俳句を始めて8年が経った。
4年で、句集を自費出版した頃、あちこちのグループで、教えて、教えてと言われ、ほんのさわりだけ講義したことがある。今はスランプなのだが、そうも言っておられない事情もあって、その時の極々一般的な、おこがましい、しゃべりを、公開する。
生来脳天気で不器用な私は、基本的な方程式ならぬ取り決め事項から入れば・・・と言う事に気付くまでに、二年程かかった。
水谷式入門編 実践として先ず
(一)型は三通り
A 五 七五 B 五七 五 C 五七五
* たんぽぽや白きラシャ靴歩み初む A
* 切り株に遣ふ昼餉や百千鳥 B
* ふるさとは桃源郷よ麦青む C
* とろとろとこのままゆくやはるねむし C
これらは春の私の句である。
(二)切れ字を使う事
や。かな。は代表的な切れ字である。と言っても、て・に・を・は・すべて軽い切れ字で、意味的に一句一章のものが C となる。
(三)季語を必ず一つだけ入れる。
歳時記に季語が四千ほど網羅されているから強い味方。季重ねといって二つ以上入れてはいけない。
(四)原則的に花鳥諷詠である。
(五)文字は旧仮名である。
先ずは入門編としては今回は此処までとする。
ここからは私の逡巡偏である。
* たんぽぽを繋ぐ長さの母待つ子
が、鍵っ子にした責めで良いと思ったが、蓮華は繋ぐけどたんぽぽは繋がないと人が言う。娘が来た時に聞いたら
「つないだよ、あの辺りのは長く伸びてたもん」
在来種と渡来種の違いであろうか。
* 切り株に遣ふ昼餉や百千鳥
Nさんとおにぎりを、持って山菜採りに山へ入ったら雉も鶯も鳴いていたから。ところが同期の男性が
* 太閤も弁当ひろげ百千鳥
と詠んだ。ギブアップうまいなあ。
*ふるさとは桃源郷よ麦青む
口をついて出るときは、季語が自然にともなふ。
* とろとろとこのままゆくやはるねむし
布団の中でこのまま死にたいと私は思うのです。逝きたしにすると中八になるのでや、にしたが疑問符か感嘆符になってしまって人は逝きたいとは解釈してはくれまい。前の句のよ、とこのや、で悩むが私的には一句一章で Cである。
参考にして作句してみてください。とやった。
今は夥しい類句の向こうの新発見の言い回しに苦慮している。
俳句 * 噴水に濡れつつ裸婦像天仰ぐ
* 幾千の輸出の車黄沙浴ぶ