例年の寿句会の吟行が今年は安城のデンパークであった。
バスで来る人を市役所で拾い、市民会館でその他のメンバーを乗せた市のバスは、豊明のインターから知多道路に入ると、直にデンパークについた。
バスで隣合わせに座って来たKさんを入場するまでに見失ってしまい、チケットを渡す役員が困っているので、探すともう隣の道の駅で無花果を三袋も買っていた。無花果は安城の特産品である。
先ず園内バスに乗ろうと直行すると、ここしばらくは動いていないとのことで歩いて廻ることにした。
大きいサンルウムの中を歩くと立派な懸崖の黄色や、うすべに色の欄やらが目を楽しませてくれる。
無限図句会の兼題は「室咲き」だったなあと思っていると大きな音響で、交響曲が流れ出した。チャイコフスキーの一番だそうでベンチに掛けて聞いている人もいる。
其処を出て雲一つないぬけるような秋空の下を花の小道や小川に沿ってしばらく歩いてKさん、Tさんとの三人で和食処で注文して、しばらく待つと三十何台もの車椅子の老人のグループが入って来た。
キャンセルをして枯れ蓮の池の橋を渡って男性三人と合流して鉄砲山の麓で花時計やら池のしし脅しを観て食堂街のセルフサービスの店で、茸スパゲテイを食べた。 私はこのデンパークへ来たのは、これで三回目である。
その次に行った丈山苑は、はじめてで大層興味があった。
ふた間つづきの座敷に正座して枯山水の庭を眺めてほっとする。砂利の白さも五輪塔も蹲もつわの花も眺められる。
床の間つきの部屋には丈山の掛け軸がかかり欄間には三十六詩仙の徳川園のレプリカだと言う肖像画がめぐらされている。
庭を回遊すると侘びすけが白い花を咲かせ池の錦鯉は手を叩くとそれぞれ美しい柄で集まってくる。
東屋に腰を下ろす時間はなかったが、芭蕉の句も書かれた碑もあった。ただし杖を持った像は丈山であろう。
狭からず広からず散策には丁度良い此の施設は、きっと市の管理なのであろうが、聞いてみることを忘れた。
これも借景と言うべきなのかバス迄の帰りは、紅葉寸前の山辺の小川沿いの美しい小道であった。
俳句 杖長く座せる石像秋日濃し
丈山の苑回遊し添水聴く