今年の老人会の旅行は、岐阜県の岩村城であった。
白内障の手術の跡がおもわしくないので、いただいていたお城や資料館のパンフレットをつぶさに見もせずに、夫の存命中に何度も遊びに行った大正村であろう位に考えていた。
ところが当日岩村へ到着してみると、しまったもっと研究しておくべきであった。というのは就職をしたとき五歳とし上のIさんがこの町の出身者であった。余分なことは言わない、真面目で仕事の良くできる模範的な人でよく面倒をみてもらったことを思い出した。
私の両親ときたら長女が就職をしたというので職場の男性グループを七、八人、女性グループは関祭りの日に七人を呼んで御馳走を振る舞ったりしてくれた。
当の本人はもう学校へは行かなくていいし入寮制なので親の目を気にせずに遊べるしと言った感覚であった。
観光マップを見ながら急に懐かしくなって時々同期会に顔を出すМさんに電話を入れてみた。「Iさん?何いってるの、もう何年も前に亡くなってるよ」と言う返事でがっかりした。確か加子母の公務員の人に嫁がれたはずであった。
この度も高齢者は資料館で一休みしたり入浴や卓球をしたりして、昼食までをすごし、若い人のグループは町並みを散策したのらしい。それがこの間まで熱心にみていた朝ドラの「半分青い」のロケーションの場所であったと知っていたならカステラを土産に買いに走っただけでなくつぶさに街をあるいただろうと悔しがることしきり。
家に帰って後輩のAさんに言うと彼女も行ってきたけれど散策不足だったからもう一度行きましょうかと言ってくれたが、行きと違って青葉(紅葉は未だ)ばかりの道をあそこは夫と松茸買いに行ったところ、筍を売りつけられたところなどと思うとそこまでしなくてもと思える。六十年も前の岩村はもっと静かなところであったろう、正月前になると、帰省するのに「明知鉄道」で行くとか[名古屋廻り]でいくとか耳にしていた。確か彼女は加子母へ 嫁がれたはずであった。来年はよくよく周到にしらべて参加しよう。
俳句 話たき知り合い少なし秋の風