相手も無いままに実家の義妹の母が亡くなって一九日に葬儀を済ませたと連絡が入ったのでゲートボールに行く途中、郵便局へ寄り御仏前を送った。
私の卒業した高校の前身である高女時代の六回生で昭和四年卒業の百四歳であった。
年賀状の締め切りは昨日であったはずなのに明日明後日が土日のせいか郵便局は大層込んでいた。
ゲートボールも今年最後で厳しいキャプテンに「さすが通って来ているだけのことはあるねー」と言われたが、聞き流して置いた。
一時過ぎ家に帰り昼食をしていると娘から電話が入り「今年よくせわになったからクリスマスというわけでもないけど蜜柑lケースあげるよ」と言って置いたのを嫁ぎ先から帰省している孫と一緒にとりに来ると言ってきた。
やがて三人でお持たせのきんつばで抹茶をいただき、しばらく賑やかに歓談して帰って行った。
まだお墓まいりに現れる気がする。
クエン酸や重曹を買ってきたが家も三十年も住むと結構掃除が大変である。
Kさんから、電話で友達の○○さんが丈夫なのに、老人施設へ入られたけど気が知れないと言う。人はそれぞれよと納得させた。
俳句 行く年や八十年を生きて来し
独り居の師走忙しく又街へ
野球ファンでなかった私は 「バンクーバー朝日物語」の後藤紀夫 氏を知らなかった。
所属するエッセーの会の主宰の御主人で、同人だった南谷さんの通夜に行く時と、上梓した句集の祝いにランチでもと女性仲間に誘ってもらった時との二回、この本の著者である「後藤紀夫」氏の車に便乗させていただいた。
後部座席で、体格も態度も立派な方で似合いの夫婦だなあと思っていた。
主宰である京子さんがこの本を下さろうとした時「私は野球の事は判らないから遠慮しますわ」という失礼を犯してしまっていた。
此の十二月二十日に内容に準じたテレビの映画が公開されると言うので初めてこの本を読んだ。
一九五九年大学卒業後中部日本放送で、スポーツ実況放送を長年担当して、定年後はフリーアナウンサーを続けながら椙山女学院大学の講師を勤めこの「バンクーバー朝日物語」を執筆されたと言うことである。
つらつら読み進むと、百年も前に、移民排斥の嵐に翻弄されるバンクーバーの日系カナダ人社会の中に、一つの野球ティームが誕生したとある。
スピードと堅守、フエアプレーに徹した日本人の誇りであったそのティームが戦争に依り解散し、戦中戦後の苦難の果てに復活するまでが現地人の実話に基づいて書かれている。
カナダ移民や捕虜収容所や、生存者が亡くなっていく今だから明かされる事もあろうが、私達戦中派は、もっと早くこの本が著されていたなら、野球に命をかけた仲間達が喜んだだろうと思うのも人情だろう。
しかし歴史書として残る事は必定で彼の職業に依ること多大であったことも確かである。
中でも編集後記に
「妻の京子への感謝の思いを一言。十年以上、ほとんど毎年のようにカナダを訪れ「朝日」の旧メンバーや関係者へのインタビューをかさねたが、話に夢中になっている私の後ろで、元選手の夫人達や二世の女性達と親交を築いてくれたのが京子である。前しか見えなくなる私にとって、その後押しと気配りなしでは、ここまでたどり着けなかっただろう」
とあるところでは、思わず涙してしまった私である。
彼女の「バンクーバー朝日」出発から追記までの五頁に渉る補足のエッセーもお二人の快挙そのものである。惜しみない拍手を送る。
俳句 初霜や序々に解け行く球技場
原則として月の第一火曜日は「にぎわい句座」である。
五句提出となると、その人のその月のストーリーとなっている事がままある。
今月はKさんが京都は嵯峨野へ紅葉狩りに御主人と行かれ人力車に乗られたようである。
先生は早々と来た冬将軍の北風のありさまを、又それぞれの人であったが「健」「文太」の死を惜しむ二句があったのも、時代背景として面白かった。
今月の高点句 ○ 墓開き祝詞朗朗冬麗 I
○ 紅葉舞ふ光はかくも美しかな K
○ 昼月を中天におき冬桜 T
○ 手袋の中の切符が知る秘密 Y
○ 乗り合ひし遠くの会釈冬帽子 K
○ 冬将軍風の尖兵送り来し 講師
来月は新年会を兼ねて即題となる筈である。良いお年越しをどうぞ!
俳句 一枚を脱ぎて一打の冬温し
落ち葉積み園児の遊び筒抜けに